キルギス治安最新情報(2024年11月)/海外安全.jp


0.キルギスにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在キルギス日本国大使館  :+996-(0)312-375-515

休日等閉館日:+996-(0)312-975-215

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察  :102

◎救急  :103

◎消防  :101

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

キルギスに対しては、アメリカ政府を除く三か国はほぼ同じリスク評価を設定しています。いずれもウズベキスタン、タジキスタン国境(オシュ、ジャララバード、バトケン)に対し、他地域よりも注意を高める必要がある旨記載があります。
また、それ以外の地域でも反政府デモや市民騒擾などの可能性があること、強盗による被害に注意することなどが明確に記載されています。
アメリカ政府のみ、タジキスタンとの国境付近だけ限定的に注意喚起レベルが上がっていますが他の参加国と比して注意喚起レベルは低めです。

【海外安全.jpのコメント】

アメリカ政府を除く三か国の政府は、キルギスに対し、一定程度高いレベルの脅威情報を設定しています。一見警戒が低く見えるイギリス政府のトラベルアドバイスでも文章上は各種リスクが詳細に説明されており、安全が確保されていると評価されているわけではないことが想定されます。

 

加えて特に大都市部での凶悪犯罪が多く発生している点にも注意が必要です。強盗や強姦に十分注意し、夜間はもちろん、治安の悪い地域には近づかないことを推奨します。

治安が著しく悪い国とまでは評価されていないものの、オーストラリア政府が記載するように、滞在中はつねに周囲の様子に注意を払い、現地の治安、政治関連ニュースの収集に努めることをおススメします。

2.日本政府の危険情報

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

・バトケン州内のウズベキスタンとタジキスタンの飛び地

・バトケン州内のウズベキスタンとタジキスタンの国境地帯

・オシュ州とジャララバード州のウズベキスタンとの国境地帯

 

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

・レベル3地域以外のバトケン州全域

・レベル3地域以外(国境付近ではない)オシュ州及びジャララバード州

 

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

上記を除く全土

 

キルギス国内では最も高い危険情報であるレベル3が設定されている地域はイスラム過激派組織及び麻薬密輸グループの移動ルートであるとされています。こうした武装勢力、犯罪組織とウズベキスタン及びタジキスタン当局との衝突が発生しているため、渡航を延期するよう強い注意喚起が設定されています。

レベル3地域を除くバトケン州、オシュ州及びジャララバード州では、民族衝突や野党勢力による反政府抗議活動、治安当局とイスラム過激派組織等の間での銃撃戦が発生する危険性があり、「不要不急の渡航は止めてください」が設定されています。

上記を除くキルギス国内の大部分は、首都ビシュケク市をはじめ「レベル1:十分注意してください」に留まっています。しかしながら、反政府勢力によるデモ活動やイスラム過激派によるテロ行為及び過激派武装勢力と治安当局との銃撃戦等が発生するおそれがあるとの説明がなされています。

 

また、レベル1の地域であっても大規模なデモが発生している時にはデモに近寄らない、夜間や人通りの少ない地域には立ち入らない、混雑している場所では手荷物、貴重品を目の届く場所で持つ、といった具体的な注意喚起がなされています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

タジキスタン国境付近国境を越えた武力衝突に巻き込まれる可能性があるため「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。

タジキスタンとの国境付近を除く全土

特段の注意がありません。ほぼ全土が「一般的な注意を払ってください:Exercise normal precaution」の対象となっています。日本やオーストラリアと比べるとアメリカ政府のキルギスへのリスク評価は低くとどまっています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、一時全土が「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」に設定されていました。

現時点で地図上でのリスクレベル評価はなされていませんが、文章の表記としては感染症の影響が広がる前に治安情勢を基に設定されていたリスクレベルまで戻されています。

(以下地図はパンデミック拡大前に公開されていたリスクマップです。)

全土が「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」の対象となっています。

日・豪の両国によるトラベルアドバイスに比べリスク評価が緩いように見えますが、本文ではテロの危険性が排除されないこと、また特にタジキスタンやウズベキスタンとの国境が予告なく封鎖される可能性があること、またキルギスとタジキスタン国境では予期せぬ武力衝突が発生していること、等詳細な注意がなされています。

特にオシュ、ジャララバード、バトケン州への旅行の際は、潜在的な武力衝突の可能性を念頭に入れておくよう助言されています。

 

通常一般犯罪についてイギリス政府は強い注意喚起をしませんが、強盗被害が多く発生していることを踏まえ、多額の現金を公の場で見せることのないよう注意が記載されています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で以下新型コロナウイルス感染症拡大前のリスクレベルに戻されています。

kyrgyz-aus-level

オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

キルギスではウズベキスタン、タジキスタンとの国境付近(オシュ、ジャララバード、バトケンを含む)及びフェルガナ盆地に対し、上から二番目の「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されています。これら地域では治安情勢が不安定であり、市民騒擾や組織犯罪のリスクなどが高いとされています。また過去の地雷が撤去されずに残っている地域もあるとの記載があります。

これ以外の地域には5段階の真ん中である「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されています。滞在中はつねに周囲の様子に注意を払い、現地の最新情報を入手するようアドバイスされています。

6.最近の治安ニュース

キルギス選挙結果への抗議デモ(2020年10月5日)

2019年8月7日ビシュケク郊外の村落でアタムバエフ前大統領を拘束しようとキルギス軍が同氏宅に突入しました。支持者らの抵抗にあい、アタムバエフ氏の拘束はできず、死者1名、負傷者45名を出す大規模な衝突が発生しました。

 

8月8日、政府当局や軍によるアタムバエフ氏拘束の動きを批判する大規模な反政府集会が行われました。

キルギス首都ビシュケクでの政治集会

 

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