「物事を知らない」という自覚を

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予測が難しい時こそ謙虚に情報収集

 

尾崎が最近読んだ「社長って何だ!」(丹羽宇一郎、講談社現代新書)にこんな一節がありました。

 

一流大学を優秀な成績で出て、一流の会社に就職し、人一倍給料も多い。

さらに大企業のトップとなれば何万人もの社員に頭を下げられる。

ハロー効果もあるでしょう。

「他の人間に比べたら、ものを知っている」と勘違いし、「自分は何も知らない」という気持ちにはなかなかなれません。

「社長の自分がすべてを取り仕切ってかまわない」と考えるなら傲慢のそしりを免れません。

「自分は何でも知っている」と言う人間は、「自分のことすら何も知っていない」と自ら表明しているようなものです。

 

丹羽さんがおっしゃっているのは社長こそ「自分は何も知らない」謙虚になって社員や世間のことを学ぶ努力をしなければならない、ということですね。尾崎がこのコラムでお伝えしたいことも趣旨は同じ。「専門家」の立場にある方は(尾崎自身も含め)頼られている時こそ謙虚にならなければならないと思うのです。

 

既にお伝えしてきたように予想外の出来事が発生した時、人々の不安が高まっている時、は「専門家」がありがたがられるタイミングだと思っています。ある意味大企業の社長のように、ちょっとした意見、コメントを言うだけで、何人もの方に頭を下げられることもあるでしょう。しかしながら、多くの人に意見を求められたから、意見を受け止めてもらったからと言って自分の知識が急激に増えたわけでもありませんし、未来予測がうまくできるようになったわけでもありません。

 

我々「専門家」は人々の一時的な評価を追いかけることが本分ではありません。時々刻々と変わる状況を踏まえ、「自分はまだなにも知らない」「自分が持っているのは最新の現地情報ではない」ということを自覚すること、そして常に情報収集することこそ大切なのではないでしょうか?その上で、正確な情報に基づいて推測されるいくつかのシナリオをお客様に提示し、各種制約も踏まえた対応策実践のお手伝いをすることがあるべき姿と考えています。

 

海外安全.jp代表を名乗り、自分自身も偉そうにしておりますが、先行きが見通しづらい今だからこそ「自分は物事を知らない」と謙虚に情報収集を続けたいと感じています。

 

この項終わり