2018年10月31日、パキスタンの最高裁判所はイスラム教を冒涜したとして死刑判決が下されていたキリスト教女性に対し、逆転無罪を決定し、拘束されていた女性を釈放する決定をしました。
この最高裁判決に対する不服を訴えるイスラム教団体等が水曜日以降デモや座り込みを行っています。参加者は「(イスラム教の)侮辱者は死んで当然」といった趣旨のプラカードを持って抗議するなど、激しい表現も辞していません。
首都のイスラマバードや南部の最大都市カラチでは特に抗議活動が活発ですが、全国的に抗議活動が行われている状況です。一部の地域では抗議団体同士の衝突も報告されているとのこと。
本日11月2日は同判決後最初の金曜日です。パキスタンでは毎週金曜日の午後に各地のモスク等で集団礼拝が行われており、普段以上にイスラム教宗教心が高まります。宗教心が高まった人々が集まるため、そのまま街頭に繰り出して抗議行動を行うことも想定され、特に本日午後はパキスタン全土で警戒が必要です。
なお、在パキスタン日本大使館および在カラチ日本総領事館は以下の通り滞在中日本人向けの注意喚起を発しています。
(1)当地の各種報道等より最新の安全情報を入手するようにし、安全な行動を心掛ける。
(2)宗教行事や集会が行われている場所には、決して近づかない。
(3)移動途中等に集会等に遭遇した場合には、速やかにその場から離れる。
(4)攻撃の標的となりやすい場所(宗教関連施設、宗教行事開催場所、政府機関、軍・警察等治安当局施設(含む車両、検問所等))には出来るだけ近づかないようにし、その他の場所(国連関係機関、外国資本の有名ホテルやファースト・フード店を含む欧米関連施設、レストラン、マーケット、報道機関、駅、バス停、大型商業施設等)での用事についても、短時間で効率的に行なうように心掛け、常に周囲の状況に注意を払い、不審な状況を察知した場合には、速やかにその場から離れるようにする。