周囲の異変に気付くための観察力は維持しよう
競走馬がカフェバーに突入するというあり得ない事態、かつ結果的に誰一人怪我すらしていない事件ですので、世の中一般からすれば、この話題は「笑い話」で終わってしまうのかもしれません。なぜ私がここまで詳しくこの事件を取り上げているのか、疑問に思う方もおられるかもしれませんね。
ただ、この事件はいわゆる「ヒヤリハット」の一つ。本当に深刻な被害が発生した事件が1件あれば、29件の軽微な事故があり、さらにその背景には300件ほどの被害のない異常事態がある、と言われています。ただ、29件の軽微な事故や300件の異常を放置することが将来の深刻な被害発生につながるのです。このため、今回はほとんど被害のなかった「笑い話」ですが、皆さんの命や体を守る教訓がありますのでぜひご紹介しなければ、と考えているのです。
実は尾崎が一番気になったのは、このお店のお客さんがいち早く異変に気付いていること。リラックスしたカフェバーの空気の中でも最低限の注意力を周囲の観察に向けていたのでしょう。その結果、何らかの異変が発生した際、その場に居合わせた皆さんが一斉に少なくとも物理的な危険に直接的に晒される3秒以上前に回避行動をとることが可能になっているのです。
翻って、日本ではスターバックスやドトールといたコーヒーショップ、電車の中などではスマホや音楽プレーヤーに熱中し、自分以外はあたかも存在していないかのようなふるまいをされている方もおられます。もし、そのような状況で競走馬が暴れながら入っていたら・・・。
「馬に蹴られるまでスマホを見ていました」
という方が出ることだけは避けたいのです。リラックスした空気の中で皆さん思い思いの過ごし方をされることには一切反対しませんが、ご自身の身をご自身で守るためには最低限、異常事態が発生していることに気づく余力は残しておいていただきたいな、と願う尾崎です。
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