工夫しても変更できない「場所」がある
待ち伏せ攻撃や標的を定めた強盗に対し移動中の安全を確保するコツは
・複数のルートをランダムに通ること
・移動ルートや目的地に関する情報を不用意に公開しないこと
の二つです。しかし、この話にはある致命的な欠陥があります。その欠陥、指摘されればなんだ、そんなことかというポイントなのですが皆様は気づかれたでしょうか?
移動中の安全を確保するために「場所」を工夫しましょうとお伝えしましたが、どう工夫してもほぼ毎日訪れざるを得ない「場所」が少なくとも二つあります。
そう、自宅と職場(取引先や合弁相手のオフィスを含む)の二つ。こればかりはそうそう簡単に変更できるものではありません。そして自宅や職場をコロコロ変えていてはまっとうなビジネスができません。つまり、少なくとも自宅と職場については待ち伏せ攻撃をされないための工夫ができない、ということになります。前回ご紹介した中米ベリーズでの日本人親子待ち伏せ襲撃でも事件現場は被害者の自宅付近だった模様です。
「自宅や職場で待ち伏せされたら結局安全は確保されないじゃないか!?」
という皆様のツッコミはごもっともです。が、ここでもう一つの工夫があるのです。
場所が移動できないのであれば時間を調節する
自宅や職場はほぼ毎日必ず行ったり来たりしなければなりません。途中のルートをいくつ設定していようが、ランダムで通るようにしていようが、同じ場所を通らざるを得ないのです。
そしてもっと厄介なのは駐在先でお子さんを育てられる皆様。日本と違い、海外では徒歩で子供だけを歩かせるのは危険、という地域も多くあります。また、教育施設以外の場所では子供だけで行動させてはいけないという法律が定められている国だってありますね。
そういう国では自宅や職場に加えて保育園や学校も毎日確実に通る場所になってしまいます。そして、自宅や職場前では十分に不審者や不審車両に気を使ってる人でも、子供の送り迎えの際には注意力が子供に集中してしまうというケースもよくあります。
待ち伏せする側からすれば、自宅や職場だけでなく、子供の送迎場所も有力な犯行現場候補と言えますね。
では、こうした変更しづらい(変更できない)場所で、どのように待ち伏せ襲撃/強盗を避ければよいのでしょうか。当HPでは場所が変えられないのであれば、通過時間を一定にしないことをおススメします。出発時間、到着時間、もしくは保育園や学校を通過する時間が不規則に変わる場合、ルートが不規則に変わるケースと同様犯人側の狙いは絞りづらくなります。
今朝は自宅を7時に出発したのに、翌日は8時に出発、さらに翌々日は6時30分に出発となれば犯人側はいつから待ち伏せすればよいのか、決められません。武器を持って長い時間隠れていたり、周辺住民以外の車を長時間停車させたりすることは犯人側にとって避けるべき状況です。
出発時間や途中のルートの通過時間を工夫することは通過ルートを変更することと同じ効果があるのです。つまり、標的候補になったとしても最終的な標的にはなりづらいということですね。
同じ時間に同じ場所を通過しない!が鉄則
これまでご紹介してきた、安全に移動するための工夫をまとめてみましょう。
まず大前提となるのは
・待ち伏せ襲撃/強盗は実行された段階で被害が甚大である
・待ち伏せ襲撃/強盗の標的にならないための工夫が重要である
という認識です。
その上で、待ち伏せ襲撃/強盗の標的にならないよう
・移動ルートを固定しない
・移動情報を公開しない
という「場所」に関する工夫をします。
どうしても毎日訪れなければならない「場所」があるので
・自宅や職場を出発する時間を意図的に変更する
・途中で立ち寄る場所(子供の保育園や学校等)の立ち寄り時間も変更する
といった「時間」に関する工夫もやれば、安全が相当確保されるはず。
最後に、一例ではありますが、朝自宅を出る時間を3パターン、自宅から職場までのルートを2パターン設定するだけで、これだけ日々の行動パターンがばらばらになりますよ、という図をお示ししておきます。
出勤日が月~金までの5日間だとすると、同じ月曜日でも一週目はA1パターン、二週目はC2パターンとなり、同じ時間に全く別の場所にいることがわかると思います。理論上約3か月は同じ曜日に同じ移動パターンが登場しないため、この出発時間3種類、移動ルート2種類の組み合わせだけでも狙いを定めることは極めて難しいということを理解いただけるのではないでしょうか?
上記まとめの参考として以下スライドもご覧ください。
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