ペルー治安最新情報(2024年11月)/海外安全.jp


0.ペルーにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在ペルー日本国大使館  :+51-(0)1-219-9500  

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察  :105

◎救急  :116

◎消防  :116  

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

ペルーに対しては、各国のリスク評価はまちまちです。 コロンビア国境の麻薬組織への警戒、エクアドル国境での地雷や不発弾への警戒は概ね共通しています。

ただし、日本、アメリカ、イギリス政府は反政府テロ組織が依然として活動を続けている中部VRAEM地域について他地域よりもリスクは高いと評価していますが、オーストラリア政府はこの地域について特段高いレベルを設定していません。  

どの政府も主要な観光地を含め、強盗やひったくり等の被害が多発していると記載しており、自国民に注意を呼び掛けています。ただし、日本政府とアメリカ政府は国土の大部分について危険レベルを高く設定するほどではないと判断している模様です。  

【海外安全.jpのコメント】

ペルーではコロンビア国境付近、エクアドル国境付近、そして中部VREAM地域にはできる限り近づかないことをおススメします。麻薬犯罪やテロ活動に巻き込まれた場合、日本政府やペルー政府の救出がスムーズには進まず、深刻な被害が発生しかねません。  

首都リマやマチュピチュ、クスコ、アレキパ等主要な観光地では外国人の金品を狙った犯罪は頻繁に発生しているものの、貴重品を人前で取り出さない(スマートフォン、タブレット等含む)、夜間一人で外出しない、といった注意事項を守ることで犯罪被害を未然に防ぐことは可能です。    

なお、2022年12月カスティージョ前大統領が議会決議により失職し、副大統領が昇格したことへの全国的な抗議が起こっています。抗議活動が最も盛んだった時期には複数の空港が封鎖されている他、幹線道路の移動が制限されたことにより、観光客らも立ち往生しました。現時点では状況は少し落ち着いていますが、政治的な状況が劇的に改善したわけではないため引き続き滞在中は現地最新情報への注意をおススメします。

2.日本政府の危険情報

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「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

クスコ州の一部、フニン州の一部、ワンカベリカ州の一部、アヤクチョ州の一部、コロンビアとの国境地帯(ロレト州プトゥマヨ郡)

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

アマソナス州コンドル山脈のエクアドルとの国境地帯 

コロンビア及びブラジルとの国境地帯(ロレト州マリスカル・ラモン・カスティーヤ郡)

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

リマ州(リマ市(首都)及びカヤオ憲法特別市)を含む上記以外の地域

ペルーではかつてセンデロ・ルミノソ等の反政府テロ組織による暴力行為が発生していたものの、治安当局の努力により現在は一部山岳地帯、アプリマック、エネ及びマンタロ川渓谷(VRAEM地域=フニン州、ワンカベリカ州、クスコ州及びアヤクチョ州の一部をなす8郡)を中心とする地域に限定されるようになったことが記載されています。この地域については治安当局が未だコントロールしきれていない地域でもあり、どのような理由であれ立ち入ることのないよう注意喚起がなされています。

コロンビアとの国境地域は、犯罪組織による麻薬密輸ルートであり、ゲリラ組織による襲撃、誘拐の危険性があること、またエクアドルとの国境地域はかつての国境紛争の名残で地雷や不発弾が埋まっていることから危険度レベルが高く設定されています。

 

日本人に対しては強盗に遭った際犯人が拳銃等を保有しているリスクを想定して抵抗しないこと、また被害に遭いにくいよう一人での外出は避けること、などが具体的なアドバイスとして記載されています。  

 

それ以外の地域については、主として一般犯罪に注意するよう呼びかけられています。主要な観光地(リマ、クスコ、マチュピチュ、ナスカ、等)で旅行者の脅威となるようなテロ・誘拐事件の発生は確認されていませんが、外国人の旅行者を狙った強盗及びスリ・ひったくり等の一般犯罪が頻発しており、特にカメラやスマートフォン、タブレット端末、現金等の貴重品の管理に注意するよう記載があります。    

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえたリスクレベルの引き上げは解除されていますが、全土で犯罪が多発していること、また住民による騒擾が頻発していることを踏まえ、全土で「十分警戒してください:Exercise increased caution」以上のリスクレベルが設定されています。
 

ロレト州のコロンビア国境付近(約20キロ)

VRAEM=Valley of the Rivers Apurimac, Ene, and Mantaroと呼ばれる地域

麻薬組織やテロ組織の活動が行われていることを理由に「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。 特にコロンビア国境にはアメリカ政府職員も渡航禁止指示が出ている旨記載があります。  

上記を除く全土  

「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されていない地域であっても、特に犯罪発生件数が多く、凶悪犯罪への警戒が必要なことから「十分警戒してください:Exercise increased caution」が設定されています。周囲の状況によく注意し、現地最新情報の確認を怠らないよう呼び掛けられています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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ペルーとコロンビアの国境から20キロの範囲については一部例外を除き武装勢力による犯罪行為が確認されるとして他地域よりも一段高い「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。また、中部VRAEM(=Valley of the Rivers Apurimac, Ene, and Mantaro)地域では麻薬組織やテロ組織の活動が行われていることを理由に同じ「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。

首都リマを含む国土の主要部分は「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」に留まっていますが、銃を用いた強盗が観光地でも多く発生しており、イギリス人も被害に遭っている旨記載があります。犯人が銃を持っている場合、奪われた金品を取り返そうとすることはより大きなリスクを招きかねないため、無抵抗に徹するようアドバイスがあります。 また、無許可タクシー運転手による強盗行為も多いため、登録されたタクシーを用いるようアドバイスがなされています。  

 

観光客向けに有用な情報を発信している英語のHPとしてペルー観光庁の英文HPが紹介されています。    

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。  

ペルーに対しては、コロンビアおよびエクアドル国境地域(国境から20キロ)には上から二番目の「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されており、その他の地域には5段階中真ん中の「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されています。  

加えて、2024年7月にはValley of the Rivers Apurimac, Ene, and Mantaro地域(VRAEM)のリスクレベルが一段階引き上げられ、「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」に設定されました。同地区でのテロや犯罪発生のリスクが深刻化しているとの評価に基づくレベル変更です。

国全体として深刻な犯罪への脅威があるとして危険レベルが比較的高く設定されています。

他方で、2022年12月の全国的なデモを受けて一時引き上げられたリスクレベルは解除されています。しかしながら、常に身の回りの安全に気を配り、現地報道等にも注意するよう呼びかけられています。      

ペルー農業従事者による全国的な抗議活動(2020年12月5日)

2019年6月9日ペルー保健当局は首都リマを含む5つの行政区でギラン=バレー症候群患者が急増したことを受け、非常事態宣言を発しました。

 

2019年2月16日現地深夜、首都リマ市内ミラフローレス地区のパルドダブルツリー・バイヒルトン前で戻ってきた米国人観光客が拳銃強盗に襲われました。助けようとしたホテル警備員が犯人らに銃撃され負傷しています。

地元警察当局によればここ最近、似た手口の犯行が相次いでいるとのこと。

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