「危ないから注意してください!」と書き続けていますが・・・
これまで、当サイトのコラムやツイッターでは
・こういう場所が危ないですよ!
・こんなことをすると危ないですよ!
・こういう点にはくれぐれも注意してくださいね!
ということを書き連ねてきています。
海外でご活躍される皆様が安全に過ごせるよう役立てていただきたいウェブサイトですので、間違ったことを書いているつもりは毛頭ありません。しかしながら、安全管理を生業とする人間として、「危ない、危ないっていうのは簡単だよな」という気持ちがないと言えばうそになります。何が起こるかわからない今の時代、爆発や襲撃が起こるたびに「だから言ったでしょ」と言えるのですから。
読者の皆様からすれば「ここが危ないかもしれない、ではなく、安全な海外の国や地域はあるのか?、それはどこなのか?」を教えて欲しい、というご意見もあるのではないでしょうか?今のご時世であれば、新型コロナウイルス感染症への不安が高まっている中で、海外の仕事を続けてもいいのか?いつになったら安心して海外に行けるのか?明確な回答が欲しい、というニーズもあるかもしれませんね。
ということで、今回はそう言った声を想像しながら、こうすれば絶対に安全になりますよ、という『究極の安全対策』についてお話したいと思います。
『究極の安全対策』はあります!
当サイトが考える『究極の安全対策』とはなにか。
それは想定しうるリスクを一切取らない、というものです。様々な脅威に囲まれる海外に出てしまうと、どれだけリスク管理をしようとしても、トラブルを防げないこともしばしば。一般犯罪や交通事故、予想外のテロや襲撃等に対し、被害をゼロにすることはほぼ不可能と言えるでしょう。
ですので、安全を最優先課題として、行動するのであれば、そういった脅威のある環境に身を置かない、という選択が結論になってしまします。つまり、『究極の安全対策』とは
・日本より危ない外国には行かない
・日本国内でも脅威がありそうな場所には行かない
・交通事故も怖いので、家から出ない
・ウイルスによる感染症が不安なので、すべての業務をリモートで実施
という非常に極端な対応策になってしまうのです。(それでも日本の場合地震や台風などのリスクが残りますが)何が何でも安全を最優先するにはどうしたらよいですか?と問われれば、我々としても『究極の安全対策』を説明せざるを得ません。
でも、これは全く意味のない『究極の安全対策』です。上記に挙げたリスクをすべて避けるためにどんどん引きこもり、無菌室のような場所で過ごしたとしましょう。それでも例えば思いがけないところから食中毒になったり、心身のストレスから心臓や脳の疾患あるはガンになったりという可能性も否定しきれないのです。治るとはいえ、怪我をするといったリスクまでも防ごうと思えば食器選びも油断できません。
さらにこの『究極の安全対策』は、皆さんの日常生活を犠牲にし、また世界に何らかの付加価値を生み出したいという夢、社会への貢献をする、といった志すら阻害してしまう選択でもあります。安全対策のアドバイスを行う我々としても皆さんの夢や志を断念してください(そうすれば安全です)、とは口が裂けても言いたくはありません。
何らかのリスクを負わなければならないからこそ
既にご理解いただいている通り、『究極の安全対策』は理論上存在しますが、非現実的です。
個人であれ法人であれ、何らかの目的を持ち、海外で活動しなければその目的に到達できないとすればどうしますか?その場合は受け入れられるレベルのリスクを背負って目的に向かって活動できないか?と考えるのではないでしょうか?
何らかのリスクを負うからこそ、皆さんが達成したい目的に到達できるのです。これは、成功する確率が100%ではない投資を行ったり、会社の生き残りをかけて新規事業を開拓したり、職場にマッチするかわからないけれども、仕事をするために必要な人材を採用する、といったよくあるビジネス上の判断も似ていると言えるかもしれませんね。
海外での経験を積み、帰国までの間に有形無形の財産を持ち帰りたい
会社の利益拡大のために海外での販路拡大を実現したい
新たな事業領域拡大のために海外企業を買収したい
などなど。
目的は様々あろうと思いますが、何ら安全上のリスクを負わずに海外に出るということは不可能です。反対になんら安全上のリスクを負いたくないがゆえに目的を放棄するという決断もあり得ないのではないでしょうか?逆に言えば、皆さんが今取り組まれている活動はリスクを負うだけの価値があるからこそ全力で挑まれているのではないでしょうか?
目的を達成するために、安全上のリスクを含む何らかのリスクを負わざるを得ない、という事実は動かせません。そうであれば、『究極の安全対策』は横において、どの程度のリスクまでなら受け入れられるのか、どうすればリスクを受け入れ可能なレベルにまで落とせるのか、を考えることが、ある程度リスクを取る際に必要なアクション、ということになります。
この項終わり