「買いだめ」の不都合な真実

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呼びかけられてからの「買いだめ」は遅い

 

台風の予想進路にあたっていた地域の方が事前に飲食料品を購入し、「買いだめ」をされたことは正しい行為だと思います。しかしながら、何人かの尾崎の友人のように「買いだめ」をしようと思った時には既に商品がなかった・・・という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

スーパーやコンビニに行って、こんな光景を目にするとちょっと衝撃的ですよね。

台風襲来直後のカップラーメンコーナー(筆者撮影)

 

 

今回「買いだめ」がうまくいかなかった方はもちろんのこと、「買いだめ」したものの台風による被害が想定よりも小さく備蓄の効果を実感できなかった方にお伝えしたいことが一つあります。それは「買いだめ」は呼びかけられてからするのでは遅いということ。

 

買いだめが広く呼びかけらるようになると、当然ながら今回同様多くの方がお店に向かい、普段よりも多くの飲食料品が購入されるようになります。他方で、店舗側は商品の発注は数日~一週間前に終えていますので急に入荷量を増やせるわけではありません。つまり必然的に「買いだめ」が呼びかけられた後は必要な物資が品薄になるのです。

普段目にすることのない、空いた棚などを見た方は焦りを感じて、より一層「買いだめ」傾向に拍車がかかります。まさに「買いだめ」が「買いだめ」を呼び、少しの出遅れがあると必要な商品はますます購入できなくなってしまうのです。

 

これは日本だけでなく、海外でも同じような傾向が観察されています。例えば2019年10月上旬、カリフォルニア州北部で山火事発生の可能性が高まった際には、周辺住民が災害に伴う飲食料品やガソリンの「買いだめ」を行いました。現地の日本国総領事館も日本人に対し「一週間分程度の飲食物や現金」を備えるよう呼びかけている様子をご確認下さい。

 

 

今回これだけの規模の災害に見舞われた地域でもスーパーやコンビニなどは企業努力で物流の回復、商品販売の回復が急ピッチで進められています。ただ、日本ほど災害からの復旧スピードが速い国は世界的にもほとんどありません。万が一外国、それも途上国と呼ばれる地域で大災害や大規模なテロ、政情不安が起こったらどうなるでしょうか?飲食料品や現金、ガソリン等はしっかりと確保しておかなければいつ供給が復旧するか、わからないというのが現実です。

台風(ハリケーンやサイクロン)はまだ準備の時間があるからよいのです。大地震や津波、大規模なテロや政情不安は何の前触れもなく突然発生することがあります。日本も海外もこれは同じ。こういったトラブルでは「買いだめ」を呼び掛けるタイミングがありません。そのため、備蓄がないまま、突発的な品薄状態に巻き込まれることもあり得るのです。

 

台風19号の爪痕が生々しい今だからこそあえてお伝えしたいのです。

 

   台風が来そうだから「買いだめ」する

 「買いだめ」を呼びかけられたからいつもより多く購入する

 スーパーやコンビニの商品がなくなってきたから残っているものを買っておこう

 

という考え方、行動は卒業しましょう。

突然やってくる大地震にも、急な大規模デモで都市が封鎖されても、大停電等で商品製造が止まっても大丈夫なようにする方法が一つあります。それは日頃からご自宅や事業拠点に飲食料品を少なくとも一週間分キープしておくこと。こうしておけば、万が一台風のような予測できる災害が近づいて多くの方が「買いだめ」を始めても余裕をもって微調整の買い物をすればよいだけです。

 

「買いだめ」は呼びかけられてからしても遅いです。常日頃から、どんな災害、どんなトラブルが起こりそうか、を想定して備えをしておいてください。備えあれば憂いなし、という言葉は確実に真理です。

 

この項終わり