安全管理業務は皆さんにもできるもの
お久しぶりです、尾崎です。
海外の安全管理について様々な企業、団体の方とお話しているとしばしば
「安全管理に関する業務を(ご自身で)できないと思っておられるな」
と感じることがあります。
こういう時、尾崎は角が立たないように気をつけながら
皆さんにも安全管理業務はできますよ、
私がきちんと原理原則を教えれば皆さん自主的に取り組むようになりますよ、
一般的な安全管理業務に特殊な技能や資質は必要ありませんよ、
安全管理担当部署の方も通常の人事異動ローテーションに乗せて問題ありません
と繰り返しお伝えしています。
安全管理業務は、元軍人や警察OBのお仕事で一般的なオフィスワーカーにはできないお仕事、というわけでは決してないのです。もちろん安全管理業務に含まれる要人警護(ボディーガード)や銃や爆発物の取り扱いが必要な業務はプロ中のプロにお任せする必要があるでしょう。しかしながら、皆さんの同僚の連絡先を緊急連絡網にまとめる、いざという時に組織対応の決まりをマニュアルに基づいて行う、普段からマニュアル通りの行動ができるよう訓練する、といったことは皆さんにもできるはずです。
プロのパティシエ以外が作ったお菓子だって十分おいしくいただけますよね。夏休みに親子でお菓子作りをしたとして、それをお菓子とは呼ばない、などということもないはずです。同じように皆さんができる範囲で取り組む安全管理業務の立派な安全管理業務なのです。
安全管理業務に必要なのは方法論と技術
一般の企業・団体の方が海外に関係者を送り出す際に最低限準備しておくべき安全対策業務であれば、皆さんでも十分に取り組んでいただけます。ただし、海外の安全対策業務に初めて取り組む方が、予備知識無きにできるほど簡単なものではありません。
先ほど例に挙げたお菓子作りに話を戻してみましょう。尾崎がケーキを作れ、クッキーを作れと言われ、作ろうと努力したとしてもおそらくさっぱりです。何が出来上がるか、想像するだけでも恐ろしい・・・。しかしながら、お菓子作りが趣味の方であれば、作ったことのないお菓子を作ってみてくださいと言われてもそれなりには作れるはず。
これはなぜでしょうか?お菓子作りには基本となる原理原則、材料の使い方や焼き方などのセオリーがあるからです。ある程度お菓子作りの知識と経験値をお持ちの方はそのノウハウを応用して他のお菓子も作れるのです。そのレベルの方々だって十分おいしく食べられるお菓子は作れるはずです。ただし、プロのパティシエ/パティシエールと呼ばれる方はさらに多くのレシピを記憶しており、その日の気温や湿度、お客様の好みなどに合わせてお菓子の仕上がりもコントロールできる方々。原理原則やセオリーを踏まえてさらに高いレベルで精進されている方の世界ですね。このレベルにないと「お菓子を作れます」と言えないか、というとそうではないのは皆さんのご理解の通りです。
自動車の運転も似たような面がありますね。自動車が運転できる人、免許をお持ちの方は教習所などで加速、停止、右折、左折等の訓練を所定の時間学習しているはずです。どのように操作すれば、どのように自動車が動くのか、その方法論と技術を身に着ければほとんどの方が公道で運転できるレベルになれるのです。誰でもOKというわけではない(免許の取得が必要)ですが、ほとんどの方は問題なく自動車を運転し、お買い物やお子さんの送迎、あるいはちょっとしたレジャー・ドライブで活用されているはず。
もちろん、運転免許を取得しただけでF1で勝てるレーサーになるわけでもなければ、カーチェイスのスタントを任されるような「プロドライバー」になれるわけではありません。自動車運転の方法論や技術を高いレベルで突き詰めた上で体力や精神力も研ぎ澄まされた状態で走るのがプロ。プロドライバーにはそう簡単になれませんが、それでも日本だけで8200万人が運転免許を保有しており、「運転するための方法論と技術を身に着けている」事実は揺らがないのです。
プロのパティシエやプロのドライバーと呼ばれる世界は別に存在していますが、だからと言ってお菓子作りや車の運転が一般の方にできないわけでは決してありません。むしろ日常生活では原理原則を理解し、方法論と技術を身に着けた一般の方が作るお菓子や車の運転の方が役に立っているのではないでしょうか?
この構図は安全管理も同じです。プロのボディーガードや爆発物処理といった世界は一般の企業・団体が海外に進出する際にはそれほど縁のないもの。むしろ緊急連絡体制の整備や海外出張時の決まりづくり、また緊急時の対応体制の構築といった方法論と技術にのっとった皆さん自身の取り組みのほうがよほど重要なのです。そして、こうした取り組みができるのはプロ中のプロであるボディーガードよりも基本的なセオリーを学んだ皆さんとその同僚ではないでしょうか?
原理原則を教えてくれる人に学ぶ
皆さんが所属する企業・団体に必要な安全管理業務の大部分は皆さん自身が方法論を学び、技術を身に着ければ対応できることをお伝えしてきています。ただし、安全管理の分野がお菓子作りや運転免許と違う点が一つあります。それは「先生」と呼べる人が少なすぎること。特に日本では安全管理のセオリーを丁寧に教えてくれる企業や専門家はほとんどいません。
料理やお菓子作りを教えてくれる人はどうやって探せばいいでしょうか?
「クッキング 教室」
で検索すれば、お住まいの場所に近い料理教室やプロのシェフの講座などが見つかるはずです。
運転技術であれば
「自動車学校」もしくは「免許 学校」
を検索すればよいのです。
では、
一般の企業・団体が海外で関係者を守るために必要な考え方や技術を教えてくれるサービス提供者はどのように検索しますか?
尾崎がこのウェブサイトを立ち上げ、無料で安全管理に関する基礎知識を公開しているのは基本技術を学べば誰でも安全管理業務ができる、と信じているからです。同時に、海外安全対策業務の原理原則を教えてくれる会社や専門家が少ないことを痛感しているからです。
安全対策業務の方法論や技術を教えるということは単に「こういう時はこうしてください」「これは例外的にこうしましょう」といった解決策を提示するだけではありません。
原則的な安全対策措置の考え方を明文化できるできる
原則的な安全対策措置が通用しないケースを複数提示でき、その対応策を説明できる
リスクを下げる方法として考えられる基本技術を複数提示できる
その上で、複数の対応策のどれがよいか、議論を活性化できる
現地で活動する方に何を伝え何を伝えなくてよいか取捨選択の基準を提示できる
といった能力を持っている人でなければ安全対策の原理原則を教えるコーチにはなれないのです。リスクの高い土地で長く勤務をしているから、これまで危険地の任務を無事に達成してきているから、という理由でコーチを選んでも一般の方に安全管理に関する方法論や技術がうまく伝わらないことがあるのはこのためです。
尾崎は危険地での安全対策業務経験も持っていますが、どちらかというとこうした
「一般の方に安全対策の原理原則と基本技術をお伝えする」
ことに一生をささげたいと感じています。このページを安全対策強化を検討中の企業や団体の総務部門・人事部門の方がご覧になったのであればぜひ一度、尾崎に安全管理体制構築、関係人材育成についてご相談いただければ嬉しく思います。
この項終わり