【事案分析】アメリカ自家製「幽霊銃」の広がりと規制

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2022年4月11日バイデン政権は、3Dプリンター等を用いてで自作された銃の普及を食い止める新たな措置を講じることを発表した。同政権は「米国全土での銃を使った暴力がはびこり、国際的にも恥ずべきことだ」として銃規制を打ち出していたが、今回の措置は、その新たな一手となる。

 

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記者会見で大統領自ら3Dプリンターで作成したパーツの組み立てを実演するバイデン大統領(The Independentのyoutubeチャンネルよりキャプチャ)

具体的には、米司法省が、「幽霊銃(Ghost Gun)」の販売と流通を制限する複数の措置を盛り込んだ最終規則を発表したもので、これには、連邦政府から認可を受けたディーラーや銃製造業者が、顧客に販売する前に(3Dプリント銃など)刻印のない銃器にシリアル番号を付けるのを義務づけることも含まれている。

つまり自宅で銃を3Dプリンターで“印刷”しても、誰が作ったか追跡可能にしなければ売ることはできなくなるという。特に3Dプリンター製銃が問題視されているのは「誰が作ったか、追跡して突き止められない」ため、未登録で出処が不明であることから「幽霊銃」と呼ばれている。追跡不能な自家製銃が犯罪で使われている現実もあり、銃を取り締まる連邦当局はロサンジェルスで押収した銃の4割以上が「幽霊銃」だったと発表していた。
米国では、3Dプリントされた自家製銃の規制をめぐって一進一退の攻防が繰り広げられてきた。2018年には「Defense Distributed社」の3Dプリント銃をめぐる裁判につき、トランプ政権(当時)の国務省は合法的だと認める和解に達したものの、ワシントン州は憲法違反と手続き違反の疑いがあると連邦政府を訴え、禁止を勝ち取っている。
アルコール・タバコ・銃・爆発物の規制を担当する専門の部局(The Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives (ATF) )が存在することに象徴されているが、「銃とアルコール」は米国の闇の部分と言える。ただ、日本においては、この「幽霊銃」に関する反社会的勢力内での販売ルートは、既に確立されている。我が国の“反社勢力”世界においては「薬(麻薬)と『幽霊銃』」が資金源の一つになっていることも確固たる事実である。今後、コロナ禍等、抑圧された社会環境の拡大によって、「犯罪の米国化」が広がらないよう、警察や公安調査庁等が奮闘している。