戦争に備えるよう国民に呼びかける北欧諸国
2024年11月スウェーデンやフィンランドで戦争を念頭に置いた危機的状況下でどのように行動すべきかをまとめたパンフレットが改訂・配布されています。これはロシアとウクライナの軍事衝突が激しさを増していることを踏まえた国民保護の一環です。第二次世界大戦以降、世界の主要国では数十年大きな戦争がなかったのですが、ここにきて核兵器の使用の可能性も含め先進国同士の戦争も否定しきれない状況です。特にロシアと国境を接している国や距離が近い北欧諸国ではより状況は深刻です。スウェーデン政府は第二次世界大戦中に初版が発行されたパンフレットを今一度改訂し、空襲時の避難方法や各家庭で行うべき飲食料品、医薬品、日用品の備蓄等を国民に周知する取り組みを強化しました。
スウェーデン政府は11月末までに同国内の全世帯にこのパンフレットを配布する方針です。もちろん、スウェーデン国内には外国人として滞在している方もいらっしゃるためスウェーデン語だけでなく、英語版も作成され、オンラインでダウンロードが可能な状態になっています。現下の世界情勢では日本も戦争に巻き込まれる、あるいは日本の国土が戦地になりうることを全く絵空事として否定することはできません。このため、当サイトとしてもこのパンフレットを手元にダウンロードしてみることは推奨したいところです。
いざ戦争になってしまった場合に右往左往する住民ばかりでは敵国に好き勝手やられてしまいます。また専門の医療関係者でなくても対応が可能な止血や最低限の応急処置の基礎知識を知っている人が増えれば、死者を一定数減らすことができるに違いありません。もちろん、戦争に巻き込まれず、パンフレットを使わなくてよい状態が一番良いのは当然ですが、全く知識やイメージトレーニングができていないという状態では国として立ち行かなくなります。全戸配布には相当の税金が用いられることになりますが、そのコストをかけてでも戦争が起こる前に備える必要があるという判断なのではないでしょうか?
海外事業展開先で身動きが取れなくなる要因
戦争/軍事衝突ほど極限状態ではなくても海外では思いがけない原因で、駐在者や出張者が業務はもちろんのこと、外出すらままならなくなることがあります。もしくは外出はできたとしても、日常生活が継続できなくなるような物資不足に見舞われることもあります。海外では開発途上国だけでなく、先進国と呼ばれる国でも物流や交通インフラの復旧が日本ほど迅速でないことも多いからです。
例えば
・クーデター
・感染症予防のための都市封鎖
・大災害
・大規模な人民デモ
・選挙等に端を発した混乱や事実上の内戦状態
などが挙げられます。こうした事態は一個人でどうこうできるものではなく、ましてや事前に100%の予知ができるものでも、誰かが警報を発してくれるものでもありません。ある日突然、会社や取引先に行くことができなくなってしまうだけでなく、スーパーマーケット等にも行けなくなってしまいかねないのです。もし、状況が許して買い物に出られたとしても、そこに商品がなければ食べるもの、飲むものにすら困ってしまうことになります。日本よりもリスク要因が多く、またインフラや物流のレジリエンスが低い海外の事業拠点では日本以上に備蓄品がなければならないことをわかっていただけるのではないでしょうか?
災害に慣れている日本であっても例えば2024年3月の地震の際には関東周辺で水が品切れになりました。また、夏以降は関西の地震に端を発して米がスーパー等の店頭から姿を消したのは皆さんの記憶にも新しいハズです。特にお米が店頭から消えた際には普段飲食料品の備蓄をしていない家庭で半ばパニック状態になり、必死になって買いだめに走ったケースも耳にします。日本では政府も自治体も地震や台風に備えて普段から1週間から10日分の備蓄を繰り返しているのですが、まだまだ備蓄は定着していないように思います。
家庭レベルと違い、一定規模以上の企業であれば、ある程度社内に備蓄を進めているかもしれません。では、そういう会社で海外に従業員、関係者を派遣している場合海外の事業拠点や駐在員の借り上げ住宅等に飲食料品や生活必需品の備蓄を用意している割合はどのくらいでしょうか?もしかしたら海外事業拠点では各責任者任せ、駐在員任せになってはいないでしょうか?
日本と同様海外でも飲食料品・生活必需品の備蓄を!
実は当サイトとして海外に事業展開している企業・団体に最初に取り組んでいただきたい危機管理施策の一つが飲食料品・生活必需品の備蓄です。これは特殊な能力や設備投資を必要としません。日本で推奨されているような「ローリングストック」を実践する気があるかどうか、心構え一つです。もちろん費用がなければ1週間~10日分の飲食料品や生活必需品は買えませんので、その分を組織として負担・補填する必要はあるかもしれませんが、警備員を雇用したり、監視カメラを増設するよりもはるかに安価な投資で済みます。また、ローリングストック方式であれば無駄になることもまずありません。それでいていざという時に、従業員・関係者の命をつなぐために最初に使えるわけですから、取り組まない理由はないのです。
ただ、1点注意が必要なのは備蓄品の管理は難易度が高いこと。駐在者個人の裁量に任せてしまえばそれで解決しなくもないのですが一定規模以上の日本人が集まる拠点では会社側も彼らの生活を守る義務が生じます。その際に何がどこに、どの程度あるのか、賞味期限や使用期限がいつなのか、追加購入をするならいつがよいのか?などの管理の仕組みを作らず現地に丸投げするだけでは義務を果たしているとは言い切れません。むしろ、担当者の負担は増すばかりで結果的に備蓄がおろそかになっては本末転倒。
会社の規模、現地の人材によってどのような仕組みがいいのかは一概に言えません。エクセルなり、手書きの表でも対応できる事務所・支社もたくさんあるとは思いますが、本社でも記録を残し、関係者の業務効率化を図れるとすれば、データの一元化は考えてもいいかもしれませんね。当サイトで検索したところ直近日本国内での災害に備えて、複数の自治体が活用している備蓄管理システムがあるようです。
海外での備蓄の重要性を感じていただけたのであれば、ぜひ一歩進んで、現地でどのように備蓄を実現するのか、また適切な備蓄が維持された状態を継続できるか、をぜひ検討いただきたいと思います。具体的な取り組み手法や勤務地、現地の関係者数、事業概要等を踏まえた備蓄マネジメントにご関心をお持ちの方はぜひ当サイトお問合せページからご相談下さい。
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