スリランカ治安最新情報(2024年11月)/海外安全.jp


0.スリランカにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在スリランカ日本国大使館  :+94‐(0)11‐269‐3831

◎警察  :119(観光警察は1912)

◎救急  :1990

◎消防  :110

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

スリランカに対しては、2019年4月21日イースター同時テロが発生するまで各国政府とも安全度が高いと評価していました。しかしながら、250人以上の死者を出した大規模な一連のテロ事案を踏まえ、各国政府とも一段階もしくは二段階、脅威レベルを引き上げて対応しました。現在はテロへの警戒を原因とするリスクレベルの引き上げは行われていませんが、各国ともテロ発生の可能性に注意するようアドバイスに記載されています。

また、現在国家経済の混乱、国民の経済苦境を背景に政治的混乱が生じており国民による抗議デモが頻発しています。日本とイギリスは本件を踏まえリスクレベルを上げての対応はしていませんが、2022年6月時点でアメリカとオーストラリアは通常よりも一段高いリスクレベルを設定しています。

一般犯罪の発生率も日本と比べれば高く、特に殺人事件発生率は日本の約3倍に達しますが、英語圏各国のトラベルアドバイス上は注意喚起がありません。日本政府外務省は犯罪発生率が日本よりも高い点を踏まえ、繰り返し犯罪への注意を怠らないよう呼び掛けています。

【海外安全.jpのコメント】

各国政府とも、スリランカへ渡航する国民への注意喚起は最小限でしたが、2019年イースター礼拝中の教会にいたキリスト教徒及び外国人や裕福な地元住民を狙った同時爆破テロを受け、各国政府とも警戒レベルを一気に引き上げて対応しました。各国政府も6月頃に順次脅威レベルを引き下げていますが、引き続きテロへの警戒を完全に解いてよい状況とは言えません。

他方で過去外国人誘拐はほとんど報告はありません。しかしながら一般犯罪の発生率は日本よりも高く、また女性に対するいやがらせなども発生しているため油断は禁物です。

さらに、20年ほど前までは事実上の内戦状態が発生した国であることは念頭に置いておくことをおススメします。つまり、深刻な民族、宗教、利害対立が近い過去に発生しており、政治的、経済的等の状況変化があればいつどのような形で対立が発生するか見通せないということです。

このような背景の中で、飲食料品や燃料等の生活必需品価格の高どまりを背景に政治的な不安定さが目立っています。アメリカ、オーストラリアは現地の物資調達状況やデモ発生状況を踏まえ、日本、イギリスよりも厳しいリスク評価を行っている点ご注意下さい。スリランカに滞在される際は現地のニュースや日本政府/大使館から発信される最新情報に注意し、万が一事態が急変しても対応できるようにしておくことをおススメします。

2.日本政府の危険情報

全土に対し、「レベル1:十分注意してください」が設定されています。

2019年4月21日に発生した同時多発テロ及び、その後の非常事態宣言を受け、警戒レベルを引き上げていましたが、同年6月25日にテロ以前のレベルまで危険情報を引き下げました。

なお、レベル2に設定されていた期間に記載されていた具体的な注意事項は以下の通りです。

特に一般市民や外国人が多く集まる場所(教会・モスク・仏教寺院等宗教関係施設,ホテル,空港,政府関連施設(特に軍,警察,治安関係施設)等,公共交通機関,観光施設,観光施設周辺の道路・鉄道駅,スポーツの競技場,コンサートや記念日・祝祭日等のイベント,レストラン,ショッピングモール,スーパーマーケット,ナイトクラブ,映画館等)を標的としたテロのおそれがあることから,不要不急の外出は控えるとともに,そのような場所を訪れることは極力避け,やむを得ず訪問する場合も,周囲の状況に注意を払い,不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる,できるだけ滞在時間を短くする等の注意に加え,その場の状況に応じた安全確保に十分注意を払ってください。また,外出禁止時間帯の外出・移動は禁止されています。さらに,非常事態宣言が発出されていますので,移動の際は,常時,身分証明書を携帯してください。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

コロナ禍中に引き上げられていたリスクレベルが引き下げられ、現在は全土が「十分警戒してください:Exercise increased caution」に設定されています。

日本政府と同様に以下の場所でのテロの可能性に警戒するよう呼びかけられています。

観光客が多く集まる場所

交通の要所(主要な駅、空港等)

ショッピングモールや大規模な市場

政府関係機関

ホテル、ナイトクラブ、レストラン等

宗教施設

公園

主要なスポーツ/文化イベント

教育機関等

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

現在イギリス政府は地図上でのリスクレベル表示は行われていません。

2022年7月、政情不安定化や経済困窮を理由としたデモが頻発したことを受け、全土が「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」に指定されていました。2022年8月26日付でリスクはある程度下がったとの判断から現在は全土が「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」に戻されています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

2022年5月11日付で大規模な反政府抗議デモ、政情不安を理由として全土が「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」に設定されましたが、2022年10月5日付で一段階リスクレベルが引き下げられました。現在は2019年イースター同時多発テロ以後に設定された全土が「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」に戻っています。同テロ事案発生以前よりは一段階高いレベルが設定されている状態と言えます。

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テロの危険性が否定しきれないことに加え、夜間外出禁止令の発令や警備体制強化に伴う国際空港への到着遅れなど様々な影響が生じていることが説明されています。

加えて、政治的な情勢の変化に伴い、大規模なデモ等が発生した場合には、最新の情報に基づいて注意深く行動するよう呼びかけられています。イギリス政府のアドバイス同様、女性に対する注意も詳しく記載されています。

6.最近の治安ニュース

スリランカ大統領公邸付近での衝突(2022年5月9日)

スリランカ国内複数都市での抗議デモ(2022年4月19日)

2019年4月21日 コロンボ及び東部バティカロアの3つの教会と3つのホテルでほぼ同時に爆発が発生し、290名以上が死亡しました。

【事案分析】スリランカイースター同時多発テロ事件

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