海外で犯罪被害に遭った後にやるべき2つ:大使館/総領事館と警察への連絡報告の重要性と連絡方法

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日本人の海外渡航規模回復に伴う犯罪被害の増加

新型コロナウイルス感染症による入出国制限が徐々に緩和されています。日本から海外に渡航される方の数も着実に増えており、海外事業展開、留学、旅行等の環境が正常化してきました。これ自体は歓迎すべき動きであり、関連業界の方も、そして業務や留学、観光を待ち焦がれていた方にも朗報と思います。

 

他方で、海外に旅行される日本人の方が増えるということは必然的に海外で犯罪被害に遭う日本人の方も増える、ということを意味します。そして、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済状況悪化が一部の方の生活環境を逼迫させているというのも事実です。経済的に苦しい状況に追いやられてしまった方の中にはスリや置き引き等犯罪行為で糊口をしのぐという生活を余儀なくされている方も世界にはいます。

 

貧困な人が多い国の話でしょう?とお考えかもしれませんが、例えばこちらの注意喚起をご覧ください。誰が見ても「先進国」と感じられるドイツ、それも日本企業も多く進出しているデュッセルドルフに所在する日本国総領事館が先週発出した「スリ、置き引き多発」に関する注意喚起です。

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在デュッセルドルフ日本国総領事館が11月10日付で発した注意喚起

 

新型コロナウイルス感染症拡大前には年間約4000人以上の日本人が海外滞在中、何らかの犯罪被害に遭っていました。(参考⇒「海外で犯罪被害に遭う日本人はどのくらい?)単純計算ですが、一日10人以上の日本人が世界のどこかで犯罪被害に遭っているということですね。現時点ではさすがに旅行者数が完全に回復しきっていないので、一日10人以上、ということはないかもしれません。しかしながら、直近の数週間で各国の日本国大使館/総領事館から届く日本人の犯罪被害事例の数は体感的にもかなり多くなってきています。

 

今回は海外で皆さんが犯罪の被害に遭った場合にやっておくべきことをお伝えしましょう。

 

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犯罪被害者になった際、最優先は自分の命を守ること

海外で皆さん自身の身体や財産を守るために必要なのは、犯罪被害に遭わないよう予防策を講じること。これは例えば華美な服装をしたり、スマートフォンや財布、あるいは高価に見える電子機器を公共の場で使うことを避けるのが一例です。一部の国・地域では日本人/外国人は裕福だ、というイメージが先行しているケースがあり、そうした目立つ外国人は犯罪の標的になりやすいからです。

ただ、予防策を講じていても犯罪被害に遭ってしまうことはあり得ます。今回は予防しきれず犯罪被害に遭ってしまった場合、皆さんがどう行動すればよいか、を取り上げましょう。一番大切なのは皆さんの身体や財産への危険を増さないことです。

いわゆる無差別銃撃事案や爆発による不特定多数を狙ったテロといった(インパクトは大きくともごく少数の)事案を除き多くの犯罪では皆さんの命を奪うことを第一の目的とはしていません。特に金品が主目的である強盗やひったくりの場合は、皆さんの安全を第一に考え、金品を手放すことが大切です。皆さんの命よりも大切なお金はありませんし、皆さんの命より大切なスマホもパソコンもありません。
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日本政府外務省も「強盗犯には抵抗しない」を推奨している(外務省海外安全ホームページよりキャプチャ)
日本であれば犯人が銃を含む凶器を用いて皆さんを死傷させることは滅多にありません。しかしながら、海外では犯罪者が凶器を所持していることも少なくないのです。また、組織的かつ常習的に強盗やひったくりを行う犯罪グループも存在しています。

日本人の大学生が路上で強盗被害に遭い、その後犯人を追いかけて奪われた金品を取り返そうとした際に銃で撃たれ死亡したという事例も発生しています。金品を取り返そうとしなければお金と携帯電話等の被害で済んだはずですが、残念ながら命を落とす結果になってしまいました。

犯罪被害に遭ってしまった際、守るべき最も重要なのは皆さんの命です。その場で命を落とさないためにどうすればよいか、を考えて行動することが大原則となります。

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犯罪被害に遭った後の対応はこの2つ!

さて、不幸にして犯罪に遭ってしまい、いろいろと被害が発生したもののその後命は助かり犯人もいなくなった…。となった場合次に皆さんがやるべきことは何でしょうか?

 

皆さん自身の身の安全が確保された後に行うべきは二か所への連絡・報告です。その二か所とは1)日本国大使館/総領事館、と2)現地の警察。いずれも犯罪の被害届を提出し、必要に応じて被害証明を入手することです。この被害届は被害証明は後々海外旅行保険等で失った金銭や物品の補償をしてもらうために必要となることがありますので、命の安全が確認できたのであれば、ぜひ日本国大使館/総領事館と現地の警察への届け出を忘れないようにしてください。

特にパスポートも盗まれてしまった場合には、そのままでは帰国できない状態になります。実際にはその土地で皆さんの身分を保証する書類を失っているわけですから、滞在そのものを継続することが難しい状態と言えます。パスポートを盗まれてしまった場合には真っ先に日本国大使館/総領事館に相談するようにしましょう。

 

万が一、パスポートを盗まれてしまった場合には、まずは電話で管轄する大使館もしくは領事館の窓口に連絡し、その後の対応について説明を受けてください。パスポートなしでは皆さんが滞在を続けることはできませんし、帰国することもできません。

その後の滞在予定にもよりますが、パスポートもしくは帰国のための書類を大使館・総領事館に発行してもらう手続きを取ります。その際、以下の必要書類を持参して手続きを進めてください。

・日本国籍があることを確認できる書類(運転免許証や住民票コピー)

・6カ月以内に撮影された顔写真(縦45ミリメートル×横35ミリメートル)

・留学予定、滞在先などが確認できる書類

 

パスポートの盗難(あるいは紛失)に備え、念のためコピーを保有しておくこともおススメです。緊急連絡先カードや保険証のコピー、パスポートのコピーは複数枚、カバンや財布など様々な場所に入れておくと、カバンや財布を盗まれても活用できますね。

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日本国大使館/総領事館ではパスポートの代わりとなる書類発行だけでなく、可能な範囲で犯罪被害に遭った日本人の支援を行ってくれます。海外出張や留学、旅行にいらっしゃる際には、渡航先の大使館/総領事館の連絡先も必ずメモしておくこと、また「たびレジ」に登録しておくことを推奨します。

 

日本国大使館/総領事館に被害を報告した後は、犯罪の起きた管轄の警察署に被害届を提出する必要があります。被害届の作成は、盗まれた状況や盗まれたもののリストなど事実関係がはっきり記載され、被害者自身の署名があれば、事足ります。なお、この時提出する被害届をコピーして自分用に保管しておきましょう。

警察署では簡単な取り調べを経て、被害届と聴取内容に基づき「犯罪初期報告書」や「捜査開始レポート」などを作成します。この報告書は盗難の被害を証明する文書ですので、必ず保管するようにしてください。

 

日本では警察に被害届を出すとその後しっかりと捜査を行い、犯人の逮捕や盗まれた金品の返還に尽力してくれます。が、特に現地に短期間しか滞在しない出張や留学、旅行の場合はよほどの大金/価値の高い物品が盗まれない限り現地の警察経由で取り返そうとする方は少ないでしょう。ただ、後々、旅行保険で補償を受ける際に必要になることが一般的です。保険求償のための手続きとして、警察への被害届提出というプロセスを行っておいたほうがよい、ということは覚えておいて損はありません。

この項終わり