安全対策担当者は情報に踊らされてはいけない

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冷静に複数情報を重ね合わせることで事実を浮き彫りに

 

特に大きな事件の直後やセンセーショナルなニュースの直後には未確認情報や出所が不確かな情報が飛び交います。報道機関は重要性が高いと判断すればニュースを発信してしまいますし、悪意のない大勢もSNSやブログ等でその情報を拡散します。つまり、スリランカでの同時多発テロのような事案の直後には正しい情報も誤った情報もスピード最優先で広がってしまい、本当に正しい情報だけを把握することは極めて難しくなってしまいます。

 

また、「有識者」とされる方々も時として未確認情報を基に取材を受け、コメントを発することがあります。こうなってくると、結果的に誤った情報を踏まえた分析が報道機関等を通じて広がってしまい、余計に事実が何だったのかよくわからなくなってしまいますよね。「よりインパクトのある情報を掲載しよう」という傾向は何事も煽りがちなインターネットメディアのみならず、大手メディアでも存在しています。ですので、例えば今回のスリランカの事案を例にすれば

 

「スリランカで何百人も死んだ、ISが関与しているかもしれない、さらに爆発物も見つかった、危ない!」

 

といったストーリーが拡散してしまうのも無理はないのです。

 

 

ただし、こうしたストーリーが本当に正しいかどうか、は常に冷静に見極めなければなりません。特に関係者の命を預かる安全対策担当者は

 

 数多く流れている情報だから正しい、

 大手メディアが掲載している情報だから正しい、

 有識者がコメントしているから正しい、

 

と何事もうのみにしてはいけないのです。自分の感情や、先入観は横に置いて、本当に間違いのない事実は何なのか?そしてそこから導き出される合理的な見解にどのようなものがあるのか、冷静に考えなければならないのです。

 

スリランカの事案でも報道が誤っていたケースは多々ありました。

 

当初報じられた爆発の発生場所が正確ではありませんでした。

その後見つかったのは爆発物ではなく、捨てられていた起爆装置でした。

死者数も当局発表の訂正に伴い、突然100名減ることになりました。

 

安全対策担当者の役割はメディアやインターネットで流れてくる情報を経営層にそのまま伝えることではありません。健全な疑問を持って、メディアに踊らされず、裏が取れている事実とそこから導き出されるいくつかのシナリオを伝える必要があるのです。

 

尾崎はかつて『ダイの大冒険』というドラゴンクエストの世界観を基にした漫画作品が大好きでした。この漫画の中のセリフに

 

「魔法使いってのはつねにパーティで一番クールでなけりゃならねえんだ。

全員がカッカしている時でもただ一人氷のように冷静に戦局を見てなきゃいけねぇ・・・」

 

というものがありました。安全管理の世界に当てはめれば

 

「安全対策担当者ってのはつねにパーティで一番クールでなけりゃならねえんだ

どんなに派手なテロ事案が発生した時でもただ一人氷のように冷静に情報を並べて考えなきゃいけねぇ・・・」

 

といえるのではないかと思います。

 

 

 

この項終わり