金融被害と金融リテラシーの関係
2018年12月、運用会社の関連機関である「フィデリティ退職・投資教育研究所」は日本国内で65歳~79歳の約1万2000人を対象に『高齢者の金融リテラシー調査』を実施しました。(残念ながら現在は公開されていないようです)
この調査の非常に優れている点は、実際に「被害に遭った」と回答された方の特性を丁寧に分析していること。調査を実施したフィデリティ退職・投資教育研究所所長の野尻さんの記事を参考に簡単に調査のポイントをまとめます。
・金融資産が1000万円までは金融資産を持っている人ほど金融リテラシーが高い
・金融資産が1000万円を超えると保有する金融資産と金融リテラシーの高さは関係なくなる
・現在投資をしている人ほど金融リテラシーは高い(過去の投資経験ありの人よりも高い)
・保有する金融資産と金融詐欺の被害率はほとんど関係がない
・同世代の人と比べて金融リテラシーが高いと自己評価しているのに、クイズの点数が低い人が一番被害に遭っている
この調査で最も大切なのは金融リテラシーの高さは大切ですが、ご自身の金融リテラシーを客観的に正しく評価できているか、が金融詐欺被害を受けるかどうかにかなり関わってくるということになります。フィデリティ社の調査によれば、金融リテラシークイズの点数に比して、金融リテラシーへの自己評価が高すぎる人、つまり「自信過剰」「慢心」のある方は1633人、なんと調査対象の13.7%にも達しています。大まかに言ってしまえば、「65歳以上の7人に1人が金融リテラシーに自信過剰」という状況なのです。
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