大きなテロの時は不確かな「速報」が飛び交う
代表の尾崎です。
スリランカで発生した大規模テロから一週間が経過しました。日本はもちろん、アメリカ、イギリス、オーストラリアもスリランカに対するリスク評価を引き上げました。現地治安当局も過去にないほどのレベルで疑わしい関係者を摘発しており、爆発物やISを模した旗なども押収しています。
捜査が進むにつれて少しずつ事件の全体像はわかってきていますが、これだけの規模の事案でありながら、犯人らがなぜ今回の事件を実行したのかは明確ではありません。引き続き丁寧かつ冷静に情報を追いかけなければならないと感じています。
さて、スリランカの大規模テロに関連して、特に事件発生直後に多くの情報が飛び交いました。同時にいくつの爆発があったのか、死者がどのくらいだったのか、犯人は誰だったのか、などなど。取材力や情報源として高い信頼性を誇る英BBCでも爆発直後には、コロンボ市内コッホチェード地区にあるセントアンソニー教会の場所をコロンボから北約30キロのコッホチェード行政区と間違って表示していました。(このため、当サイトの速報ではBBCの引用ができず、独自で爆発発生地の地図を作製しました)
合計8件の爆発があった日の夜にはコロンボのバス停付近で87個の起爆装置が発見されたのですが、英語メディアはもちろん、日本のメディアも速報は以下の通りでした。
実際に発見された物体の写真はこちら。
警察の発表では「detonators(起爆装置)」となっており、写真で見てもただのつぶれた鉄の棒で中身は空洞に見えます。もし爆発物だとすれば、警察が爆発物処理を行わず、捨てられた状態のまま長さを測ったりするわけもありません。
上記の二例とも「フェイクニュース」とも言えなくはないのですが、事件後の混乱に伴う速報時の誤情報はよくあること。こうした速報の誤りはどんな報道機関にも起こりえますし、後ほど事実誤認であることを認める前提で許容しなければならないでしょう。
各企業、団体で関係者の命を預かる安全対策担当者の皆さんは大きな事件直後には各種情報が錯綜すること、そして速報には(悪意のない)誤りも含まれていることをぜひとも認識していただきたいと思います。
【次ページでは・・・安全対策担当者が正確な情報を得るために必要な原理原則を解説します】
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