安全対策担当にはゆとりが必要不可欠

この記事のURLをコピーする

日常的に安全対策担当が疲弊していると…

 

さて、緊急事態が発生した際の安全対策担当者の大変さはわかっていただけたかと思います。さらに問題なのは、こういった緊急事態がいつ発生するかわからないこと。

 

年末年始や決算期、販促キャンペーンの時期等、業種や業態によって「仕事のピーク」が来ることがあります。こういった時期になると担当者は寝ている暇もないくらいの忙しさに見舞われることもあるでしょう。ただ、こうした「仕事のピーク」のタイミングはある程度想定できるのです。そして、経験値を積めば積むほど「仕事のピーク」に備えた下準備をしたり、ピーク前に休みを取って体調万全の状況で繁忙期を乗り切る、ということができるようになります。

 

さて、安全対策上の緊急事態はどうでしょうか?こちらは「仕事のピーク」とは違っていつ、どこで、どんなことが起こるのかが予測できません。ある日突然、不意打ちのように緊急事態が発生し、連日連夜の非常事態対応が始まるのです。複数の事態を想定した対策訓練は実施できるかもしれませんが、何が起こるのかわからない以上繁忙期に必要な対応を少し前倒しして行うような準備作業は不可能です。さらにこうした対応が始まる前に十分に休みを取っておくことも難しいでしょう。

 

風邪や睡眠不足の時に仕事がはかどらない、集中力が保てない、というご経験はだれしもお持ちのはず。安全対策担当者の体調が十分ではない時に緊急事態が発生してしまうと、当然ながらいざという時の対応も鈍くなってしまう可能性があります。

 

このため、緊急事態に対応することが本来業務である消防署では次の図のようにシフトを組み、いつ、どこで、どんなことが発生しても元気な消防隊員が対応できるように工夫されているのです。理想的には安全対策担当者もこのくらいの休みを挟み、ゆとりをもって業務に向き合うことが必要でしょう。

京都市消防局のウェブサイトよりキャプチャ

 

もし、これをお読みの企業・団体の皆さんが世界各地で緊急事態に巻き込まれたとご想像下さい。日本の本部で支援の中心的役割を担う人が日常業務で既にくたびれている状況で命を預けられますか?ちょっとの判断ミスが更なる事態悪化につながる可能性が高い緊急事態だからこそ安全対策を担当する方(チーム)は常にフレッシュな状態、ゆとりのある状態でいつか来る日に備えておくべきだと考えています。

 

【次ページでは・・・そうは言っても、安全対策担当者を多数揃えるわけにはいかない・・・ならば!】