トップ画像はハリケーンフローレンスの進路を報じるBBC HPより
もし旅先で自然災害に遭遇したら
先週は台風21号に加えて北海道で初めて震度7を記録した大震災が発生しました。日本で暮らしている限り自然災害とは無縁でいられないとはいえ、あまりの自然の猛威にただただ言葉を失う自分がいました。
改めて災害でお亡くなりになった方のご冥福をお祈りするとともに、大切な住居や資産に被害を被られた方へのお見舞いを申し上げます。
日本人の皆さんも甚大な被害を受けており、大変心配ですが、もう一つ尾崎が気になったのは多くの外国人観光客が途方に暮れていたこと。不慣れな土地で言葉も通じず、何が起こっているかも把握できない、そして移動もできないという状況での心細さは察するに余りあります。
旅先で飲食料品を備蓄できる人はほとんどいない
普段日本で生活している日本人であれば、災害の発生を前提としてある程度の備えはできます。
断水しても大丈夫なように飲料水は備蓄しておく
周囲のお店が機能しなくても食いつなげるように食料も備蓄しておく
電気やガスが止まっても大丈夫なようにカセットコンロを買っておく
情報源を確保するために蓄電池や手回しラジオを買っておく
家族全員で避難先を確認しておく
といった備えは各自治体も頻繁に呼び掛けているものです。
しかしながら、旅行先ではこうした備えは困難です。自宅や職場、学校など普段から多くの時間を過ごしている場所では飲食料品の備蓄ができるでしょう。では旅行先で、そういった備蓄を保管できる場所があるでしょうか?一か月以上の滞在を計画されていたり、古くからの友人がたくさんいる場所に旅行する、といったケースを除けば、安心して長く滞在できる場所さえ確保することができない、という状況にも陥りかねませんね。
先週は日本に旅行に来ていた外国人の方が日本国内でこのような「手詰まり」の状況に直面しました。が、よくよく考えてみると自然災害が発生するのは日本だけではありません。
例えば、上の画像でも紹介しているハリケーン「フローレンス」。史上最大級のハリケーンがアメリカ東海岸、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州付近に上陸し、広い暴風域を保ったまま、内陸部を北上する予報になっています。
世界中を相手に我が物顔で発言を続けているトランプ大統領でさえ
「(ハリケーンの)進路から逃げたほうがいい。(Get out of the way.)」
と発言しているほどです。
アメリカ東海岸には多くの日本人観光客の方もいらっしゃるはず。恐らく備蓄がないであろう旅先で、ハリケーンで被害を受けないことを祈るばかりです。
旅行先では自分も「災害弱者」になるという発想を
外国人観光客が日本国内で自然災害の被害に遭うと、
飲食料品の備蓄はない
携帯の電池もあっという間になくなり、家族に連絡も取れない、
周囲で何が起こっているのか(日本語以外で)ほとんど情報が入らない、
という状況になります。適切な避難場所に行くこともままなりませんし、万が一二次災害等が発生した時には真っ先に二次災害の被害に遭うでしょう。
言葉を替えると
土地勘のない不慣れな場所で
得意ではない言語が離されている土地で
なんの備えもなく現地の人たちですら戸惑う状況
に置かれてしまうと人はみな圧倒的な災害弱者になるのだと思います。
これは外国に出ている日本人にも全く同じことが当てはまるはずですよね。飲食料品の備蓄、一定期間安心して留まれる宿泊施設等をあらかじめ旅先に用意することは難しいですが、災害弱者になる可能性がある、ことを認識し、せめて情報入手経路だけは確保しておいたほうがよいのではないでしょうか?
ではどうすれば情報を入手できるのか?
アメリカ東海岸を襲うであろう「フローレンス」については、在アメリカ日本大使館も以下のようなメールを次々に送信して日本人の方に注意を呼び掛けています。このメールは大使館/総領事館に「在留届」を提出された方と、外務省の「たびレジ」システムから今アメリカを旅行中であると登録された方に送られているものです。
日本語で避難命令が出ている州が明記されており、最低限確認しておくべき現地ホームページのリンクも丁寧に説明されています。また、ここではご紹介しませんが、在アメリカ日本大使館が作成した「自然災害対策」というパンフレット(PDF)もわかりやすく、役に立つ情報満載でした。
困ったときに途方に暮れるのではなく、せめて日本政府、現地大使館が発信する情報は簡単に入手できるようにしておきたいもの。旅先で自然災害に遭うことはもはや「万が一」ではなく、「しばしばあること」になりつつあります。旅行を楽しんでいる間は自分自身が災害弱者になるということを想像しにくいですが、旅先では誰もが弱者になり得る、ということを心に刻んでおく必要があるのではないでしょうか?
災害のニュースが目立つこの一週間で尾崎が感じたことをお伝えさせていただきました。
参考リンク
この項終わり