海外での安全配慮義務を履行するために(後編)

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出発前のリスク説明、海外に渡航する人自身の理解と納得が得られれば後は個人の責任というわけにもいかないのです。

具体的な安全配慮取り組み解説を続けます。

 

 

2)現地治安情勢の変化を派遣する企業・団体が常に把握し、派遣されている人と情報共有を行う

関係者が出発してしまえば、それで終わり、というわけにはいきません。治安情勢は常に変化するもの。

関係者が滞在している国・地域で、

 

 ・これまで発生していなかった類のテロ事件が発生した

 ・急に政治情勢が不安定になった

 ・日本大使館から退避を検討するよう指示があった

 

といった治安情勢の変化があれば当然現地でのリスクも変わります。リスクが変わっているにも関わらず、企業・団体として派遣されている方の安全確保策を講じなかった場合はどうなるでしょうか?おそらくは安全配慮義務の不履行が問われるように思います。

 

このため、海外に展開する企業・団体では、関係者が海外に出発した後も、こまめに現地の状況を把握する必要があるのです。そして、現地にいる関係者とも定期的に情報交換を行うといった仕組みを構築しておくとよいでしょう。

 

3)万が一の事態が発生した場合に、派遣する企業・団体の対応が円滑に行われるようマニュアルや連絡網を整えておく

 

さて、起こってほしくはないのですが、万が一関係者が海外でテロや事件に巻き込まれ、死傷してしまった場合や誘拐されてしまった場合、どのように行動すればよいのでしょうか?先般発生したニュージーランドケニアでのテロのように日本人が多く生活している国でもテロが発生するご時世、「そんな事態は想定していませんでした」では済まないのです。

 

外国でのテロが増えている現状、テロに巻き込まれてしまったことそのものは致し方ないとも言えます。しかしながら、巻き込まれてしまった後、安否が確認できない、最新情報の連絡ができない、救援活動もできない、といった状況ではさすがに派遣した企業・団体側の責任が問われることになるでしょう。

 

そのため、緊急時の連絡網をしっかりと整備しておく、そして海外の拠点及び日本の本社・本部での緊急事態マニュアルを整備しておくことは安全配慮義務の必須条件と言えます。加えて、年に一度でもいいので緊急連絡訓練やマニュアルに沿った緊急事態対応訓練が行われていれば、ベストです。

 

ここまで対応していれば、一概に企業・団体が安全配慮義務を十分に履行していなかった、と責任を問われる事態を避けることができるでしょう。

 

 

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