タジキスタン治安最新情報(2024年9月)/海外安全.jp


0.タジキスタンにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在タジキスタン日本国大使館  :+992-(0)40-600-5477

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察  :02

◎救急  :03

◎消防  :01

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

タジキスタンに対しては、イギリス政府を除き、比較的高いレベルの注意喚起が設定されています。特にアフガニスタン国境付近、東部ゴルノバタフシャン自治区、キルギスとの国境付近に対して警戒レベルが高く設定されている傾向にあります。
アフガニスタンでタリバン勢力が権力を掌握して以降、同国内ではISIS系勢力によるタリバン勢力への攻撃がしばしば発生しています。その余波と思われる事案としてISIS系勢力が国境を越え、タジキスタン領内にロケット砲を打ち込んだとみられる事案も報じられている点注意が必要です。
大規模なテロ事件は報告されていませんが、2018年7月にアメリカ人も犠牲になった中部ダンガラでのテロ事件は英、米、豪の三か国のトラベルアドバイス上で記載されており、タジキスタン国内ではテロへの警戒が必要であることが説明されています。
一般犯罪も増加傾向にあることが記載されており、強盗や強姦を含む凶悪犯罪が多く発生している旨各国政府のトラベルアドバイスに記載されています。

【海外安全.jpのコメント】

イギリス政府を除く三か国の政府は、タジキスタンに対し、比較的高いレベルの脅威情報を設定しています。一見警戒が低く見えるイギリス政府のトラベルアドバイスでも地図上は全土が4段階の下から2番目ですが、文章上は各種リスクが詳細に説明されており、安全が確保されていると評価されているわけではないことが想定されます。

特に2018年7月に外国人4名が死亡したテロ事件が発生していることや、ISISに参加したタジキスタン人も多いこと、テロを未然に防いだという報道がしばしばなされるなど、テロの脅威には要注意です。また、2024年に発生したロシア首都モスクワ郊外でのコンサートホール襲撃テロの実行犯もタジキスタン人だったとされています。

加えて特に大都市部での凶悪犯罪が増加傾向であることにも注意が必要です。強盗や強姦に十分注意し、自分の身を自分で守るために滞在中は常時警戒を怠らないようおススメします。

2.日本政府の危険情報

 

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

・アフガニスタンとの国境付近

・ソグド州イスファラ市ヴォルフ地区(キルギス領に囲まれた飛び地)

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

・共和国直轄地:ログーン市以東

・ソグド州:キルギスとの国境付近,フェルガナ盆地のウズベキスタンとの国境付近及びクヒストニ・マスチョ郡(ザラフシャン川のアイニ郡より上流部分)

・ハトロン州:アフガニスタンとの国境を有する郡(上記アフガニスタンとの国境付近を除く)

・ゴルノ・バダフシャン自治州全土(上記アフガニスタンとの国境付近を除く)

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

首都ドゥシャンベを含む上記以外の地域全域

 

アフガニスタンとの国境地帯ではアフガニスタン国内(全土が「レベル4:退避してください」の対象)の不安定な治安情勢を踏まえ、タリバンやISIS等武装勢力の流入を危惧して危険情報が高く設定されています。

また、隣国キルギスに囲まれたエリアはその国境の特性上両国の警備が十分に行き届いておらず、イスラム過激派組織の越境ルート、麻薬密輸グループの麻薬運搬ルートとなっている可能性が記載されています。

 

特に注意が必要なエリア以外でもISISに共鳴する若者が摘発される等テロの脅威が存在していること、また統計上国内での犯罪発生件数が引き続き増加傾向にあり、特に大都市では強盗事件及び暴力行為が増加していることが明記されています。

 

夜間の徒歩での移動は控える、安全なホテルを選んで滞在するといった基本的な注意事項が明記されています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

全土に「十分警戒してください:Exercise increased caution」が設定されています。

ただし、2018年7月に発生し、アメリカ人も犠牲になったテロが発生していることを踏まえ、タジキスタンに入る際は以下の通り、自分自身で身を守るべく情報収集と高いレベルの注意を払うよう明記されています。

・Monitor local media for breaking events and adjust your plans based on new information.

・Avoid demonstrations and protests.

・Be aware of your surroundings

・Stay alert in locations frequented by Westerners.

上記に加え、2021年8月のアフガニスタンにおけるタリバン勢力権力掌握を踏まえ、アフガニスタン国境への立ち入りを避けるよう求める注意喚起が掲載されています

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4.イギリス政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症の影響が広がって以降、現時点でイギリス政府は地図によるリスク評価を公開していません。しかしながら、現時点では以下パンデミック前と同等の注意喚起が行われています。

全土が「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」の対象となっています。日・米・豪の三か国によるトラベルアドバイスに比べリスク評価が緩いように見えますが、本文ではテロや麻薬組織と治安当局間の衝突、キルギスとの武力紛争リスクなど詳細な注意がなされています。

通常一般犯罪についてイギリス政府は強い注意喚起をしませんが、タジキスタンについては強姦等凶悪犯罪の被害も発生していることから「イギリス滞在中以上の注意をするよう」呼び掛けています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で国土の主要部分は「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にリスクレベルが引き下げられました。
東部キルギスとの国境地帯やゴルノバタフシャン自治州はコロナ前と変わらず上から二番目の「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されていますが、アフガニスタンでタリバン勢力が権限を掌握したことを踏まえ、南部アフガニスタン国境沿いには「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。
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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

アフガニスタン国境地帯には最もレベルの高い「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。

タジキスタンではキルギス、ウズベキスタンとの国境付近および東部ゴルノバタフシャン自治州に対し、上から二番目の「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されています。これら地域では武力紛争や地雷のリスク、また地元住民による暴力行為などのリスクが高いと評価されています。

これ以外の地域には首都ドゥシャンベを含め5段階の真ん中である「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されています。テロのリスクが懸念されること、また市民騒擾の懸念が記載されています。

6.最近の治安ニュース

タジキスタン首都近郊での洪水被害(2023年8月)

アフガニスタン軍のタジキスタン領内への逃亡(2021年7月)

タジキスタン刑務所内での受刑者暴動(IS関係者による看守殺害)(2019年5月19日)

2019年5月19日首都ドゥシャンベ東方のヴァフダートにある刑務所内で受刑者らが暴動を起こし、看守を殺害。看守らが事態鎮圧のために発砲し、受刑者ら30名以上が死亡する事案が発生しました。

 

【参考ニュース】ロシア首都郊外コンサートホール襲撃事案(実行犯がタジキスタン人)

【事案分析】タジキスタン 外国人サイクリストへの襲撃事案(2018年7月29日)

2018年7月29日中部ダンガラで外国人サイクリストの集団が武装集団に襲われ、4名が死亡、3名が負傷するテロ事案が発生しています。

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