日本をあげてのウクライナ復興支援
2023年11月8日、日本政府外務省は岸田総理とウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談の内容を公表しました。
この発表によれば、2024年2月19日に日本・ウクライナ経済復興推進会議を東京で開催することが合意されており、官民一体でのウクライナ復興への取り組みがスタートすることになりそうです。現時点でウクライナとロシアの軍事衝突は終結のめどが経っていませんが、その一方で欧州諸国及び欧州の企業は既にウクライナ国内での復興支援事業に着手しています。
ご存じの通り、ウクライナはロシアによる攻撃で首都キーウやその近郊含めて住宅や道路、発電所や上下水道、病院、学校、あるいは各種の職業拠点すべてが破壊されています。このため、2023年6月にはイギリス首都ロンドンで国際的なウクライナ復興会議が開かれており、そこで合意された支援金額だけでも600億ドル(約10兆円規模)となっています。
これだけの膨大な資金需要を政府による援助だけで賄えるわけでは当然なく、実は欧州企業を中心にウクライナ国内での民間ビジネスの取り組みは始まっています。日本企業にとっても、国際的なウクライナ復興に貢献しつつ、受注額を確保することが可能な情勢と言えますね。
来年2月の日・ウクライナ経済復興推進会議を開催するなど、日本政府としてもウクライナへの復興支援を行うことは確実です。日本としても政府予算だけで復興支援の予算を賄うことをは不可能です。そのため、日本政府もウクライナ復興事業に日本企業の参加を後押しする必要があり、民間の資金を呼び込むための取り組みが相次いで発表されています。例えば農業や医療に関する事業でウクライナに進出する企業には最大10億円の補助金を提供することになっています。中小企業等が海外進出を検討する際など数百万、数千万円規模の補助金を出すことがありますが、最大10億円というのは前代未聞の規模であり、これは日本政府のウクライナ復興事業への本気度合いが伝わってきます。
ウクライナの現状を考えると「ビジネスチャンス!」と盛り上がるわけにもいかないと思いますが、海外事業の当面の売り上げ確保やその後の中長期的なビジネス展開を考えておられる方にはいままさにウクライナ進出を考えて頂くタイミングではないかと思います。
ウクライナに渡航される際の安全対策他
ただし、ウクライナで事業を行うことは通常の海外事業とは大きく異なる点があるのは皆さんのご想像の通り。2023年11月にも首都キーウにロシアによる攻撃が実行されるなど、依然として「戦争状態であることは間違いありません。」
【参考情報】ウクライナ治安最新情報(日・米・英・豪4か国政府のトラベルアドバイス比較)
こうした状況下でウクライナ復興事業に取り組む企業、特に日本企業にとって壁となりうるのは以下の三点です。
・空爆も起こりうる「戦時下」での安全/健康管理が必要であること
・ウクライナ政府高官も汚職による摘発が続く環境下、信頼できる事業パートナーが必要であること
・各種情報調査を行う際に上記二点を直接自社で調査すると現地でスパイ活動を疑われる可能性があること
ウクライナの復興事業に参画するということは、上記のような課題を念頭に置いてリスクヘッジを行った上で事業に取り組むということです。リスクのない事業活動は存在しませんが、現状上記三点のリスクは決して小さいものではありません。そしてそのリスクは他の海外事業で直面するもの(犯罪やテロ、あるいは政情不安、経済変動等)とは大きく異なる種類の「戦争リスク」が主となっています。このため、これまで海外事業経験が豊富な企業でもその経験をそのままウクライナで活用できるわけではないのです。
具体的には
現状ウクライナに安全に入国するにはどうしたらいいのか?
ウクライナ入りした日本人従業員の警備体制はどのように構築したらよいのか?
ウクライナ国内で病気や怪我をした場合、どの病院で治療をうければいいのか?
病院の治療費はもちろん、万が一ミサイル等で負傷した場合の保障が可能な保険にどうやったら加入できるのか?
といった疑問は次々と湧いて出てくるのではないでしょうか?
それでも、縮小傾向にある日本国内市場だけでは中長期的に自社の事業は先細ってしまう、強力なライバルが現れる前に日本政府の支援を受けて事業に着手したい、という経営判断は十分にあり得るでしょう。そうした企業・団体の皆さまには当サイトを運営する海外安全管理本部のサービスをぜひ利用して頂きたいと思います。弊社はウクライナ国内で日本人が活動する際に実際の警備を担当している企業とも連携している他、日本政府公安調査庁のOB等各種情報源を活用して現地の最新情報を顧客企業の方に提供してきた実績があります。
また、現地事業パートナーを探される際に大切な汚職の防止や犯罪組織等との関係がないかといった事前調査(デューデリジェンス)を行うことも可能です。皆さんが直接こうした調査を行うと、相手の心象が悪くなったり、場合によってウクライナ政府によってスパイ活動の疑いをかけられる可能性もゼロではありません。その点、弊社では顧客企業皆さんの名前は一切出さずに丁寧な調査を行います。
さらに、現時点ではウクライナは「戦争地」扱いですので、一般の海外旅行傷害保険は適用の対象外です。こうした特殊な状況下では別途特約契約が必要ですが、こちらは広く案内されているものではなく、その加入条件の理解や加入にあたっての審査も必要です。ウクライナの各都市において無保険で活動するのはあまりに無謀であることは誰もが認識を一にされるところでしょう。この点で弊社にご相談いただければ保険加入についてもご案内が可能です。
これまで述べてきた通り、日本企業の皆さんがウクライナの復興事業に参加することは様々なリスクがあり、一筋縄ではいきません。ただし、日本政府を含む官民での取り組みであること、また国際政治・外交の観点から数年で政府の後押しがなくなるような分野ではないことは明確です。リスクを乗り越えられる適切な助言を得られれば皆さんのウクライナあるいは中東欧での海外事業を軌道に乗せることができるタイミングとも言えます。ウクライナ復興支援業務のために日本人の現地渡航等を考えておられる方はぜひとも弊社宛にご相談下さい。
問い合わせ先
以下お問い合わせフォームにて題名を「ウクライナ復興事業について」としてお問合せ下さい