traffic accident

海外で交通事故に遭った場合どうする??

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相次いだ海外での日本人の交通事故被害

2024年10月17日にトルコで、24日にはマレーシアで日本人の観光客が交通事故に遭いました。トルコでは22人が負傷、マレーシアでは1名がお亡くなりになり、10人が負傷しました。この場でお亡くなりになった方のご冥福をお祈りするとともに、怪我された皆様の早期の回復をお祈り申し上げます。死亡事故になってしまった後者の事案ではツアーを主催していたJTBが記者会見を開いてお詫びを表明したこともあって、日本語メディアでも大きく報じられました。

 

ここで素朴な疑問が浮かびます。日本人が負傷するような海外での交通事故の報道を見かけることはほとんどありません。今回、一週間で二回も事故が起こってしまっているのですが、何か世界全体で交通事情が悪化しているのでしょうか?

 

実は日本人が死傷する交通事故は皆さんが報道で触れるよりもはるかに多く発生しています。海外で事件や事故に巻き込まれ、各地の大使館に助けを求めた日本人の数を集計している外務省の統計資料があります。その名も「海外邦人援護統計」。こちらを見てみると現時点で最新版である2022年の一年間で交通事故は27件で33人が巻き込まれており、内6人が死亡しています。2022年はまだ新型コロナウイルスの影響があり、海外に駐在・渡航する日本人が少なかったのですが、おおよそ2週間に1回は日本人が巻き込まれる交通事故が発生していたことになります。

では、コロナ禍が始まる前、2019年の統計を見てみるとどうでしょうか?日本人が巻き込まれる交通事故の件数は119件で死亡者は8名。計算上はなんと3日に1回、日本人が海外で交通事故に巻き込まれていた計算になりますね。2024年10月に大きく報じられた「1週間で2度」の交通事故ペースが一年中続いていたのと同じくらいの発生数です。

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コロナ禍前2019年には全世界で119件=3日に1回のペースで日本人が交通事故被害に遭っていたことがわかる外務省の海外邦人援護統計

この海外邦人援護統計では日本からの観光客なのか、現地で長く暮らしておられる方なのかは読み取れませんが、海外旅行では交通事故も安全上のリスクであることは明確です。ツアー旅行でバスに乗車する際に、運転手の資質やバスの車両としての安全性を細かくチェックすることは難しいもののシートベルトを着用する、乗車中も異変がないか車窓を楽しみながら注意力を保つといった工夫は行った方がベターです。

 

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日本の交通事情を当たり前と思ってはいけない

日本でも交通事故は多く発生していますが、その数はこの10数年かなり減少してきています。安全性の高い車両が大部分であること、道路の表面やミラーや標識等付帯設備もきめ細やかに運営維持されていること、そしてほとんどの国民が交通ルールを順守することを当たり前だと考えて移動していることなどがその背景にあるのではないでしょうか?他方、海外ではこれら3つの条件のうち、1つ以上が満たされていない国・地域が多数あります。日本の交通事情を当たり前だと思って海外に出るとびっくりすることになります。実際には、「日本の交通事情が特殊」くらいに考えておかなければ無防備な状態で事故に遭いかねないと言ってもいいかもしれません。

 

例えばこちらの写真はベトナムの大通りを上空から撮影したものです。日本ではまず見かけない数の二輪車が乗用車を取り囲むように、所狭しと並んで通行しています。「車間距離を取りましょう」と、運転免許の教習所や免許更新時の警察講習で繰り返し聞かされている日本人にとってはこの光景は衝撃的です。また、この写真は二つの道路の合流地点ですが、その合流ルールも「譲り合い」という言葉が行方不明に思える状態ですよね。日本人の歩行者がこの道路を横断するのは至難の業ですが、現地の方は平然とここを横切って行くこともある。これがベトナムの交通事情です。

また、東南アジアやインドにかけてはリキシャー、トゥクトゥク等の名称で呼ばれる三輪タクシーも多く走っています。乗用車、二輪車、三輪車、自転車に加え、歩行者も我先に移動する。こういった交通状況が当たり前のようにそこかしこに広がっているのが世界の道路事情であることを覚えておいてください。ちなみにしかしながら転倒した際には道路に投げ出されることもあります。また大きく空いた乗降口から荷物をひったくられるといったトラブルも発生しやすいため、現地に慣れるまでは一般的には利用はおススメしません。もし、利用される場合も周囲に注意し、車体のフレームや手すりにしっかりつかまっての利用を推奨します。

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また、国によっては飲酒運転等が非常に多いケースもあります。日本でも飲酒運転が原因で悲惨な事故が繰り返されているのはご存じの通りですが、海外の一部地域での飲酒運転率はその比ではありません(オーストラリア等、法律上呼気のアルコール量がゼロでなくてもよい、というルールの国もあります)。

 

犯罪の発生率は日本よりも海外の方が総じて高いため、日本と同じような警戒度合では犯罪者に狙われやすくなります、というお話は当サイトでも繰り返しお伝えしてきています。交通事故に関しても海外渡航先では前提条件が違うため、「日本で大丈夫だから」は通用しないことを今一度理解するようにしてください。

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事故に巻き込まれてしまった際の基本対応

海外での交通事故リスクについてご説明してきました。こうした事故を避けるためにまずは歩いている場合でも、自動車に乗っている場合でも常に周囲への注意を怠らないようにしてください。特に日本では何の気なしにやっている歩きスマホやイヤホンで音楽等を聴きながらの歩行はやめた方が無難です。これらはご自身で注意力を遮断する行為です。「日本で大丈夫だから」で最もやってはいけない行為が歩きスマホとイヤホンの使用と言っても過言ではありません。

自動車に乗っている場合も、ご自身で自らの安全を守るための工夫は必要不可欠です。特に旅行先では車両が十分に整備されているのか、担当する運転手の運転の技量が十分なのかをしっかりと確認することは困難でしょう。最低限、交通ルールを守れない、スピードを出しすぎるといった運転手の場合には旅行会社の担当者経由、あるいは運転手に直接安全運転(ゆっくりと運転せよ、車間距離をとれ等)指示することも事故防止に役立ちます。

 

最後に事故に遭ってしまった場合、どのように対応すべきかをまとめておきます。

◎歩行者として事故に遭った場合の対応

自力で動ける場合は歩道などの安全な場所に移動してください。動けない場合は、周囲の人に助けを求め警察や救急窓口への連絡を依頼しましょう。怪我の応急処置等を終えるなど、命に別条がないタイミングで警察に正式な通報を行い、事故状況の調書などを作成してもらうようにしましょう。後々保険会社への治療費請求で公式な調書が必要となるケースがあります。

 

◎運転者として事故を起こした/巻き込まれた場合の対応

ご自身が運転する、あるいは担当の運転手が運転する車両が対人の事故を起こした場合は、まず人命を第一に考え、被害者の手当てを行ってください。必要に応じ周囲の人の力も借りて迅速に病院に搬送してください。

ただし、一部の国・地域では交通事故が発生した際加害者側を群衆が取り囲み暴力で私的制裁(リンチ)を加える場合があります。このような事態が発生しかねない国では相手の救護よりも先にご自身の安全が確保できる場所まで移動しましょう。安全を確保した状況で警察に事故の一報を入れ、公式な救護、現場での事故状況の捜査に協力します。

 

なお、上記いずれのケースでも、緊急時の対応を支援してくれる「アシスタンス会社」と契約していれば現地での対応をサポートしてもらうことが可能です。大きな企業・組織・学校法人、あるいは大手旅行代理店は海外旅行保険と同時にアシスタンス会社の支援が受けられる契約を行っていると思います。旅行前にはこうしたアシスタンス会社の窓口の連絡先を確認することも大事な準備の一つと言えます。

この項終わり