ベルギー首都中心部での銃撃事案

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2023年10月16日現地夜、ベルギー首都ブリュッセル市内中心部イプル通りで、何者かがスウェーデン人2名を射殺する事案が発生しました。犯人は逃走中です。本件を受け、ベルギー国内のテロ脅威度が引き上げられています

 

ベルギー市内中心部の路上で発生し、蛍光オレンジ色の作業用ベストを着用した犯人1名が、カラシニコフ銃を発砲し、少なくとも2名が死亡しました。死亡したのはいずれもスウェーデン人で、同日夜行われる予定のサッカーベルギー代表VSスウェーデン代表の欧州選手権予選の観戦予定だったとみられています。犯人は「自分はISISのメンバーである。イスラム教徒として世界に復讐する。既に3人を殺した」といった趣旨を叫んでいたとの目撃証言もあります。

現時点で犯人は逃走中であり、現地警察当局は本件をテロ事案と見て捜索を継続しています。地元警察は危険な人物が排除されるまで、可能な限り自宅等安全な場所で待機するよう周辺住民に呼び掛けています。

 

ベルギー危機管理当局は本事案を受けて、ベルギー国内のテロ脅威度を引き上げました。現在ブリュッセル首都圏は4段階中最も高い4(最高の警戒レベル)に、首都圏を除くベルギー全土を4段階中の上から二番目となる3に設定されています。

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テロ警戒レベル引き上げがトップに表示されるベルギー合同脅威分析ユニット(CUTA)のHP

ベルギーでは2017年首都の空港や地下鉄での爆破テロ(いずれもISISが犯行声明を発表)をはじめ、過去にテロとみられる事案は複数発生しています。また、世界的にもイスラエルとパレスチナの問題を背景として過激な思想に基づく行動が起こりやすい地合いである点にも注意が必要です。

他方で現時点で日本人だけを標的としたテロが発生することは想定しづらいと言えます。ベルギーを含む欧州各国、あるいはアメリカ等での活動は十分可能ではありますが、巻き添え被害を避けるため、1)リスクの高い場所に、2)リスクの高い時間にいないこと、また、3)リスクに対する感覚を保つことの三点を意識するようおススメします。より具体的には人が多く集まる施設(ホテル/空港/駅等含む)やイベント、宗教関連施設等への滞在時間を可能な限り短くすること、また路上を含め常にご自身の安全を最優先に周囲への注意を怠らないことを推奨します。

 

【参考】テロ巻き添え被害は「ダイヤルロック」式

 

追記

10月17日、ベルギー警察は本件事件の犯人をブリュッセル市内で発見し、射殺しました。事態の鎮静化を受け、ベルギー合同脅威分析ユニットはブリュッセル首都圏のテロ脅威レベルを4段階中の3に下げています。これをもって現在ベルギー国内は首都ブリュッセルを含め全土のテロ脅威レベルが4段階中の3となっています。

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