トップ画像はラジオNZのHPに掲載されている事件現場への献花の写真を引用
「銃撃テロ犯の名前は口に出さない」アーダーン首相の決意
代表の尾崎です。
3月15日、ニュージーランド史上最悪のテロ事件となったクライストチャーチでモスク銃撃事件が発生しました。50名もの人が一瞬で命を奪われるという残虐なテロ事案から4日が経過し、同国アーダーン首相は議会で
と強い決意を語りました。
テロの被害を受けた国のトップが実行犯の名前を呼ばない、と表明することは異例です。少なくとも尾崎自身このような発言をした政治家を知りません。
彼女の発言には賛否あると思いますが、個人的には賛成です。我々が事件翌日公開した「海外安全.jp」の事案分析でも実行犯の名前をあえて書きませんでした。記載したのは
「〇実行犯はクライストチャーチから南方に約360キロ離れたダニーディンに住む28歳のオーストラリア人」
の一文のみ。そのあとはすべて「実行犯」で記載を統一しています。
アーダーン首相の決断の背景には、実行犯を決して名の知れ渡った人物にしないという決意とともに、憎悪の連鎖や模倣犯の発生を止めたい、という考えもあったように見えます。
She said: “I implore you, speak the names of those who were lost rather than the name of the man who took them. He is a terrorist. He is a criminal. He is an extremist. But he will, when I speak, be nameless.”
皆さんも命を奪った者ではなく、奪われた人々の名前を語ってほしい。彼はテロリストだ。彼は犯罪者だ。そして彼は、過激主義者だ。それでも私が話すときには彼は名無しとして扱う。
尾崎自身が海外での安全対策ノウハウを広めている背景にテロの被害を防ぎ、多少なりともテロの連鎖、復讐や憎悪の感情を世界から放逐したいという意図もあります。ですので今回のアーダーン首相の議会発言は英断だと感じるのです。
もちろん、警察や安全対策の専門家同士では実行犯の思想背景や実名等、しっかりと情報分析/共有しなければなりません。ただ、悲惨なテロ事件に関する情報の中にはあえて一般社会に出さなくてもよい情報は存在するのではないでしょうか?一国のリーダーがこうした考えを公式の場で発したことに心から敬意を表します。
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