2023年もどうぞよろしくお願いいたします
新年あけましておめでとうございます。代表の尾崎です。
当サイトをいつもご利用いただきありがとうございます。私事ではございますが、昨年は12月に「アフターコロナの留学」を執筆し、世に送り出すことができました。出版の力も借りて、より多くの世界で活躍する日本人の方に自分で自分の命を守る、世界で活躍し続けるための基礎力を身に着けていただけるよう私も精進したいと思います。
新型コロナウイルス感染症の影響が依然として残ったまま、新しい年を迎えました。一足早く各種行動規制を撤廃した欧米に続き、日本や中国も少しずつ行動規制や入国制限が緩和されています。2023年年初は、中国からの入国者に対する規制強化の動きがみられますが、世界全体で見た新型コロナウイルス感染症の致死率の推移などを見ていると3年前のように、全世界ほぼすべての国境が封鎖される、という事態にはならない印象です。
他方で、では、2019年以前=パンデミック拡大前とまったく同じようになんの準備、工夫なく海外に渡航できるか、と言われればどうでしょうか?渡航先の国が定める手続き、必要書類を満たしていれば入国はできます。しかしながら、大多数の方は、コロナ前とコロナ後で海外渡航に臨む意識は変わっているのではないかと感じています。
既に皆さんがお気づきのように新型コロナウイルス感染症を完全に撲滅することは不可能です。否が応でも2019年までは意識していなかったような感染症リスクと向き合い、リスクを受け入れながら生活することが求められる時代です。新しい時代の海外挑戦にあたって、皆さんのお役に立てるよう、私自身も、そして株式会社海外安全管理本部が運営する当サイト(海外安全.jp)も真摯に信頼できる、役に立つ情報発信を継続する所存です。皆様のご指導や応援をいただきながら、より社会に貢献できる存在になることを誓います。
全世界同時多発不安定化の時代に
さて、この三年で世界のあり方はかなり大きく変わりました。対面でのミーティングがオンラインに切り替わり、大多数の従業員が一か所のオフィスに集まって仕事をするというスタイルが主流ではなくなっています。それまで主流だった生活様式が当たり前ではなくなり、新しい生き方の模索が始まっていると言っても過言ではないでしょう。
感染症対応で右往左往しているうちに、2022年2月24日にはロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。本稿執筆時点で依然としてロシアとウクライナは交戦状態。特に国土の東部・南部を中心に全土で攻められているウクライナでは厳しい寒さに加え、インフラの破壊による電力不足も深刻です。この後両国がどのように動くのか、は予測することが困難ですが、核戦争もあり得る、との指摘がなされている事態であることはご存じの通り。
こうした事態はロシア・欧州での話であり日本にはミサイルが着弾したわけでもないし、空爆が行われているわけでもないよね・・・と感じておられる方も中にはいらっしゃるかもしれません。しかしながらよくよく考えるとロシアと日本はお隣同士。それも北方領土という「領有権問題」が生じている関係です。さらに、より存在感の大きな隣国である中国も2022年8月には台湾周辺を取り囲むように大規模な軍事訓練(実弾も使用されました)を実施しています。もし中国が台湾に軍事侵攻してきた場合には…という想定で政治家や政府関係者が参加するシミュレーションも行われました。日本周辺、あるいは日本のどこかが軍事衝突の現場になることも決して絵空事ではない、という時代になっていると言えるでしょう。
ロシアによるウクライナ侵攻によって明らかになったのは
・内戦や局地的な領土紛争/民族紛争以外に大規模な軍事衝突が起こりえる
・現状の国際社会の枠組みではそうした軍事衝突を完全に防ぐことは不可能
・一度始まった軍事衝突を収めるのは極めて困難
・軍事衝突によって連鎖反応的に食料、エネルギー、各種原材料等の供給混乱が生じる
といった事実ではないでしょうか?
感染症も戦争も今の時代特定の国・地域だけの問題で収まることはあり得ないのです。日本は1945年以降、幸いにして自然災害を除けば戦乱や大規模テロ等、多くの日本国民が被害を受けるような惨事を経験せずに済みました。経済的にも一時は世界第一位に上り詰めるほど発展したと言えます。しかしながら、現下の状況を踏まえればもはや過去約80年の経験は通用しないと感じます。世界全体が同時多発的に不安定化しており、グローバル社会に組み込まれた経済大国日本もその不安定化に巻き込まれることは必定です。
命の保護を誰かに任せたままでいいのか
世界情勢が過去にないレベルで不安定化する時代です。海外で事業活動を営む企業はもちろんのこと、大事な学生を海外に送りだす学校法人、そして国際協力/開発援助に携わる企業・団体にとって大きな課題になるのが、従業員・学生・関係者等の保護。これまで先例がない社会環境でもあり、多くの企業・団体がセキュリティコンサルタントや保険会社、あるいはアシスタンス会社に助けを求めているようです。
しかしながら、安易な外部依存、それもなによりも大切な従業員・関係者の命の保護を外部に頼ったままでいいのでしょうか?こうした外部コンサルタント/保険会社等は皆さんと違って当事者ではありません。これだけの不安定な時代、外部の意見・専門家の意見は必要でしょうが、では当事者ではない人間が皆さんの事業活動を正確に把握したり、留学する学生らの現地行動を直接コントロールすることは不可能です。まして、日本では予測不可能なことも起こることが多い開発途上国では、専門家といえど正確に政情・治安情勢を見通すことも簡単ではありません。
私、尾崎を含む外部の専門家は皆さんよりも安全管理の理論や現地情勢に詳しく、一定の指針を示すことはできます。しかしながら、何のためにその国・地域での活動が必要で、どういった成果が得られることが重要なのか、といった当事者の取り組み姿勢を踏まえないことには本当の意味での安全対策はできません。専門家の意見や提示される指針を踏まえた主体的な思考や行動は皆さんの従業員・関係者の命を守るためには必要不可欠なのです。
セキュリティコンサルタントや保険会社のアドバイザリー部門等への依存はある種の「思考停止」とも言えます。世の中が混とんとしている今だからこそ、皆さん自身と皆さんの同僚の命を守るためにリスク管理体制の内製化が必要なのだと考えています。
【参考記事 日本経済新聞への寄稿(2020年11月24日)】
「海外リスク管理体制の内製化を」
海外での安全対策を組織文化に!
リスク管理体制の内製化、と言われてもそんなことできるのか?というお声もあるでしょう。実際問題感染症はもちろんのこと、テロや襲撃事案、政治情勢の急変など各種リスクを正確に見通すことは不可能です。現時点では想像しないようなリスク、いわゆる「ブラックスワン」の存在にも気を配らなければなりません。
100%こうなる!、これでこの組織の安全対策・健康管理は万全だ!と言い切れるようになる必要はないのです。というよりも、非常に不確実な世界情勢の中でそのような状況に至ることは不可能だと感じています。むしろ、どのようなリスクが自分の組織・関係者に影響を及ぼすのかを理解し、リスクが発生した際に臨機応変に対応する「リスク対応力」を磨くことが重要なのではないでしょうか?この「リスク対応力」とは言い換えれば従業員・関係者を守り抜く力であり、それはいかなる環境においても海外での事業展開を継続できる力とも表現できます。
我々、海外安全管理本部/海外安全.jpはこうしたリスク管理体制の内製化=リスク対応力の組織的強化に向けたステップを明確に公開しています。そしてその一つ一つをサービスとして提供してきた実績があります。理屈としてはシンプルですが、具体的に誰にお願いすれば質の高いアドバイス、伴走をしてもらえるのかわからないのが、この業界の課題。我々はグローバルに展開するリスク管理会社はもちろん、日本国内で事業展開している複数の専門企業とフラットに連携してきた実績があります。もし、我々にご相談いただけるのであれば、皆さん自身に当事者意識を持っていただきつつ、そして「セキュリティ業界のコンシェルジュ」として業種や規模・活動内容に合わせたリスク管理体制強化の伴走をさせていただきます。
2023年を「命の外部依存」卒業元年にしていただくために、ぜひとも海外事業/留学における安全対策を組織文化化する第一歩を踏み出して頂ければと願っています。
この項終わり