2023年12月12日オランダ政府は同国内でのテロ警戒レベルを一段階引き上げました。5段階中上から2番目の「Substantial」となり、2019年11月以来の高レベルの警戒です。同国内でのテロは2019年以来発生しておらず予防的措置ではありますが、欧州でのテロ警戒が広がっていると言えます
オランダ政府で国内の治安を担当するオランダ司法・安全省内に設置されているテロ対策調整官組織(NCTV)は2023年12月12日付で同国のテロ脅威レベルを引き上げる旨発表しました。これまで5段階中真ん中に位置する「Significant」(オランダ国内でテロが発生しうる)から5段階中上から2番目となる「Substantial」への引き上げです。これはオランダ国内で「現実的にテロが発生すると判断されるレベルの脅威がある」という評価を意味します。
今般NCTVは、イスラエルとパレスチナ武装勢力の衝突はもとよりオランダを含む近隣諸国で実際にテロ事案が発生していること、また、イスラム教の聖典であるコーランを毀損する極右主義者等の活動が発生していることを背景にオランダ国内でもテロの脅威が増大していると評価したと発表しています。オランダ国内でテロとされる事案は2019年3月、ユトレヒト市で発生した銃撃事案以降発生していません。フランスやスウェーデン等ではそれぞれ自国内で発生したテロに分類される事案の発生を受け、テロ脅威レベルを引き上げていますが、オランダ政府は自国内で実際にテロが発生する前に予防的に警戒レベルを引き上げたと言えます。
【参考】直近の欧州各国のテロ警戒レベル引き上げ事例
オーストリア
ベルギー
フランス
スウェーデン
なお、オランダ政府によるテロ脅威レベル引き上げを受け、現地日本国大使館は以下の注意事項を改めて在留邦人向けに発表しています。
(1)報道等により最新の関連情報の入手に努める。
(2)人が多く集まる場所、宗教関連施設、政府関連施設(特に軍、警察、治安関連施設)等は、標的となりやすいことを十分認識する。 (3)上記(2)の場所を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる、できるだけ滞在時間を短くする等の注意に加え、その場の状況に応じた安全確保に十分注意を払う。 (4)現地当局の指示があればそれに従う。特にテロに遭遇してしまった場合には、警察官等の指示をよく聞き冷静に行動するように努める。