企業のハラスメント防止義務、法制度化へ

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「ブラック企業」と呼ばれる前に先手を打つ対応を

 

似たようなことは海外展開している企業の安全管理体制にも当てはまります。

現在の日本の法制度上は「安全配慮義務」という信義則上の規定しかありません。

 

 「海外展開するなら、企業内で以下の体制を作ることを義務付けます」

 

という法律は存在しないのです。

 

 

 

他方で、現在の世界の様子を見ていると、テロや重大犯罪はより多くの国に拡散しています。

今後もし海外で活躍する日本人がテロや重大犯罪で次々に亡くなるなどという事態が発生すれば、近い将来海外展開企業に安全対策体制を義務付ける法案が国会に提出されてもおかしくありませんよね。

 

ハラスメント対応で今まさに発生しているように、法制化される直前の駆け込みでなんとかする、というのも一つの選択肢でしょう。ただし、海外での安全管理は文字通り従業員の命に直接的に影響するもの。このテーマこそ

 

「法制化されるから対応する」

ではなく、

「時代の変化に合わせこれまで通りの対応ではまずいから先手を打って対策を講じる」

 

という対応をより多くの企業の方に選択して頂きたいと考えています。

 

 

もう一つ先手を打って取り組むメリットがあるのは「ブラック企業」というレッテルを避けられる点です。セクハラやパワハラの対応が法制化される前に、ハラスメントが横行している会社は「ブラック企業」と呼ばれ採用や労働者の定着に問題が生じるようになっていました。その上でさらに各種対策の義務化が法制化されようとしているのです。

 

同じような流れが海外展開企業の安全管理にも当てはまるとすれば・・・。何らかの対応が義務付けられる前に

 

「あの会社は海外事業をやっていながら自社の社員も満足に守れない状態で海外に社員を送り込んでいたのだ」

 

と言った非難が巻き起こり、「ブラック企業」として名指しされるかもしれません。海外で活躍できる企業に就職したいけれど、安全が確保されていないような「ブラック企業」は避ける、というのはごくごく自然な考え方だと思うのです。

 

ブラック企業の要素として「海外での安全管理が十分でない」というものが加わる前に。

そして安全管理体制の法律上の義務が議論される前に。

 

今まさに海外での安全対策の取り組みを進めておくことが御社の経営そのものを守るために必須だと考えています。

 

 

 

この項終わり