「自信」がパニックを防ぐ

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疑似体験するだけで命を守る確率が上がる

 

少し話は変わりますが、皆さんが自転車に乗る練習をしていた時、ちょっと左右にふらつくたびにドキドキしていませんでしたか?慌ててハンドルを操作するので一層バランスを崩し、すぐに転倒してしまっていたのではないかと思います。最近お子さんに自転車の乗り方を教えた方であれば、予想以上に怖がるシーンを覚えておられる方もいらっしゃるかもしれません。

 

 

 

bicycle practice child

 

自動車の運転免許を取るときも同じだったはず。運転に慣れておられる方は、右折するからといって緊張することは何一つないと思います。が、自動車学校で仮免許を取り、はじめて公道で右折せよ、と言われた時はどうだったでしょうか?

心拍数があがり、汗があちこちから吹き出し、腕に力が入ったままなんとか右折を完了するという状況を覚えておられるのではないでしょうか?半ばパニック状態のまま、あっという間に教習の一時間が過ぎてしまったという記憶をお持ちの方もおられるかもしれません。しかしながら、運転に慣れてくると心拍数があがることもなければ、汗が出ることもなく、自然体で思った通りに右折できるはずです。

 

アマンダ・リプリーさんによればパイロットであれ、消防士であれ、はじめて本番さながらの訓練を行った方はほぼすべてのケースで心身の状態が人間の持つパフォーマンスを適切に発揮できるレンジを超えてしまうとのこと。

これはどれだけ訓練を積んだ軍人であっても初めての実戦に参加した時同じそうです。この本の表現を使うのであれば「(初めての実戦飛行の時、ヘリコプターのコックピットに乗り込んで)しかるべき操作を始めたが、ものすごくゆっくりだった。二段階遅れていた」という状況なのだとか。危険が少ないエリアを任されていることを頭で理解していても、心身がパニックになって、訓練でやっていたことすらできなくなってしまうようですね。しかしながら戦闘経験を積むにしたがって、訓練と同じようにヘリコプターを戦場で思い通りに飛ばすことができるようになるそうです。

 

 

こうしたケースから何が言えるでしょうか?何事も初めて取り組む動作は必要以上に緊張し、パニックになり、望ましい行動はとれないということです。真に迫る訓練を一度でも行うこと、そしてもし機会があれば本当の危機的状況を経験することが、「生存確率」を広げるにつながるとも言えます。訓練を通じて、ちょっとした準備(避難経路を確認しておく等)のコツをつかむこともできます。

 

言い換えれば、万が一大惨事に遭遇したとしても

 

大丈夫、自分は今回の疑似体験を済ませている

大丈夫、自分は生き残る準備ができている

大丈夫、心拍数は速いけど、体は動かせるし、頭も動いている

 

と感じられる方、サバイバルする自信のある方は生き残る確率があがるということですね。

 

 

思い起こせば、世界銀行が主催する待ち伏せ攻撃訓練を受けた時にも似たようなことを教えられました。世界銀行の担当者は

 

 「この訓練を受けることで生き残るテクニックをつかむことはできないと思う。

 ただ、この訓練を受けた人間は『生き残れるはずだ』という自信を持ってくれる。

 極限状態ではその自信こそが生死の分かれ目になるのだと信じている」

 

と発言しています。

 

万が一大惨事に巻き込まれた際、皆さんは生き残る自信がありますか?

 

この項終わり