「異常な猛暑」が何週間も続く
代表の尾崎です。
今年の日本は皆様ご存じの通り、これまでにない酷暑に見舞われています。総務省消防庁が発表している統計によると、4月30日~7月31日までの3か月間、熱中症の症状で救急搬送されたのは5万7000人を超えました。昨年は一夏(5月1日~9月30日)で5万3000人弱でした。前半戦だけで、去年一年間の記録を超えたことになり、「異常な猛暑」を端的に示していますね。
お亡くなりになった方も大勢いらっしゃるため、心よりご冥福をお祈りさせていただきます。
今日本が見舞われている「異常な猛暑」。これがごく数日で済めば
「まぁ例外的な異常は起こり得るよね」
で済むのですが、気象庁が一連の猛暑を「災害と認識している」と発表したのは7月23日のこと。その時点から既に2週間が経過していますが、酷暑は持続しています。さらに、気象庁の最新予想でも8月16日ごろまでは少なくとも気温が「かなり高い」確率が30%以上となっている地域が広く、今後も警戒が必要としています。
日本だけではなく、世界各地でも「記録的酷暑」が
日本だけではありません。世界的にも酷暑が観測されています。
8月4日、スペインやポルトガルでは46℃を超える気温を観測。この気温は約40年前、1977年にギリシャで観測されたヨーロッパの史上最高気温(48℃)に迫る第二位の記録だそうです。そのギリシャでは、猛暑と乾燥が原因とみられる山火事で100人近くが死亡。その他の国でも山火事が頻発しています。
気温の上昇が思わぬところに影響しているのが、フランス。原子力発電所の冷却水としてくみ上げていた川の水温が上がりすぎ、原発の運転を継続できない状況になっているようです。
気温が高い、ということそのものは必ずしも悪いことではありません。しかしながら、異常なほど高い気温は人間を含む生命体にとって危険です。それも地球上のごく一部が何らかの「異常」によって気温が高くなるのであればまだしも、世界各地で同時多発的に、かつこれまで例のない暑さに見舞われるというのはもはや「異常」という言葉では片づけられないのかもしれません。
その時点で異常事態でもそれが続けば「当たり前」になる
地球の平均気温が上がっている、という事態はよく人間の活動に伴う気候変動の悪影響とされます。実際に二酸化炭素等の温室効果ガス濃度が上がっていることはデータで示されていますし、気温も少しずつ上がっていることは間違いないでしょう。今回の「異常な酷暑」もそういった背景によるものなのかもしれません。
もし、そうであれば、「異常な」という言葉が使われる本来的な状況、つまり
一回限りの、
例外的な、
大多数の人には関係のない
事態とは言えないのかもしれませんね。つまり、「異常な酷暑」が毎年のように、世界中のあちこちで、発生した場合、それはもはや「異常」ではなく、次の時代の「当たり前」と言われるようになるのです。逆に夏場、2000年頃の夏の気温までしか温度が上昇しない年が数十年後に来た場合、「異常な冷夏」と呼ばれるようになるのでしょう。
思い返せば、地球の歴史上、氷河期と温暖期は交互に訪れていました。研究によれば、現在はちょうど氷河期の後、徐々に温度が上がり始めている時期との説があるようです。地球はこれまで寒い時期だったものが、徐々に地球全体の温度が上がるタイミングを迎えているとすれば、これから温度は上昇傾向になり、もっと気温が高い状態が「当たり前」になることはあながち絵空事ではありません。
何万年レベルの話は個人にとって何の意味も持ちません。ただ、ここ数年~数十年の間にこれまでの常識や経験に照らして「異常」だったものが、新しい「当たり前」になるとすればどうでしょうか?
今年のように、
昼間は極力外で作業しないように
朝方・夕方の作業も二人上で行ってください
エアコンをためらわずに使ってください
とにかく水分・塩分を補給してください
という注意事項は誰もが取り入れる「生活の知恵」になるでしょう。また、極端に言えば「暑さに負けるなんて気合が足りないんだ」「エアコンの効いた部屋にいると体温調節機能が落ちるから駄目だ」といった発言も自然に淘汰されるはずです。
ここまで、気温の話をしてきましたが、テロや襲撃も似たようなことが起こっています。これまでテロや襲撃と言えば、
ごく一部の国で
例外的に発生する
大多数の日本人に関係のない
治安事案という理解が一般的でした。ただ、そういった過去の常識や経験が通用しない時代になってきているのは皆さんもご存じの通り。大勢の日本人が観光に行くヨーロッパやアメリカでも爆弾や銃撃によるテロは発生しています。東南アジアや中央アジアでも今後テロが頻発してもおかしくない兆候が表れています。
これまで大丈夫だったから、といって対策を取らないままでよいのでしょうか?もしかしたらその判断は「異常な酷暑が毎年やってくる中で、エアコンも付けず、水分補給もしない」という行為に近いのかもしれません。