『24時間戦えますか』の時代もありましたが
大企業では4月1日から罰則付きで適用される法律の主たる規制は以下の6つです。
1)時間外労働(残業)の上限を設定
2)年次有給休暇を最低5日全員が使用するための時季指定
3)労働時間の客観的な把握と記録
4)同一労働同一賃金の順守
5)月60時間超の残業部分に対する残業単価の引き上げ
6)産業医の確保と産業保健機能の強化
こうしてみると政策として、そして法律として労働時間を短くし、休暇を多くし、労働者の健康維持に本腰をいれていることがわかりますね。違法残業や有給休暇の未消化等の問題を解消する意図が強く伺えます。
少し話がそれますが、第一三共ヘルスケア社のドリンク剤に「リゲイン」という商品があります。1988年、日本がバブルに沸いていた時代に生まれたこのドリンク剤のキャッチコピーは「24時間戦えますか」でした。24時間働くジャパニーズビジネスマンが日々頑張るためにリゲインを!ということでCMも繰り返し流れていましたね。
第一三共ヘルスケア社の名誉のためにコメントしますが、この「24時間戦えますか」は決して長時間労働を強要するブラック企業に耐えろというメッセージではありませんでした(そもそもブラック企業という言葉はまだ誕生していません)。リゲインのCMで用いられていた「勇気のしるし」という歌の歌詞には「24時間戦えますか」の後に
有給休暇に希望をのせて
年収アップに希望をのせて
といった未来への希望がうたわれています。休暇も給料もより良い待遇が信じられる状況で自ら望んで世界のビジネスシーンで戦う人たちへのエールだったように思います。
しかしながら、「働き方改革関連法案」が施行されるなど時代は変わりました。今では労働時間を短縮することが求められる時代です。しかしながら、第一三共ヘルスケア社は「24時間戦えますか」をキャッチコピーとして使用し続けています。さすがに多少の軌道修正をして「仕事も生活も(両者合計すれば24時間ですので)楽しく過ごしていただきたい」というメッセージを伝えたいとHPで公表しています。
今や人材も確保しやすく、契約関係でも優位に立ちやすい大企業のみならず中小企業にも罰則付きの労働環境整備を求める時代です。同じ「24時間戦えますか」のキャッチコピーでもその意味するところが変わってきていることが象徴的ですね。
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