リスクカレンダー確認で被害を避けよう

この記事のURLをコピーする

 テロや暴動は一定程度予測できる

 

海外における安全対策の第一歩は事前の情報収集です。

日本人も海外でテロや襲撃の被害に遭遇するようになったとはいえ、日本人だけを標的として狙い撃ちされた事例はありません。(一般犯罪の延長や個人的怨恨による殺人事件等は別ですが・・・)

 

そのため、海外でテロや襲撃による被害を避けるためには「巻き添え被害」を避けることが大切になってきます。そして、巻き添えに遭わないためには以下の三つの「カン」が大切です。

 

1)空間:テロが起こりそうな空間に近づかない
2)時間:テロが起こりそうな時間を避ける
3)観察力:テロの予兆がないか観察する

 

皆さん自身が直接攻撃を受けるような身に覚えがない場合、上記三つを意識すれば、意識しない場合に比して被害を受ける確率を格段に下げることができます。

 

特に重要なのは1)空間、と2)時間、です。また別のコラムで詳述したいと思いますが、テロや襲撃の実行犯/実行グループもやみくもに事件を起こしているわけではありません。そのため、特に大規模なテロや襲撃は、事前に狙われそうな場所、狙われそうな時期・時間を多少なりとも予測することが可能なのです。

 

もちろん、我々のような安全対策コンサルタントと呼ばれる人間も、未来が見える予言者ではありません。このため、正確にいつ・どこで、どのような事件が発生するか読み切れるわけではないのですが、世界情勢やあちこちの過激派武装勢力のこれまでの実績、声明文、各地でのイベント、政治情勢などを把握している人間にご相談いただければ、テロや襲撃、暴動などが発生する可能性をいくつかのシナリオを基に想定することが可能なのです。

 

 

海外安全メールマガジン登録

 渡航先のイベントを把握できれば安全対策は一歩前進

では、いつも専門のコンサルタントに1)空間や2)時間の情報を確認しなければならないか、というとそうでもないのです。実際に海外に渡航される皆さん自身でも準備できる出発前の安全対策があります。

 

なぜなら、2)時間の情報については日本にいてもあらかた調べることができるからです。

 

渡航先滞在中に現地の大型連休がないか?

渡航先滞在中に現地で政治イベント(選挙、首相等の就任式など)がないか?

渡航先滞在中に世界的な宗教行事がないか?

 

少なくとも、出発前にこの三つは調べた上で、海外への出張計画、旅行計画を立てていただくことをお勧めします。こうした情報は安全対策の観点だけでなく、皆さんの旅程をスムーズに進めるためにも必要な情報だと思います。(日本でいえば、お正月に海外の方が出張されても業務上ご案内できるところがほとんどないので、「スケジュールを再検討しましょう」という提案をされるはずですよね)

 

出発前の時点で渡航先のイベント等が把握できているだけでも、安全対策は一歩前進です!

 

海外安全セミナー

 『リスクカレンダー』という考え方

 

ただ、何度も特定の国に出張を繰り返される方や、世界各地を飛び回るビジネスパーソンの皆様は都度出張先のあれこれを調べるのは面倒になってくるかもしれません。インターネットで検索すればある程度の情報は揃うとは言え、調べる頻度が多くなれば、だんだんと嫌気がさしてくるというもの。

 

そういう場合に活用いただきたいのが『リスクカレンダー』です。あらかじめ、世界各地の宗教上のイベントや主要国の政治イベント、伝統行事などを整理し、一覧表にまとめておくと大変便利です。

 

出張前、ご旅行前に、こちらのカレンダーをちらっと眺めていただき、ご滞在期間中に大きなイベント等がないかを確認するだけでOK。もし、なにかイベント等があるようであれば、そのイベントが滞在先でどんな影響があるのかを調べればよいのです。

多忙なビジネスパーソンのみなさんには特に、ご活用いただけるのではないかと思い、弊社では、毎年12月に翌年分のリスクカレンダーを無料公開しております。

 

2018年分はこちらのリンクからご確認ください。

worldcalendar2018

 

 

海外安全メールマガジン登録

 当面要注意なのはイスラム教徒が多い国での「ラマダン」

 

現在の世界情勢において、特にテロや襲撃リスクに影響を与えているのはイスラム教のイベントです。弊社として特定の宗教を批難する行為等には与しませんが、イスラム教の宗教イベントに関連してテロ、襲撃等を計画したり、欧米的なイベントを「非イスラム的」としてテロ、襲撃等を計画したり、といった事例が続いているのは事実です。

 

その中でも特にテロや襲撃等が増加する傾向にあるのはイスラム教徒にとって最も神聖な月である「ラマダン」期間(2018年の場合は5月15日頃から6月13日頃まで。月の見え方で数日ずれます)です。日本でラマダンというと断食を想像される方も多いかと思いますが、もともとはイスラム教の暦で9番目の月の名前です。

 

この「ラマダン」期間中に積んだ功徳は普段よりも意味がある、とのイスラム教教義に基づき、特に異教徒への攻撃を是とする過激派武装勢力は、通常以上に攻撃の手を強めるため、この期間のテロや襲撃が増えるのです。

特にイスラム教徒の多い国やイスラム教を国家の宗教として掲げている国への渡航を計画されている方は、今一度スケジュールをご確認ください。「テロが起こりそうな時間を避ける」ために、日程が変更できないでしょうか?もしくは、その時期にどうしても渡航しなければならないとすれば、現地でテロや襲撃等の巻き添えリスクをさらに低減する方法はないでしょうか?

 

リスクカレンダーをご覧いただきながら、改めて出発前にご検討することをお勧めします。