【参考情報】西日本豪雨被害から感じた私の使命

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今般の西日本豪雨の影響により、被害を受けられた皆様には心よりお見舞い申し上げます。更なる降雨や異常な暑さにより容易ではないとは思いますが、一日も早い復興をお祈りさせていただきます。

 

大規模な浸水は予測されていた

代表の尾崎です。

出身地が関西方面ということで、先週から次々に報じられる西日本豪雨の被害状況に心を痛めております。お亡くなりになった方が最悪の場合200人を超える可能性も報じられており、私はただただご冥福をお祈りする、無事の発見をお祈りする、しかできません。

 

海外安全とは一見関係ないように思いますが、本日新聞紙上で興味深い記事を見つけました。「つぶやき」として、関連をご説明しますが、今回被害に遭われた方へのコメントではありませんのでこの点はご了承ください。

 

日本経済新聞は本日7月12日の長官で「『浸水地図』備え生きず」という記事を掲載しています。内容を簡単にご紹介すると、2016年に倉敷市が作成した「洪水・土砂災害ハザードマップ」で想定されていた浸水域と今回の豪雨によって浸水した地域はほとんど重なっていたとのこと。しかしながら、行政側も周知が十分ではなく、また住民も「こんなに水が来るとは思わんかった」「甘かった」と反省する声が出ている、との内容になっています。

 

倉敷市で予測されていた浸水域と実際の浸水範囲(日経新聞記事より引用)

 

こちらが日経新聞の記事から引用させていただいたハザードマップ(予測されていた浸水域)と実際の浸水範囲の比較です。

 

作成した行政側としてもさすがにここまでは・・・という思いがあったのかもしれませんが、少なくとも税金を用いて作成したハザードマップ上で、全く予測していなかった地域が浸水したわけではなく、「最悪の事態の想定」はなされていたと言えそうです。

 

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被害が拡大した二つの要因

 

(極端な前提だったかもしれませんが)予測されていたはずの事態にも関わらず、真備町地区をはじめ各地で被害が拡大してしまったのはなぜでしょうか?尾崎は二つの要因を感じています。

一つは行政側がハザードマップを作成してある程度満足してしまったこと。日経新聞の記事にもありますが、倉敷市の防災担当者の言葉として紹介されているのは「マップを配るだけでなく、確認を繰り返し呼び掛けるなどの対応が必要だった」というもの。

正確には把握しかねますが、ハザードマップを作成して、住民にもしっかり配布したのだから、あとは住民側で確認して、使ってもらって当然、という意識があったのかもしれません。ただ、税金を使って作ったハザードマップの被害想定が的外れだったわけでもなく、マップを作ったけれども配布せずに市役所に山積みにしていたわけでもない、となれば行政側を一方的に責めるのもおかしな話。

 

そこで二つ目の要因です。これは住民側が豪雨の際の被害想定を「自分ごと」として捉えていなかったこと。ハザードマップをもらってもしまい込んでしまっては意味がありません。ハザードマップ上自宅や勤務先はどこに位置してるのか、どの程度の被害までが考えられるのか(一階が浸水するのか、二階まで水が来うるのか)、想像していざというときの避難まで認識をつなげておかなければマップは無用の長物になってしまいます。

さらに言えば、今回異常な雨量になる、と報道され始めたあたりで、ハザードマップを再確認し、早めに避難する、というアクションに移していれば少なくとも自分の身の安全は確保されていたかもしれません。ハザードマップのような緊急事態への備えは、いざというときに活用されて初めて意味があるのです(裏を返すと緊急事態が発生するまでは、あまり意味がない)。

 

今回のケースでは、相手が自然災害ですし、100年に1度と言われるほどの最悪中の最悪の事態でした。このため、行政側が悪い、住民側が悪い、という話をしても仕方がないと感じています。ただただ、自然の猛威と人間の無力を感じざるを得ません。ただ、上記のように二つの要素を噛みしめてみると何かもう一つできることがあったのではないか、との思いもどこかにあるのです。

 

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自分で自分の身を守るために

 

海外での安全確保でも日本国内の自然災害対応でも共通して言えることは、自分の身は自分で守らなければならない、ということです。普段安全に生活している間はなかなか気づきませんが、テロや襲撃、自然災害といった「異常事態」の際はみな自分のことで精一杯になります。そういった「異常事態」が発生している真っただ中で国家や行政がすぐに全国民を守ることは不可能なのです。

国家や行政といった仕組みに期待できるのは、事前の被害予測や呼びかけまで。いざ目の前で「異常事態」が起こっている時に自分の身を守れるのは自分の行動だけです。何か起こった後に救済措置を講じてもらえる可能性はありますが、(家屋や資産はともかく)自分の体が動かなくなってしまっては救済措置も意味がありません。

 

尾崎自身、海外での安全管理の重要性を呼びかけ続けていますが、まだまだ「ふーん」という反応に留まる、という経験が多いです。海外旅行や海外出張が一般的になってはいるものの、まだまだ日本とは治安の状況が違う、という認識が広がっているとはいえません。外務省が運営する海外安全ホームページの存在すら知らないという方にもよくお会いします。

 

日本人にもっともっと世界で活躍してもらいたい。日本企業がどんどん世界から支持されるようになってほしい。尾崎は心から、日本人の活躍と日本の発展を願っています。ただ、その前提となる安全確保の分野ではまだまだやることがあると感じているのです。

今回のハザードマップ事例の記事を読み、「海外安全の重要性を繰り返し呼び掛ける」という対応の重要性を改めて痛感しています。海外で自分の身を守る意識を広めること、そして具体的にどんな安全対策が取り得るのかを知ってもらうこと。尾崎自身の使命だと信じて今後も活動を続けたいと思います。