アフターコロナ時代「ブラック企業」の新しい要素

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「ブラック企業」というレッテル

近年、

 

労働時間が極端に長い

金銭的な報酬が十分でない

休暇制度が整っていない/運用が不適切

セクハラ・パワハラが横行している

十分な社員教育が行われていない

 

といった企業に対して『ブラック企業』というレッテルを張る風潮が高まっています。

実際に

長時間労働に伴う過労死

仕事のストレス・人間関係による自殺

体調不良のまま長勤務する中での事故

といった問題が発生し、尊い人命が失われる事例が繰り返されています。

 

「ブラック企業ランキング」なるものもインターネット等で公開されており、学生の就職活動や転職の際にも参考にされているそうです。「ブラック企業」という言葉そのものが生まれてまだ10年ほどだそうですが、世の中で広く認知され新語として利用されるように感じています。

 

また、こうした「ブラック企業」のレッテルはインターネット上の噂話的な使われ方だけではありません。日本を代表する企業の一つである電通での過労死問題はその影響も大きく、大きな社会問題となりました。この際にも「ブラック企業」というワードはよく使われていますし、この問題の影響もあって「働き方改革」に関連する法規制が成立し、大企業には2019年4月から、中小企業にも2020年4月から様々な対応を求めることになりました。

 

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過労死問題が社会問題化したケース(電通)もある(写真は日経新聞のウェブサイトよりキャプチャ)
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「ブラック企業」の要素とは・・・

「ブラック企業」という言葉が広く使われるようになっていますが、では具体的にどういう企業が当てはまるのでしょうか?明確な定義はないようですが、各種文献やインターネット上の記事を参照してリストアップしてみると以下のような要素が浮かび上がってきます。

 

労働時間が長い

違法な残業が求められる

金銭的な報酬が十分でない

希望通り退職できない

業務量に対して人員が少なすぎる

福利厚生が十分でない

人間関係が悪い

ハラスメントが横行している

過剰な営業ノルマ/目標が課せられている

事業内容が半ば詐欺的/犯罪行為に近い

 

一つだけでも十分に「ブラック企業」の資格ありだと思いますが、たいていの場合複数の要素が重なって退職が増える、内部告発が行われる、といった状況につながると思います。客観的に眺めてみるとどれか一つでも嫌だなぁ、とお感じになるのではないでしょうか?

ただ、実際に自分たちの若いころからそれが当たり前だと思っていると、外部の視点でブラック要素であってもそのブラックさに気づけないという罠にはまってしまうこともあります。というよりもむしろ、ほとんどの「ブラック企業」は意図的にブラック要素を集めているのではなく、これまでそうだったから、という理由で放置していたリスク要因がブラック要素として積みあがってしまっているようにも思います。

 

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コロナ後に加わるであろう「ブラック企業」の新要素

長年リスクを放置したり、時代の変化に適応せず慣例をそのまま受け継ぐことで知らず知らずのうちに「ブラック企業」の要素を抱えてしまうというご説明をしました。最近の世の中の流れを見ていて、当サイトがまもなく新たに「ブラック企業」の要素に加わるであろう、と確信をもって言える項目があります。

その要素とは

「海外での安全管理が十分でない」

というもの。

これまでご説明してきたような「ブラック企業」の要素はほとんどが従業員や関係者の命に関わる不適切な経営状況と言えます。このため、一つの企業・組織内部の改革や改善である程度「ブラック企業」から脱却、あるいは回避できる可能性がありました。しかしながら今回の新型コロナウイルス感染症の影響を観察していると、一企業・組織ではいかんともしがたい環境の変化にも対応しなければならないことは明白です。たとえ企業や組織に起因しない問題であっても、環境の変化に対応できず従業員や関係者の命を危険に晒してしまっては責任を逃れられないでしょう。

海外では日本では滅多に発生しないテロや暴動等が起こりえます。また、新型コロナウイルス感染症流行初期には封鎖された外国の都市からどうやって従業員・関係者を退避させるか大騒ぎになりました。企業・組織が海外に事業拠点を有し、駐在者や出張者を派遣しているにも関わらず、

「海外での安全管理が十分でない」
(海外で従業員の命を守れない)

のであれば、その時点でブラック企業と糾弾されてもおかしくないのではないでしょうか?

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新型コロナウイルス感染症による国外退避は官民あげて取り組んだが、原則的に関係者の退避は企業・団体の責任

 

企業・組織にとっても海外で活躍できるような貴重な人材を失うことは非常に大きな損失であるはず。それに加えて

「あの会社は海外事業をやっていながら自社の社員も満足に守れない状態で海外に社員を送り込んでいたのだ」

と名指しで非難されたとしたら、さらにレピュテーションに傷がつくことになります。

 

 

現時点ではまだ、新型コロナウイルス感染症の対応で世界中手いっぱいですが、ひとたび事態が収まった際にはブラック企業の要素として

「海外にいる関係者の命を守れない」

という項目が加わることはほぼ間違いないと考えます。今まさに取り組みを進めておくことは御社、貴組織の経営を守ることと同義だと考えていますが皆さんのお考えはどうでしょうか?

 

どんな事態が起こっても会社が従業員・関係者を守る、というのは不可能でしょうが一般的に取り組まれている安全対策措置を講じず従業員・関係者を海外に送り出すという方針でよいのかどうか、コロナウイルス感染症の影響で世界が一変した今こそ再検討が必要なのではないかと感じます。とはいえ、セクハラやパワハラ対策の初期のように、「何から始めればいいんだろうか?」という企業・団体の方も多いのではないでしょうか?

 

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