サイバーセキュリティ取り組みの遅れ

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人命がかかる安全対策への備えは?

サイバーセキュリティの世界でシステムへの攻撃や情報漏洩が発生したらどうなるでしょうか?

 

私はその業界の知識はありませんが、これまでの事例から想像すると

  

 ・サービスの一時停止や損害賠償等経済的な損失が発生する

 ・サービス提供企業の信頼が失墜し、社会的にも価値を失う

 ・場合によっては企業活動の継続にも大きな影響が生じる

 

といった事態にはなりそうです。

 

ただ、こうしたことはあくまでシステムの内部やインターネット上、もしくは個人情報といったデータの話。サイバーセキュリティ攻撃で即人命が失われるという事態はなかなか想像しづらいです。(原子力発電所や病院、自動運転車などが攻撃された場合は別ですがここまでの影響はさすがにまだ発生していないと理解しています)

 

他方で、海外での安全管理はシステムやインターネット上ではなく、現実世界に存在するリスクです。皆さんの会社の人間や資産そのものが攻撃の対象である、とも言えます。こうした攻撃を受けた場合、経済的な損失、社会的損失の前に人命を含む物理的な損失が発生してしまうことをぜひ、よく考えていただきたいのです。

 

 

 

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従業員の命を守れない会社で働いてくれるか?

 

ご紹介したように巷で話題になっているサイバーセキュリティの分野ですら過半数が社内に対応体制すらありません。しかし、尾崎の経験上、海外での安全管理に気を配っている企業はサイバーセキュリティ分野以上に少ないように感じます。

ドイツSAP社関連企業が実施した 「海外出張者の危機管理に関する実態調査」によれば、


海外出張者への危機管理の重要性を感じる企業は9割を超える一方、9割が危機管理プロセスに課題を感じている

 

との報告もあります。これはあくまで海外出張者の安全管理に限った質問ですので、駐在者を置いている、もしくは海外支社/事業所がある企業の実態はつかみ切れていません。とはいえ、日本企業にとって海外での安全対策が後手に回っていることはおそらく間違いないように思います。

万が一の際、失われるものの重要性を考えれば、本来サイバーセキュリティ以上に対応が講じられていなければならないのが物理的な安全管理のはずなのですが・・・。

 

 

そしてこの問題が深刻な点はテロや凶悪犯罪等が発生した後だけではないという点です。むしろ世界中で人材争奪戦が始まりつつある今、

 

「いざという時に会社が自分たちの命を守ってくれるのか?」

 

と従業員側が会社を選ぶ基準の一つに企業の安全対策体制を含める可能性があると思うのです。

 

大げさ??

待遇や仕事の内容の方が重要でしょう??

自分はそんなことを考えて企業を選ばなかった??

 

 

では質問です。どれだけ教育プログラムが優れていても、地震が多く発生している日本で避難計画もなく、避難訓練を行わない小学校に皆さんのお子さんを通わせますか?

 

 

今や世界にテロや政情不安、重大犯罪が拡散しつつある時代です。安全対策が後手に回れば優秀な人材が取れない、結果競争力を失ってしまう・・・。こんな悪循環に陥ってしまわないでしょうか?海外での安全対策やサイバーセキュリティのための社内体制構築、人材育成は事業活動を行う上で必須の「投資」と呼ばれる時代はもうまもなくなのかもしれません。

 

サイバーセキュリティ人材不足を報じる日本経済新聞の記事を読んで私はこんなことを感じました。

 

 

 

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