ヨルダン治安最新情報(2024年11月)/海外安全.jp


0.ヨルダンにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在ヨルダン日本国大使館 :+962-(0)6-5932005

◎警察/救急/消防 :911
(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

ヨルダンに対しては、イギリス政府のリスクレベル設定がやや低めではあるものの各国政府ともリスク認識がほぼ共通です。北部イラク及びシリア国境付近ではテロや武力紛争のリスクがあるため、極力立ち入らないよう注意喚起されている一方で、首都アンマンを含む国土の大部分は十分な注意をして渡航するよう呼びかけています。また、2024年4月以降イランとイスラエルの軍事衝突の余波がヨルダン上空の航空機運航にも影響を及ぼしかねない情勢である点にも注意が必要とされています。

日本政府はヨルダンを「アラブ諸国の中では治安が比較的安定している国の一つ」と記載しています。ただし、隣国シリア、イラクに拠点を有していたISに関連する勢力がヨルダン国内でもテロや襲撃事件を起こすなど、いずれの国のトラベルアドバイスにもテロへの警戒を保つよう記載されています。
一般犯罪の発生件数も多く、特に日本と比べると銃器を用いた犯罪件数が年間約1800件発生しているとされます。外国人女性を含む女性に対する性犯罪も年間5000~6000件とされており、テロのみならず、日常的な犯罪への注意が呼びかけられています。

【海外安全.jpのコメント】

各国政府とも、ヨルダンへ渡航する国民への注意喚起はほぼ同じであり、日常的な警戒心を保ちながら滞在するよう呼びかけている状況です。地理的にもISの支持者が潜んでいる可能性がある国であり、実際にヨルダン治安当局は繰り返し、IS関係者と思われる武装グループを摘発しています。各国が警戒レベルを高め、渡航しないよう呼びかけているイラクやシリアの国境付近のみならず、ヨルダン国内ではテロや襲撃に遭遇した際の対応を念頭に置きながら滞在されることを推奨します。

2024年9月時点で、ヨルダンに渡航される場合にはヨルダン国内の治安・政情はもちろんのことイランやイスラエルを含む周辺国の動向も含め情報収集を行い、ヨルダン国内にとどまらざるを得ない場合も想定した準備をされることを推奨します。

スリやひったくり等の一般犯罪は首都アンマンや観光地で多く報告されており、日本政府はもちろんオーストラリア政府も注意喚起を発しています。

その他、日本の報道ではほとんど報じられていませんがアンマン等で反政府デモなどの政治的活動がたびたび行われており、いずれの政府もこういった集会に近づかないよう呼びかけています。日本の旅行会社の中には、デモの恐れがあるアンマン市内の観光案内は行わない、と決めている会社もあります。個人で渡航される場合でも、不測の事態を避けるため、不用意に人が集まっている場所には近づかないことを推奨します。

2.日本政府の危険情報


大部分の地域に対し、「レベル1:十分注意してください」が設定されています。北部のシリア及びイラクとの国境地帯に対しては、もう一段高いレベルの危険情報が設定されており、「レベル2:不要不急の渡航を止めてください」とされています。

アラブ諸国の中では比較的治安が安定している国と評価されています。しかしながら、隣国にISが支配地域を有していたシリアとイラクが存在していること、また、近年IS関連と思われる銃撃やテロ事件が発生していることも明記されています。

今後もテロ等の発生を否定しきれないこと、直近の不況に伴い、反政府デモ等が広がっていることを踏まえ以下の注意喚起がなされています。

官公庁,治安機関等の政府関連施設,欧米・イスラエルの権益施設,モスク等の宗教関連施設,難民キャンプ及びその周辺,欧米人が集まる施設(外資系ホテル,ショッピングモール等)への立ち入りは,できるだけ短時間にし,一人歩き等はなるべく控えるなど自身の安全に細心の注意を払ってください。

一般犯罪の発生率も、日本と比べて非常に高く、違法銃器が出回っていることも記載されています。日本人女性に対する性的嫌がらせも発生しているとも記されており、テロや襲撃等以外にも日常的に注意すべき項目が整理されています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー


シリア国境から3.5キロの範囲及びイラク国境地帯

ヨルダン政府が指定するシリア難民キャンプ

ザルカ県ルサイファ、バカァ周辺

マァン県マァン周辺


上記を除く全土

ISに関連するテロや武力衝突の可能性が高いことを背景に、北部イラク及びシリア国境に対して、最高レベルの警戒を呼び掛ける「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。また、マァン県マァン周辺でもテロや犯罪への警戒が必要であるとして「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。

それ以外の地域は4段階中下から2番目となる「十分警戒してください:Exercise increased caution」に留まっていますが、テロのリスクが存在していることが明記されています。常に周囲に注意をすること、また現地で発生するデモ等に近づかないよう呼びかけられています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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イギリス政府はヨルダンの大部分に対し、「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」を設定しています。ただし、北部シリアとの国境線から3キロの地域については最もレベルの高い「渡航を推奨しません:Advise against all travel」が設定されています。現在進行形で軍事衝突の影響が懸念されることを踏まえて警戒度が高められています。

首都アンマン他、国内各地で行われている政治的集会、一般犯罪への注意喚起が記載されています。

なお、2024年1月イエメンを拠点とし、紅海周辺で商船等の襲撃、近隣国へのロケット砲発射等を続ける武装勢力フーシ派に対し、米英連合軍が空爆を行いました。事実上の軍事衝突が発生している状況とも解釈でき、情勢が急変する可能性も否定はできません。英国政府は1月12日付で中東一円18の国と地域のトラベルアドバイスを更新し、「状況によってトラベルアドバイスが急に変更される可能性がある」との記載を追加しています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で国土の大部分が「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」に引き下げられました。
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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

ヨルダンの大部分は5段階中真ん中の「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」に設定されています。北部イラク及びシリアとの国境地域にはもう一段高いレベルの警戒情報である「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されています。

ヨルダン国内でのテロの危険性が排除できないこと、また政治的なデモが時として暴力的になる可能性があることが注意事項とされています。このため、常時身の回りに注意を払い、滞在中な地元報道なども確認するよう呼びかけられています。イラク及びシリアの国境地域では、ISに関連する武力衝突など、急激に治安情勢が変化する可能性があるとされており、渡航は極力避けるよう呼びかけられています。

6.最近の治安ニュース

ヨルダン首都複数個所での爆発物発見(2024年6月)

4月13日、イランによるイスラエル領内へのミサイル・ドローン攻撃に伴い、ヨルダンは一時領空を封鎖し、一般の航空便運航を停止しました。現在は解除済みですが、イランとイスラエル両国間の衝突がヨルダン国内外への移動にも影響を及ぼし得る状況です。

 

米英連合軍によるイエメン武装勢力空爆の影響(2024年1月12日)

2020年1月3日にアメリカ軍はイラン軍幹部をイラク国内バグダッドでのドローン攻撃によって殺害しました。8日にはイラン軍がイラクにあるアメリカ軍拠点二か所に対し弾道ミサイルを撃ち込む報復攻撃を実施しました。中東を中心として情勢は不安定になっており、各国政府も自国民に対し、身の安全を守るため警戒を高めるよう呼びかけています。

 

 

2019年11月6日ヨルダン北部ジェラシュ遺跡で観光客らがナイフを持った男に襲撃され、外国人4人(メキシコ人、スイス人)を含む8人が負傷しました 実行犯は既に治安当局が逮捕済みです。

ヨルダンジェラシュ遺跡観光客襲撃事案

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