モルドバ治安最新情報(2024年4月)/海外安全.jp


0.モルドバにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在モルドバ日本国大使館 :+373-(0)22-23-3380

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察、救急、消防(共通):112

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

モルドバに対しては、各国政府ともドニエストル川よりも東側、トランスニストリアを除いて安全度が高いと評価していました。一般犯罪の発生率も高いというレベルではなく、日本人の方が常識的に行動していれば、トラブルに直面することは少ないであろう、と言えます。

ただし、2022年2月ロシアがウクライナに軍事的侵攻を行って以降、日・米・英・豪ともに順次モルドバに対するリスク評価を引き上げています。ロシアによるウクライナ侵攻の状況はどのように変化するか予測が困難であり、いずれの政府もしばしばリスク判断や注意喚起内容を変更しています。

【海外安全.jpのコメント】

各国政府とも、トランスニストリアを除き、モルドバへ渡航する国民への注意喚起は最小限でしたが、ウクライナ危機を経てリスクレベルが引き上げられています。現時点でモルドバ国内での軍事的衝突は確認されていませんが、ウクライナと国境を接している国々では難民の流入や混乱の拡大が懸念されています。現地時点で当サイトとしては、モルドバ国内、ウクライナとの国境付近約30キロ以内には立ち入らないことを推奨しています。

現時点ですぐに危険が迫っているわけではありませんが、ロシアとウクライナの衝突はもちろんのこと、現地最新情報には十分注意していただくことをおススメします。

なお、トランスニストリア地域については歴史的経緯から、モルドバ政府がコントロールできていない点、ロシア軍が昔から駐留している点にも注意し同地域への立ち入りはもちろん、同地域周辺への接近もおススメできる状態ではありません。また2024年に入り同地域住民の一部がロシアによる保護を求めているとの報道も出始めていますので一層の注意が必要です。

2.日本政府の危険情報

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モルドバに対してはトランスニストリアを除く国土の主要部分に「レベル1:十分注意してください」が設定されています。ロシアとウクライナの軍事的衝突及びその影響を踏まえ、2022年3月8日付で一段階危険情報が引き上げられています。2022年4月28日付でトランスニストリア地域に対し「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」が設定されました。同地域での爆発事案なども報告されている点が強調されており、地域の緊張の高まりが懸念される旨明記されました。

 

トランスニストリア地域はモルドバ政府の施政権が及んでおらず、万が一事件・事故に巻き込まれた場合でもモルドバ政府が十分な救済措置を講じることができないことがある旨記載されています。

加えて以下の記載がありますので、ご注意ください。

モルドバに入国するにあたってトランスニストリア地域を経由した場合,モルドバの入国スタンプが押印されないため,その後モルドバから他国へ出国する場合,または滞在登録手続き(90日以上滞在の場合必要)を行う際に支障を来す可能性があります。このような場合は,国境警備局に出頭して事情を説明する必要があります。
 ※過去,ウクライナから陸路でトランスニストリア地域を経由してモルドバに入国した邦人旅行者が,モルドバへの入国スタンプが押印されていなかったことから,ルーマニアへ出国しようとした際,モルドバ国境警備官から「入国事実が確認できない」として不法入国の疑いをかけられ,トラブルとなった事例があります。

なお、一般犯罪に対して、それほど強い注意喚起は発せられていませんが、モルドバでは特に秋から冬にかけて一般犯罪が増加する傾向にあることが記載されています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

新型コロナウイルス感染症の影響で一時全土が「渡航を中止てください: Do not travel」となっていましたが、現在は感染症を理由としたリスクレベルの引き上げは解除されています。他方で、ロシアによるウクライナ侵攻の影響があるとして国土の主要部分は「十分警戒してください:Exercise increased caution」、ウクライナ国境付近トランスニストリア地域には「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。
モルドバ東部ウクライナとの国境付近トランスニストリア地域
この地域には「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。ロシアとウクライナの間で継続している軍事衝突状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染症パンデミック拡大前の治安レベルと比して強い警戒が呼び掛けられています。特にトランスニストリア地域で多く存在する軍事施設等の写真を撮影した場合に現地当局と予期しないトラブルが発生しうる点注意喚起がなされています。
トランスニストリア地域を除く全域

ウクライナとの国境沿いのトランスニストリア地域以外であっても「十分警戒してください:Exercise increased caution」が設定されています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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ウクライナとロシアの軍事的緊張の高まりを踏まえ、モルドバの東側国境ウクライナに近いトランスニストリアに対し「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。それ以外の国土の大部分は「一般的な注意を払ってください:Exercise normal precaution」となっています。

 

トランスニストリア地域はモルドバ政府のコントロールが及んでおらず、万が一同地域でトラブルに見舞われても、在モルドバイギリス大使館が十分な保護を提供できない可能性がある旨記載されています。

また、トランスニストリア以外の地域でも政治的なデモが突発的に発生する可能性が記載されており、イギリス国民に対してそうした集会への接近には注意するよう呼び掛けています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

2022年2月以降モルドバ隣国ウクライナに対し、ロシアが軍事侵攻を行っていることを踏まえ、たびたびリスクレベルの変更が行われています。2023年2月時点では首都キシノウを含む国土主要部分が「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」、ウクライナ国境沿いトランスにストリア地域に対しては「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。
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以下は新型コロナウイルス感染症拡大前/ロシアによるウクライナ侵攻前の治安情報です。

オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

モルドバについては、トランスニストリア地域を除く全土が下から二番目の「一般的な注意を払ってください:Exercise normal safety precautions」、トランスニストリア地域が下から三番目(上から三番目)の「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」となっています。

トランスニストニア以外の地域では特段の注意喚起はありません。ただし、常識に従って、不審な動きをする人物や不審物があれば警戒するように呼び掛けています。

6.最近の治安ニュース

モルドバ首都空港内銃撃事案(2023年6月30日)

 

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