トップ画像は2023年12月セールスフォースジャパンで行われたASIS日本支部勉強会の様子
世界最大のセキュリティ人材ネットワークASISとは
今般海外安全.jpは世界最大のセキュリティ人材ネットワークASISの日本支部とコラボイベントを実施する運びとなりました。詳細は以下をご参照いただくこととしますが、日系企業でセキュリティを担当している方にとっては非常に貴重な機会となりますので、是非こちらの申し込みフォームからご参加お申込みをお願いいたします。会場の都合上、人数制限がございますので早めのお申し込みがおススメです。
本サイト「海外安全.jp」の代表を務める尾崎は世界最大のセキュリティ人材ネットワークであるASISの日本支部事務局長も務めています。ASISは1955年、セキュリティ関連業務の本場アメリカを拠点に様々なセキュリティ業務に取り組む専門家たちの相互研鑽、ネットワーキング、そして人材募集等の機能を担ってきました。現在では米国を中心に世界全体で35,000人以上の会員が所属し、国・地域ごとに200以上の支部が存在する名実ともに世界最大のセキュリティ人材ネットワークです。
日本でも1975年の日本支部発足以来、勉強会や意見交換及び一般の皆様への啓もう活動を行っています。銃が多数流通している他、従業員による内部犯行(商品の窃盗等)が懸念されていたアメリカでは各社内にセキュリティのプロフェッショナルを雇用することが一般的ですが、日本ではこのような歴史的経緯がなくセキュリティ人材のネットワークもまだまだ未成熟です。このため、ASIS日本支部以外に同様なセキュリティ人材同士の研鑽を行う場はほとんどなく、その点でレアな団体と言えるでしょう。セキュリティ関連のお仕事をされている方で、業務に役立つ情報が欲しい、という方はASIS日本支部のメールマガジン登録(無料)やASIS会員への加入を是非ご検討下さい。
また、米国のASIS本部(ASIS International)はセキュリティ人材の能力を評価する資格制度を運営しています。特にセキュリティ資格の最高峰、ゴールデンスタンダードと称されるCPP(Certified Protection Professional)の資格試験は受験資格を得るだけでも難易度が高く、取得した方はグローバル企業のセキュリティ業務幹部のポジションと高報酬が約束されるレベル。実際に英語で求人情報を探していただくと大手企業のセキュリティマネジメントを率いるポストは軒並み「CPPの資格保有者もしくは同等の資格を所持している人材」といった表現が登場します。
日本では知名度が低いですし、セキュリティ関連業務でCPP及びその下位資格の保有を求める求人を見かけることはほとんどありません。しかしながら、世界全体で見ればこの資格は水戸黄門の印籠のごとくセキュリティ関連部門で通用するのです。ちなみに日本人で取得した方は過去に5名だけで、いずれも日本企業では勤務しております。
日系企業と外資系企業の違い
既にご説明した通り、日本と海外ではセキュリティ業務の発想が大きく異なります。社内外の様々な人物が自社の資産や人材、あるいは業務行為による攻撃を前提として性悪説に基づいて防御を考えるのがアメリカを筆頭とした世界のセキュリティ。しかしながら日本は歴史的、文化的経緯から性悪説ではなく性善説に基づく「本質的な安全対策ではない形式上の対策」を行いがち。例えば、「監視カメラは設置するけれどもその映像をモニタリングする担当者はいない」、であるとか「警備員を配置するけれどもその警備員は武道や兵役とは無関係の退職済み老人である」とか、「安全対策マニュアルを作成することが目的になっており、ひとたびマニュアルが完成した後は誰も読んだことがない」といった状態はイメージしやすいかもしれませんね。(皆さんの会社でもこんなことが起こっていませんか?)
グローバル企業のセキュリティ担当部門ではこうした形式的な安全対策を「セキュリティシアター(見せかけのセキュリティ対策)」と呼びます。そして、こういった事態に陥らないために危機管理部門のトップには役員級の人材を末、子会社や海外支社を含め原則的には世界共通のセキュリティスタンダートを設定しています。海外に事業展開する日本企業は今やグローバル企業と事業面でも安全対策面でも伍していく必要があるのですが、発想の違いから特にセキュリティ分野ではグローバル企業との差が極めて大きい状態が続いています。
【参考コラム】日本企業の「フィジカルセキュリティ」は草野球レベル、という説
他方で、アメリカ式のセキュリティは費用対効果を重視しすぎる傾向にあったり、部門ごとの縦割りが大きく例えば大地震等の際のBCPを全社的に考えるときに、本来緊急事態対応に慣れているはずのフィジカルセキュリティ部門が関与しない組織構造になっていたりと課題もあります。この点では日本の「総務部」や「危機管理室」のようなどんな事態が起こっても業務を継続するための取り組みは同じ部門で対応する、といった哲学は優れていると言えるのかもしれません。
異文化交流を通じた意見交換とネットワークイベント参加者募集!
日本企業とグローバル企業、それぞれのセキュリティに対する考え方の違い、そして連動した業務内容の違いについて意見交換し、日々の業務の課題解決を行えないか、と考えた尾崎が中心になって今般ASIS日本支部と海外安全.jpの読者/セミナーご参加者皆様とのネットワーキングイベントを企画しました。名前を聞けば誰もが「知ってる!」と反応するようなグローバル企業の日本拠点でセキュリティを担当する方々から参加申し込みを頂いておりますので、是非日系企業でセキュリティ業務に携わる方もご参加をいただければと思います。
日頃なかなか対面で意見交換を行う機会が少ない日本のセキュリティ担当者、危機管理分野担当者の皆様には是非貴重なコネクションを構築していただきたく、ご参加を推奨いたします。また、イベント終了後、近くの飲食店にてよりカジュアルなネットワーキング(飲み会)を計画しています。グローバル企業の勤務実態やセキュリティに対する考え方、また危機管理部門の人数や予算感といった情報交換もより行いやすくなると思いますので、ぜひネットワーキングまでご参加を検討下さいませ。
【9月3日イベント開催概要】
日時:2025年9月3日(水) 16時00分~17時30分 +ネットワーキング
会場:赤坂付近会議室(ご参加お申し込みの方にご案内します)
参加費:「海外安全.jp」のメルマガを購読いただいている方、ご契約企業の方はお一人3000円(それ以外の方はお一人5000円)
イベント後のネットワーキング/懇親会ご参加者は別途ご精算させていただきます。
イベント内容
Topic 1 : なぜ日本の常識は通用しないのか? ASIS日本支部 支部長 畑永軌 Topic 2 : グローバル企業と日本企業双方の特色を融合した新たなリスク管理体制に関するディスカッション+質疑応答
ASIS日本支部 支部長 畑永軌
ASIS日本支部 事務局長 尾﨑由博
Topic 3 : 日系企業危機管理担当者とASIS日本支部会員とのネットワーキング(懇親会)
※会場予約のためネットワーキング(懇親会)参加ご希望の方は申し込みフォームの「事前質問」の欄に懇親会参加希望を明記願います。
お申込みフォームは当サイト主催のセミナーと同じものを活用していますが、本イベントへの参加ご希望の方は以下の画像のようなお申込みをお願いいたします。もちろん、9月25日の弊社主催セミナーへのご参加も同時にお申込みいただけると幸甚です。
ASIS日本支部イベントの予告
今回ご紹介した海外安全.jpとASISのコラボイベントのほかにもASIS日本支部では様々なイベントで講演やセミナーの担当をしています。直近では日本最大級の危機管理見本市、危機管理産業展(RISCON)でセミナーを担当することになっており、当サイト代表の尾崎も登壇予定です。こちらはRISCONの公式ホームページ経由でお申し込みくださいませ。
【予告】10月1日 危機管理産業展(RISCON)内ASIS日本支部セミナーご案内
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