セキュリティ会社の得手不得手

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医者も弁護士も官僚も専門分野がある

セキュリティ会社と一口に言っても様々な種類があることを理解いただけたでしょうか?

海外に進出されている企業でよく聞く言葉に

 

 「うちはセキュリティ会社に安全管理を任せていますので大丈夫です」

 

というセリフがあります。

日本と環境の違う海外で従業員を守るために安全管理に投資されているのは素晴らしいこと。そもそも安全管理なんて必要なの?という会社もある中で、少なくともセキュリティ会社に安全管理業務を委託している段階でその会社は従業員を大切にする会社だと言えます。

 

ただ、心配なのは、本当にセキュリティ会社に任せれば大丈夫なのか?ということ。

 

セキュリティ会社の例ではなかなかわかりにくいので、皆さんの健康管理を例にとりましょう。何か調子が悪いなぁと感じた時、その症状に応じて内科、外科、耳鼻科、眼科、循環器科、皮膚科、泌尿器科、あるいは歯科といった専門のお医者さんを探されるのではないでしょうか?息苦しくて熱がある、もしかして新型コロナウイルスかもしれない、という時に外科や歯科に診断してもらおうとは思わないはずですよね。

また、病気やケガ等が見つかった場合の治療に進む場合、日頃お世話になっている街中のかかりつけ医が専門的な治療を担当することもまずありません。特定の病気やケガの治療を何年も繰り返している専門の先生を紹介され、大学病院や地域の中核病院等にその先生を訪問して治療を受けることがあるはずです。

 

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最近では専門医ではないお医者さんでも画像診断ができるよう、医療用のAI開発も進んでいます。このような画像診断AIが開発されること自体が医者さんや歯医者さんだからと言ってどんな病気やケガにも対応できるわけではないことを如実に示しています。

 

弁護士や行政を担う官僚なども似たような事例です。

 

 普段離婚調停を専門にしている弁護士が、政治家の贈収賄を担当して追及できるのか?

 自動車関連の日本国内規制を担当してきた経済産業省官僚が、突然地球環境問題の多国間交渉で活躍できるのか?

 

専門性を持った人物/団体に任せれば大丈夫というわけでは決してありません。素人から見れば医師免許や弁護士免許、国家一種の合格者は「その道のプロ」に見えます。が、実際には「その道のプロ」の中でも細かく守備範囲が決まっており、得手不得手があるのです。極端な話、日本国内でのみ安全対策をやっているセキュリティ会社が海外でも皆さんを守ってくれるわけではありません。さらに、海外での安全対策業務も必要な項目によって使い分けが必要なのです。

 

海外における安全管理を一部セキュリティ会社に委託することはとてもいいアイディアですが、その会社の得手不得手を把握しなければ本当に安全を確保したことにはならないのです。

 

【次ページでは・・・開発途上国で選挙が行われる際のリスク実例とその対策】