世界の出来事は「他人事」ではない
緒方さんは自分のことだけを考えるのではなく、より困っている人に手を差し伸べること、そういう人と一緒によりよい生活環境を整えることが紛争を予防するだけでなく、お互いの利益になるのだ、とおっしゃっています。自分より困っている人のことを「他人事」で済ませてはいけませんよ、ということですね。
これは海外で安全対策をする際にも意味のある考え方です。世界各地の実態と日本国内の生活にはだいぶ乖離があります。世界各地の実態を「他人事」と捉え関心を持たないでいるといずれしっぺ返しを受けるのは我々自身なのです。
日本では
蛇口をひねるだけで安全な飲料水が出てきます。
電気の供給が途絶えることはよほどの自然災害がない限り滅多にありません。
移動手段も電車、バス、地下鉄、自動車、飛行機に至るまで非常に便利です。
深夜女性ですら一人で歩いていてもたいていの場合は安全です。
100%ではないにせよ政治家や警察、行政機関などもそれなりの信頼を得て、安定して業務が行われています。
子供はほぼ全員が学校で勉強ができ、食べることに困っている子供はごく一部です。
まだまだ例を挙げることは可能ですが、日本は世界的に見れば大変暮らしやすく、恵まれた国と言えます。上に挙げた例のうち一つもしくはそれ以上の数の項目が「当たり前」ではない国の方が多いのです。しかしながら日本で暮らし、日本語の報道だけを読んでいると、その恵まれた環境に慣れすぎ、世界の実態が見えなくなってはいないでしょうか?世界で発生している出来事にあまりに無頓着になってはいないでしょうか?この状態はまさしく世界のあちこちの状態が「他人事」になっているということではありませんか?
日本の生活では想像できないから
日本国内では報道されていないから
自分の生活とは関係ないから
という理由で世界各地の出来事に無関心になっていないでしょうか?旅行であれ駐在であれ、海外で過ごすとすべての出来事が自分に跳ね返ってくるのです。大きく報道はされていませんが、日本人は毎日1件以上、世界のどこかで強盗や暴行といった物理的な身体被害を伴う犯罪に巻き込まれています。「他人事」で居続けるとしっぺ返しを受けるのはあなたかもしれません。
また、海外での出来事なら自分で関係ないと考えておられるかもしれませんが、テロや襲撃はもとより、強盗や暴行、交通事故の被害などは日本国内でいつ自らの身に降りかかってくるかわかりません。いざ自分が巻き込まれると「まさかこんなことになるとは・・・」と感じるに決まっています。
被害の発生状況に気を配ること、また巻き込まれてしまった方への必要な支援を行うなど、テロや襲撃、重大犯罪、事故等を「他人事」ではなく「自分ごと」として捉えることが大切なのではないかと感じるのです。
緒方さんのメッセージそのものはアフガニスタンやイラク・シリアの問題、またアフリカで続く民族間の争いや資源を巡る争いを収束させ、予防していかなければ日本にも悪影響があるという意味合いです。しかしながら、世界中の出来事に「他人事」であってはならない、というメッセージだけを抽出すれば、皆さんご自身が海外で安全に過ごすための貴重な示唆にもなっているのです。
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