コソボ治安最新情報(2024年4月)/海外安全.jp


0.コソボにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在コソボ日本国大使館 :+383 -(0)38 -600-995

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察 : 192

◎救急 : 194

◎消防 : 193

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

コソボに対する日・米・英・豪4か国のリスク評価は概ね一致しています。

国土の北側に位置するミトロビツァ市の北側、レポサビッチ地区、ズビン・ポトク地区、ズベチャン地区におけるセルビア系国民とアルバニア系国民の対立リスクが懸念されることからこれら地域に高いリスクレベルを設定しており、残る地域には少し低いリスクレベルが設定されています。日本政府とイギリス政府は首都プリシュティナを含む残る地域に一般的な安全対策以上の注意喚起は行っていませんが、アメリカ政府とオーストラリア政府はその他の地域でも政治的・民族的衝突が起こり得るとして日英よりも少し高い警戒レベルを維持していると言えます。

【海外安全.jpのコメント】

コソボにおいては北部の一部地域を除き、一般的な旅行やビジネス渡航は問題なく行える状況です。コソボ独立直後と比べ現地の政治情勢は安定化傾向にあり、現時点では深刻な民族対立は発生していません。日本政府を含む4か国がリスクレベルを高めているエリアを避けて渡航地域を選んでいただくことで安全な滞在が可能と言えます。ただし、日本と比較してスリやひったくり、置き引きといった一般犯罪は多く発生しており金品の管理や自身の安全に対する意識を高めておくことは必須です。

また過去、ISILに参加した国民の帰還が社会的に問題となった経緯があり、2017年以降コソボ政府は彼らの社会復帰、過激化抑止を政策として設定している点は注意が必要です。

2.日本政府の危険情報

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大部分の地域に対し、特段の注意喚起はありませんが、国土の北部3地区(レポサビッチ、ズベチャン、ズビン・ポトク)とミトロビツァ市のイバル川以北には「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されています。この地域ではセルビア系住民とアルバニア系との対立に起因する死傷者を伴う事件が発生しうることからリスクレベルが高く設定されています。

 

危険情報が設定されていない地域でも首都プリシュティナを含め、都市部ではひったくりやスリと言った一般犯罪は多く発生しています。金品を公の場で目立たせないといった工夫を行い、安全対策を怠らないことが推奨されています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ一時全土が「渡航を中止してください: Do not travel」となっていましたが、2022年4月19日付で新型コロナウイルス感染症パンデミック拡大前の治安レベルに戻されています。

ミトロビツァ市の北側、レポサビッチ地区、ズビン・ポトク地区、ズベチャン地区

政治的及び民族対立に起因する騒擾を要因として「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。


上記を除く全土

テロの危険性が想定されることから「一般的な注意を払ってください:Exercise normal precaution」の対象となっています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

イギリス政府は危険レベルを地図上に表示したリスクマップを掲載していません。

文章によって、ミトロビツァ市の北側、レポサビッチ地区、ズビン・ポトク地区、ズベチャン地区に対し、「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。これ以外の地域は首都プリシュティナを含め「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」に相当するレベル判定をしていると思われます。

 

コソボの独立直後と比較すれば政治情勢、民族的対立は安定しているとの記載はありますが、北部地域では依然として対立が暴力に繋がり得るとの記載があります。対象地域を除けば、一般的な注意喚起以外の記載はありません。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。
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コソボ北部ミトロビツァ市の北側、レポサビッチ地区、ズビン・ポトク地区、ズベチャン地区には他地域よりも一段高い「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されています。残る全土には「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されています。
いずれもリスクレベル設定の背景は政治的及び民族的対立を背景とした暴力事案との説明がなされています。

6.最近の治安ニュース

コソボ北部での警官襲撃と修道院占拠(2023年9月24日)

コソボ北部セルビア系住民による抗議活動(2023年5月29日)

コソボ国内爆破予告の多発(2022年4月)

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