2023年7月9日以降、南アフリカ北東部の幹線道路でトラックに対する襲撃事案が相次いでいます。ジンバブエ人が関与する長距離輸送トラックが多く襲撃されているとの報告があり、暴力が継続しうるとの指摘もなされています。
トラックに対する襲撃が確認されているのは南アフリカの北東部に位置するリンポポ州、クワズール・ナタール州及びムプラマンガ州の3州内幹線道路です。犯行の手口はいずれの州でも類似しており、トラックを何らかの形で強制的に停車させ、運転手に銃を突き付けて脅迫した後、積み荷ごとトラックに放火するというものです。
犯行はいずれも夜間の貨物長距離輸送時に発生しています。一般の駐在員、観光客の移動が多い日中には襲撃の報告がないため、夜間の移動を避けることが現時点で有効と考えられる予防策と言えます。加えて、可能な限り襲撃事案が発生している上記3州の移動に当たっては事前の道路状況等を確認するといった対策もおススメします。
一連のトラック襲撃ではジンバブエ人ドライバー、ジンバブエのトラックが標的となっている事案がほとんどであり、本件はジンバブエ人に対する排外主義的な暴力事案の可能性があります。この背景として直近南アフリカに移住/避難しているジンバブエ人難民への特別な保護許可が延長されたことが影響していると考えられています。なお、直近南アフリカプレトリアの裁判所がジンバブエ人えの特別な保護許可を2024年6月まで延長したことを受け、南アフリカの長距離トラック運転手組合ではジンバブエ人労働者が優遇されすぎているとして幹線道路の封鎖等脅迫行動に出た事例もあります。また、トラック以外にも東ケープ州、西ケープ州、ハウテン州等で少なくとも7人のジンバブエ人がリンチにあう等、ジンバブエ人への反感が一部で高まっている可能性も想定されます。