ロシア首都近郊コンサートホールでの銃撃と爆発

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2024年3月22日ロシア首都モスクワ近郊クラスノゴルスクのコンサートホールで少なくとも3名の武装集団が銃撃を実行した他、爆発が発生しました。事件後ホールは炎上しています。少なくとも12名が死亡、約40名が負傷しています。現場付近は当局により封鎖されています。

 

現時点で治安当局から正式なコメント等が発表されていません。監視カメラ映像等からは迷彩服に身を包んだ少なくとも3名の実行犯が銃を発砲している様子がうかがえます。本件は銃と爆発物を用いた複合的なテロであることは間違いありませんが、犯行グループの正体や動機は不明です。

事件発生時、コンサート開催のため大勢の聴衆が集まっており死者数、負傷者数共に今後増加することが見込まれます。

 

 

2024年3月23日追記

事件発生から約半日後の時点で少なくとも60名が死亡、140名が負傷しています。また、本件犯行に関与したのは少なくとも5名と報じられています。

本事案が発生する前、3月7日の時点で在ロシア米国大使館は48時間以内に首都モスクワで行われる大規模な集会(コンサートを含む)に対し、攻撃があり得るとして群衆に近づかないよう注意を呼び掛けていました。ただし、同警告で特に強調されていたのは、反政府活動家ナワリヌイ氏の追悼式典等であったことから、想定されていた期限を2週間以上越えており、本事案と米国の警告との直接の関係性は不明です。

またロシアとの軍事衝突が続いているウクライナ政府は本件に関与していないと声明を発表済みです。

また、本事案に関しISISが犯行声明を発表しました。ISISは過去モスクワを中心に旧ソ連圏から出稼ぎにやってきた外国人などをISISにリクルートしていた経緯があり、ロシア国内でも活動が観察されていました。ウクライナとの戦争が長引く中、ISISを含む反政府的な活動家なども多く逮捕されており、こうした圧力への抵抗の可能性も否定はできません。

 

加えて、事件が発生したのはイスラム教の第9月、ラマダン月の金曜日である点にも注意が必要です。ラマダン期間中、テロの発生が増える傾向にあります。2016年バングラデシュ首都ダッカ市内のレストランを武装勢力が襲撃し、日本人7人を含む外国人20名以上が犠牲になったテロ事案もラマダン月の金曜日に発生していました。

【参考コラム】2024年ラマダン・イード期間安全確保のための行動チェック

 

2024年3月23日現地夕刻、事件発生から約一日経過した時点で死者は少なくとも133名と発表されています。銃撃等に関与したとされる4名はいずれも逮捕されています。加えて本件に関与したと思われる7名、合計11名の身柄が拘束されており、取り調べが進められています。

米国政府は本件をISIS関係組織による犯行であるとコメントしていますが、ロシア側はこの点についてなんら触れていません。また、ロシア側は犯人らはウクライナ領内に逃走しようとしていた、と発表していますが、ウクライナ政府は本件への関与を繰り返し否定しています。

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