「物事を知らない」という自覚を

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「自分はわかっている」は過信

すこし話は変わりますが、本日2月17日に内閣府は2019年10月~12月期のGDP四半期速報値を発表しました。(尾崎は日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)でもあるので、経済的な話題も常時情報収集しています)この速報では昨年10月~12月のGDPが年率換算で6.3%減だったとされています。3~4%程度の減を予想していたアナリストが多かったのですが、事前の予想を大きく下回る落ち込みを見せました。

金融業界には多くの経済アナリストの方がいらっしゃいますが、その多くがここまでの落ち込みを予想していませんでした。一人一人を糾弾することに意味はないですし、このサイトの読者の方は個人個人の予想にご関心はないでしょうから日経新聞社に所属されている小栗太さんのツイートだけを載せておきます。

 

日本のGDP速報値を巡るやり取りを見ているだけでも「専門家」と呼ばれる人たちですら未来予測がいかに難しいか、よくわかる端的な事例ではないでしょうか。このケースの場合、経済が舞台ですので、安全対策と比して各種統計も充実しています。また日本国内の状況を示す数値ですので、各アナリストは日頃の生活を通じた「肌感覚」も予想の基礎にできたはずです。自分の日常生活とかけ離れた場所で発生するテロや犯罪と比べれば予測の手掛かりは豊富だったにも関わらず、日経新聞社の方に反省文ともとれるレポートがたくさん届くのはなかなか興味深い現象ですね。

 

この事例から個人的に感じたのは「専門家」は「専門家」であるがゆえに時として、

 

 自分(たち)は状況を十分に把握できている、

 自分(たち)の情報は正しい、

 自分(たち)の予測はおおよそ正しいはずだ

 

という過信を抱いてしまうのではないか、ということです。

尾崎自身の仮説でしかありませんが、人々が不安になり「専門家」の意見に頼りがちな状況は「専門家」側の過信を深める要因かもしれません。普段であれば様々なデータなり、情報源なりを持ち出して、一般の方が「専門家」の見解にチャレンジするでしょうが、不安心理が高まっているタイミングでは前述のように人々が無条件で「専門家」の言うことを信じやすくなります。より多くの方に意見を求められ、そして意見をありがたく受け取ってもらえるとしたら・・・。過信を誘発してしまってもやむを得ないのかもしれませんね。

 

【次ページでは・・・多くの方から助言を求められる時こそ謙虚に情報収集するのが本当の専門です】