【事案分析】アメリカサウザンドオークス市バー銃撃事案

トップ画像は事件現場に集まった当局車両を速報するCNNニュース映像(CNNのHPで公開されている同社動画よりキャプチャ)

 

事案の概要

〇11月7日(水)現地夜11時30分頃アメリカ西海岸カリフォルニア州のサウザンドオークス市内バーにて銃撃事件が発生

〇サウザンドオークス市はロサンゼルス市から60キロ程度の距離に位置している

〇報道によればバーの客12名と対応した警官1名、死亡した犯人の合計14名が死亡、20名以上が負傷した

〇事件当時現場のバーには200名以上の学生や若者が集まっており、銃撃後、

「椅子を使って窓ガラスを割り逃げた」

「しばらくその場で伏せていたところ、店内にいた非番の警官に助けられた」

といった証言が得られている

〇事件はまず発煙筒のようなものが投げ込まれ、その後銃撃が始まったと思われる。銃撃は少なくとも3~5分以上発射されており、相当数の弾が発射された模様。

〇実行犯は元アメリカ海軍所属でアフガニスタンでの従軍歴(7か月)があるイアン・デイヴィッド・ロング、28歳とされている

〇犯人のロングはアフガニスタンから帰国後PTSD(心的外傷ストレス症候群)と診断され、カウンセラー等との面談、治療を行っていたものの強制的な拘束までは必要ないと診断されていたとのこと

〇治安当局は本件はテロではないと整理しているが、一部メディアは悪意を持って行われたテロ行為と言えるのではないか、と報道

〇連邦捜査局(FBI)はロングの自宅を含め捜査を行っており、事件の背景や動機について捜査中

簡易な分析コメント

〇事件現場となったバーは、アメリカの郊外都市でよくある飲食店兼娯楽施設(ダンスフロア等を併設しているもの)でした。周囲には大学も複数存在しており、事件当時も学生や同年代の若者が多く店内に滞在していたとされています。特段犯罪行為の拠点になっているわけでもなく、宗教的なシンボルになっているわけでもない、ごくごく一般的な飲食店で発生してしまった不幸な無差別テロ事件と言えます。

〇犯人は報じられている通り、アメリカ国籍で約5年にわたって軍歴を有する退役軍人でした。報道によれば、死亡した犯人ロングはこのバーの常連客だったとのことであり、彼が店にやってくることそのものは不自然ではなかったと言わざるを得ません。なお、2010年11月~2011年6月までの約7か月間アフガニスタンでも従軍経験があり、この経歴からPTSDを抱えていたのではないか、とみられています。ただし、直接的にPTSDが本件事件につながったかどうかは現時点で定かではありません。

〇事件で使われた銃は恐らく現場に残されていたGlock21 .45 と思われますが、これもアメリカ国内では合法的に購入可能です。連射ができるような多少の加工が施されていたのかもしれませんが、それでも銃そのものの価格は5万円~10万円程度だと想定されるため、こちらもそれほど苦労せずに入手できるもの、持っていても不自然ではないものと言えるでしょう。

〇つまり、本事件は1)銃が多数流通している、2)「テロとの戦い」等でPTSDを抱えた退役軍人が大勢おり、3)学生や若者、一般国民がナイトライフを楽しむ場所に大勢が集まっている場所・機会、があればどの州、どの都市で発生していてもおかしくなかったと言えます。なお、今年アメリカで発生している銃撃事案は昨日時点で307件であり、おおむね一日一回、全米のどこかで銃撃事件が発生している計算になります。

〇これらを踏まえると同種事件の発生をあらかじめ予測することは極めて難しく、巻き込まれないための予防策も非常に限定的と申し上げざるを得ません。(ナイトライフを一切諦めても、なお別のシチュエーションで巻き込まれることは否定できません)アメリカでは常にこうした事件が発生することを念頭に非常時にどう反応するか考えて過ごすことが大事だと考えます。

〇なお、本事件の被害者の一人は昨年発生したラスベガスのコンサート会場への銃撃事件(58人死亡)を生き延びた27歳の若者でした。ご両親のインタビュー記事を拝見しましたが、本当に痛ましい事件としか言いようがありません。多少なりともアメリカ国内で銃規制もしくはその他の手段で銃撃事件が減るように願いたいところです。