在留届/たびレジは登録しておこう

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新型コロナウイルス感染症の広がり

(トップ画像は日本政府外務省のたびレジ登録画面よりキャプチャ)

皆さんご承知の通り2022年も新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対策で世界中が対応に追われています。特にオミクロン株が流行し始めてから感染者数だけを見れば過去にないペースで感染が拡大していることは事実です。1月8 日時点でジョンズ・ホプキンス大学がまとめたデータによれば全世界で感染が判明しているだけで3億人を超え、いまなお増加中です。(死亡者数は500万人程度とされています)

学術論文などではオミクロン株では重症化する割合が低いとの指摘もなされていますが、まだまだ予断を許せる状況ではないというのはおおよそ皆様も同じような感覚をお持ちなのではないでしょうか?

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感染症そのものへの不安もさることながら、

 

 目に見える形での物資不足

 世界各地での入国制限、国境封鎖、外出禁止令

 一斉休校に伴う子育て環境の激変

 急激な金融資産価値の変動

 各種スポーツ、イベント等の無期限延期

 観光、飲食等自粛に伴う一部企業の経営危機

 

などなど、感染症対策のために生活スタイルを制限せざるを得ない状況です。ここまで事態が深刻化すると影響を受けていない方がほぼいない、と言っても過言ではないかもしれません。(特に大手企業で顕著ですが、ご家族のみならず駐在員ご本人も会社命令で帰国し、仮住まいのまま時間が過ぎているというケースも耳にします)

 

海外に駐在、留学されている方も当然影響を受けておられるかと思います。イギリス、フランス、アメリカをはじめ世界各地で外出禁止になったり、必要な飲食料品、生活物資が購入できずに困っている日本人の方の投稿も見かけます。また、長引く経済活動の停滞に伴い政府方針への不満と物価高騰、反政府活動の激化等が重なり大規模な混乱を経験した国も複数存在しています。

日本であれば日本語によるメディア報道で、何が起こっているかすぐにわかります。加えて、自治体の対応案内もありますし、近所の方との意見交換、助け合いも比較的機能するでしょう。しかしながら、母国語ではない土地柄、ましてスワヒリ語であるとか、ペルシャ語であるとか、日本人にとっては特殊な言語が広く使われている国に滞在されている方はそうそう簡単に危機管理ができないのではないでしょうか?

 

今回新型コロナウイルス感染症に伴う混乱が発生して以降、当サイトが驚いているのは日本政府の各国大使館、総領事館による細やかな日本人支援。次ページでいくつかご紹介したいと思います。

 

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大使館/領事館による海外滞在中の日本人支援

まずはインド各地にある大使館、領事館の案内から。

インドは2020年3月22日から一週間の間、国際線の発着を認めない旨発表しました。しかしながら、多くの日本人が駐在しているインドのこと、それまでに帰国できない日本人が大勢いることは明白です。このため、例外的な措置として日本航空も全日空もそれぞれ臨時便を飛ばし日本人の出国のためだけに特別なフライトを用意しています。こうした情報をインド国内の大使館、領事館は詳細に提供しており、日本人の安全・健康確保のための出国にむけた支援を行っています。

また、大使館からインド政府に対し、臨時便に登場する日本人が無事に空港までたどり着けるよう、出国のための移動許可申請書を発行するといった対応も別のメールで案内されています。

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インドの特別フライトの案内に比べてしまうと可哀そうですが、スペインにあるバルセロナ総領事館からも「帰国希望者は早く航空券の手配を!」という丁寧な案内が配信されました。通常日本政府は帰国便の心配などしてくれません。がさすがに今回の事態を受けて普段から観光客の多い都市に滞在している方には、注意喚起を送付したものと推測しています。

 

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その他、複数の国では、支援を必要とされている日本人の方が他にいないか大使館、領事館としてできるだけ把握すべく取り組んでいます。例えばアフリカ西部のベナンの事例を引用してみましょう。

ヨーロッパで実施済みの国境封鎖や民間航空機の運航停止が発生しても速やかに滞在中の日本人が支援できるよう所在地などを大使館に連絡するよう呼びかけています。何があっても大使館に連絡なんかするか!という方を除けば、ここまで丁寧に支援の姿勢を見せてもらえるとありがたいのではないでしょうか?

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また、中東のヨルダンではイギリスに留学中のヨルダン人学生らを帰国させるためのフライトが準備されていることを踏まえ、往路(ヨルダン⇒ロンドン)搭乗したい日本人を募っています。在ヨルダン日本大使館が素晴らしいのは、ロンドンまでのフライト情報ではなく、その後ロンドンから日本までのフライトも併せて案内されているところ。チケットの確保方法はもちろんのこと、在インド日本大使館と同じく、全国的な移動禁止措置の中で日本人が空港に到着できるよう、ヨルダン政府への移動許可申請申し込み手順も明記されています。

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世界的な非常事態ではありますが、正直に申し上げて日本政府外務省はここまで丁寧に海外に滞在する日本人の支援を行うのかと驚きを禁じえません。もちろん、数多くの日本人の方全員に必要な支援が届いているか、までは確認できていません。が、世界的な危機的状況下で日本政府の大使館/領事館はここまでやるのか、やれるんだ、ということはポジティブサプライズでした。

海外安全セミナー

さらに、2021年に入ってからは帰国できない方向けに新たに外務省とNPOが連携し、海外で暮らす方のメンタルケアも行える体制を整えました。こうした相談窓口の活用もメールでいち早く案内してくれています。日本政府外務省の公式見解ではなく、あくまで当サイトの見解ですが、コロナ禍でもなお海外でお仕事や学業を続けておられる方は真に目的があって活動されている方でしょう。能力が高く、また過酷な環境下でも活躍し続けられる、そうした方がコロナ後の日本を支えてくれることは間違いないと感じています。そうした方々を支えることが日本政府としても重要な活動であることがうかがえますね。

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海外安全メールマガジン登録

海外で担当大使館/領事館からメールを受け取るには

さて、前のページでご紹介した大使館、領事館からの案内、いずれもメールで送信されてきていることにお気づきでしょうか?メールであるからには、受信者のメールアドレスを大使館、領事館が把握しているということになります。では、どうやれば自分のメールアドレスを登録し、大使館、領事館からの連絡を受信できるのでしょうか?日本政府外務省や現地の大使館/領事館に直接連絡しなければならないのでしょうか?

 

実は日本政府外務省が運営する「たびレジ」というシステムを使えば、仕事であれ、留学であれ、旅行であれ、簡単に皆さんの滞在地やメールアドレスを登録することができるのです。詳しい登録方法はこちらの記事(【10分でできる!】たびレジ登録ガイド)で紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。

 

わざわざ出発前に東京霞が関の外務省に出向かなくても、到着後に担当の大使館/領事館を訪問しなくても、いいのです。ウェブ上の入力さえしておけば、日本語で感染症はもちろん、テロや犯罪、自然災害等非常事態関連情報を受け取れるのです。また、3か月以上滞在される方であればウェブサイト経由で「在留届」を提出しておけば、「たびレジ」に登録した場合と同じ情報が担当の大使館/領事館から届くようになります。

 

「在留届」、もしくは「たびレジ」でメールアドレスを登録しておけば、新型コロナウイルス感染症のような非常事態の際、現地で頼れる国の機関から直接情報が送られてくるのです。しかも無料!実際には税金で運営されていますが、使っても使わなくても税額が変わるわけではないので使わないと損です。

 

万が一、2021年のエチオピアや2022年初のカザフスタンのように、国内各地が一時的な騒乱状態になった場合でも一般の日本人が現地に残っている限り大使館・総領事館は丁寧な情報発信を続けます。「邦人保護」を業務にして現地に派遣されている職員がいるわけですから、しっかりと国のサービスを活用できるようにしておきましょう。

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年始早々国内で大規模な抗議デモが発生した際には連日、大使館から日本人向けに情報提供が行われた

 

最後に今一度メールアドレスを登録することで恩恵を受けられる具体的なサービスを列挙しておきます。

 

・ 「緊急メール/総領事館からのお知らせメール」が配信される(当然日本語で!)

・ 万が一大規模災害やテロ等に巻き込まれた場合に日本政府の援護(国外退避の支援など)が受けられる

・ パスポートを万が一紛失した際の再発行や各種証明書の発行がスムーズに行える

 

現時点で海外旅行に行こうという方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、感染症が落ち着いた後海外に行く際にはぜひとも「在留届」の提出もしくは「たびレジ」登録をおススメします。

この項終わり