【事案分析】マレーシア日本人女児誘拐未遂事件から学ぶこと

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事件の発生は防げなかったか?

この事件で最も悪いのは誘拐を試みた犯人であることは言うまでもありません。しかしながら、今回の事件の背景を調査した結果、1)突発的に発生した、2)どうにも防げなかった事件、とは思えなくなってきました。類似の事件に日本人が巻き込まれないためにもあえて反省点を3つ挙げたいと思います。

 

1.在マレーシア日本国大使館は外国人を狙う誘拐への注意を呼び掛けていた

このHPでも繰り返しご紹介していますが、海外に渡航される皆さんにとって頼れる情報源の一つは日本政府外務省および現地大使館の情報です。ぜひとも「たびレジ」や「在留届」の登録を行うとともに、安全の手引きなどもご確認いただきたいと思います。

さて、マレーシアは日本から見ていると比較的安全な土地柄だと感じるかと思います。しかしながら、現地では日本ではめったに経験しない発砲事件や誘拐事件などがしばしば発生しており、現地の日本大使館が公表している「安全の手引き」にもその情報はしっかりと記載されていました。

この記載を踏まえて金銭目的の誘拐には十分注意をしておく必要があったと言えるでしょう。

 

2.家族全員の顔、特に女児の顔がHPで公開されていた

SNSやブログ等が大変便利になった時代です。自分がどんな場所に行き、どのようなことをして楽しんだのか、インターネットで公開することへのためらいも小さくなってきているのでしょう。

今回被害に遭われたご家族は顔のアップを多くHP上で公開していました。加えて、どういうレストラン/お店に行っているのか、どんなお祭りに参加しているのか、どのあたりに住んでいるのか、など概ね推測できる状況になっていました。またお仕事の関係もあるのでしょうか、お母さまの実名もしっかり公開されています。

 

悪意なくSNSやブログを見ている人からすれば、他愛のない情報です。しかし、悪意を持っている人間からすればターゲットを絞り込むための貴重な、そして無料で活用できる標的探しの情報源になってしまうのです。今回被害に遭われたご家族はこの点で、「標的」にするための情報が揃いすぎていた、と言っても過言ではありません。

 

3.事件の少し前に両替屋に行っていたことが明記されていた

2.だけならまだよかったのかもしれません。今回当HPが最も犯罪を呼び込むきっかけになった可能性を感じたのは事件数日前に両替屋に行っていたことを公開していたこと。

画像はイメージです

 

相手が日本人であり、それなりに裕福そうだ、とわかったとしても日本円を奪ってしまうと、それを換金する手段が難しくなります。現地人や第三国の犯人が日本円を両替商に大量に持ち込めば、「なぜあなたが日本円を両替するのですか?」と、不審に思われる可能性がありますね。

 

しかしながら、現地通貨に交換した直後のタイミングであれば、自分たちで両替リスクを冒す必要はなくなり足がつきにくくなります。今回被害に遭われた方はご自身で、両替屋に行ってきたことを公開しており、犯人グループからすれば、こんなにうれしい情報はありません。

 

1.、2.、3.を総合すれば

「我々はこんな顔のこのくらいの歳の娘がいて、

 こんな感じの(現地の人から見れば)裕福な暮らしをしていて、

 そういえば少し前に日本円を現地通貨に交換して持っていますよ」

ということをご自身で公開していた、ということになります。

 

【次ページでは・・・自分の身を守るのは自分です】