2020年版グローバルテロリズムインデックス発表

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2020年版報告書の概要

 

まず目につくのは、世界全体での2019年テロによる死者数は過去最悪だった2014年と比べると59%減少しているという報告です。また、2019年版(2018年の統計)と比較してインデックスが改善した国が103か国、悪化した国が35か国と記載されており、昨年に引き続き世界全体でみると、テロの被害状況は改善傾向にあることが読み取れます。

ただし、テロの被害者数が減少した大きな要因はアフガニスタン及びナイジェリアでの改善(2018年の死者数と比してアフガニスタンで約1600人、ナイジェリアで約800人死者数が減少)となっています。このため、「ピークに比してテロの死者数は約60%減」という見出しを鵜呑みにして世界の大部分でテロのリスクが下がったと判断するのは時期尚早かつ危険な行為です。

 

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「テロの死者が減った」と言っても皆さんが訪れる国で改善しているとは限りません

 

その証拠と言えるのはこの1年で1人以上の死者が出たテロ被害を受けた国が63か国に上るという記載です。これは過去最悪だった2016年の78か国と比べて減少しているものの、2004年には39か国だったことを考えると依然として高水準です。世界各地でテロによる死者が発生していることすなわち皆さんもテロの巻き添えと無縁ではないことを示唆しています。なお、死者の発生していない事案も含めると世界全体で90の国でテロが発生したとされています。これは世界の約半分の国でテロが発生していることを意味します。

 

 

2020年版の報告書で興味深いのは、西洋(ヨーロッパ諸国・アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)でのテロ増加傾向が可視化されている点です。特に政治的な背景を有するテロによる死者数は明確に増加傾向が読み取れます。

 

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西洋社会での政治的背景に基づくテロ件数(左)・死者数(右)は増加傾向

 

世界全体から見れば、西洋諸国でのテロ発生件数や死者数はそれほど大きな割合を占めているわけではありません。しかしながらこれまでに比して事件数も死者数も増加しており、過去と比べてもリスクが高まっている点は十分に注意しなければなりません。

2020年版報告書の巻末には新型コロナウイルス感染症により極右勢力の活動が加速する可能性を指摘し、これまでの経験則が通じなくなる可能性を指摘したコラムも収録されています。これまでの経験則が通用しないということはすなわち、これまで通りの安全対策では不十分=今までと同じ感覚で過ごしているとテロや襲撃に巻き込まれかねない、ということを意味します。現時点で、具体的なリスクが指摘されているわけではありませんが、2021年以降新たなリスクとして注目が必要と言えるでしょう。

 

ご参考までに2020年版インデックス上位10か国は次のとおりです。

1位 アフガニスタン

2位 イラク

3位 ナイジェリア

4位 シリア

5位 ソマリア

6位 イエメン

7位 パキスタン

8位 インド

9位 コンゴ民主共和国

10位 フィリピン

 

【次ページでは・・・今回の報告書を踏まえ、来年テロリスクに注意すべきと考える国をご紹介します】