組織としての安全管理 ‐安全配慮義務‐ (後編)

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安全配慮義務違反を指摘された場合の影響

万が一従業員が海外で何らかの被害に遭った場合、所属元の企業や団体は安全配慮義務が十分であったか問われる可能性があります。そして、安全配慮義務が不十分であったとされた場合には、企業や団体側の想像を超えるネガティブな影響が出かねませんのでご注意ください。

 

ネガティブな影響とは

 

・被害者およびその家族との訴訟対応に費用や実務労力がかかる

・訴訟や和解の結果次第で被害者への損害賠償金が必要となる

・社会的な信用が失われ、企業・団体のブランドイメージが毀損する

・上場企業であれば株価の低迷に伴い時価総額が下がる

・安全配慮が十分ではない、との評判が定着すると人材採用にも逆風となる

 

などといったものです。

 

現時点では海外での安全管理について安全配慮義務不足と認定された事案はまだ少ない状況です。他方で、例えば電通の過労死事件(下の参考記事参照)はもちろんのこと、労働災害が多発している企業、セクハラ・パワハラ問題で社員から訴えられた企業・団体には既に上記の影響が強く表れています。

ビジネスにおいて、予測できないリスクは多々ありますが、テロや襲撃にはじまり交通事故に至るまで、海外で関係者が何らかの理由で死傷することはまったく予測できないことではありません。

そういった予測しうる事態になんら備えておらず、

「まさかこんなことが起こるとは思いませんでした」

としか言えないのは企業・団体としてやってはいけない行動の一つであり、深刻な悪影響を招きかねません。

 

もし、皆さんの企業・団体が海外でも事業展開を行っている場合、その安全配慮は十分でしょうか?特に皆さんご自身が海外に駐在や出張される立場の場合、企業・団体側があなたの安全に必要な情報を提供してくれていますか?

是非とも、ご自身の身を守るために、そしてまた所属している企業・団体がより一層反映し続けるために、安全配慮がどうなっているか、ご確認いただければと思います。

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電通の株価下落と過労死自殺の関係を報じるニュース(JCASTニュースより)

 

この項終わり