新型コロナウイルス後の要注意感染症

この記事のURLをコピーする

新型コロナウイルス以外の要注意感染症

2020年4月24日、ロイター通信は新型コロナウイルス感染症に伴う外出禁止が解かれた後、要注意の感染症としてレジオネラ症に注目した記事を公開しました。

日本ではなんだかんだで人が出勤しているので発生の可能性は小さいのかもしれませんが、オフィスビル等しばらく使われていなかった建物では滞留していた水でレジオネラ菌が繁殖している可能性があるので、水を使う時には気をつける必要がある、との趣旨。

実際にレジオネラ菌を原因とする「レジオネラ症」は温泉やスポーツジム等のジャグジー、加湿器等長期にわたって水分が残っているような場所を起点として日本でもしばしば発生しています。

詳しくは国立感染症研究所のレジオネラ症を解説したページを参照していただければと思いますが、レジオネラ菌も肺炎を起こす原因で、新型コロナウイルス発生前、日本で発生していた肺炎の約5%はこの菌が原因です。同じ感染源から同時に集団感染することはありますが、人から人に感染することは限定的とされています。

 

iasr-legionellosis-stats

 

なお、記事にはありませんが、長らく人間が立ち寄っていなかった都心部のビルではその間ネズミが徘徊している可能性も否定できません。普段人間が大勢いると滅多に目にすることはありませんが、東京周辺にもネズミはかなりの数生息しています。

当サイト代表の尾崎が大学時代所属していた研究室では、都市のネズミは殺鼠剤に耐性を持つ個体が多い、という研究を論文として発表しています。一連の研究では新宿、赤羽(東京都)、市川、鎌ケ谷(千葉県)で捕獲されたネズミを対象に殺鼠剤の耐性を調査しています。ご存じの方も多いかと思いますが、ネズミも多くの病原体を媒介する動物です。

 

日本語の報道では連日新型コロナウイルスのことばかりが報じられています。その一方で、メディアでほとんど触れられることはありませんが、現実の世界では人間が生きていく上ではありとあらゆる感染症と隣り合わせです。もちろん新型コロナウイルス感染症は大きなリスクの一つではありますが、そのリスクばかりに気を取られていると他のリスクを見落とす可能性もありますね。

 

4月18日のコラムでもご説明しましたが、安全対策や危機管理の担当者は一つのリスクにばかり気を取られてはいけません。特に既に多くの人がその存在を認識し、行動を変えようとしているケースではなおさらです。そういったリスクは横目で見ながら、さらに悪いことが起こった時にどうすべきか?、他に見落としているリスクがないだろうか?といったことにも気を配ってこそ、危機を未然に防いだり、万が一第二、第三の緊急事態が発生した場合でもなんとかこらえることができるようになるのです。

 この項終わり