挑戦に応じたリスクテイク

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挑戦に見合ったリスクをとる

前項で人生や企業活動上の成果のために安全面でも一定のリスクを取らなければならないことをご説明しました。

では、目標のためには安全を犠牲にしなければならないのか、と問われれば我々は確信をもってNOと答えます。皆さんが担われている使命、達成したい目標等を達成するためには世界各地で活動し続けなければなりません。使命や目標のために取り組んだ結果、死んでしまったけれどもOK、というわけではないですよね。そう、使命や目標を達成するための取り組みを継続していただくための必須の方策が安全対策なのです。安全を犠牲にして使命や目標に取り組むのではなく、皆さんの使命、目標を達成するための取り組みを継続するために行うべきこと、それが安全対策です。

 

他方で、安全対策の難しいところは人それぞれ許容できる「リスク」が違っている点です。命に代えても達成したい、誰かのために役に立ちたいと思って海外に飛び出していく生き方だってあるでしょう。反対に、死ぬほどのリスクは負えないが、生活のために必要な売り上げを確保するためある程度のリスクは取りたいという考え方もあり得ます。もしくは、海外での予想外のトラブルには遭いたくないので日本国内でできることだけやってその範囲で生活する、という選択肢だって否定はできません。

 

死ぬかもしれない、だけれども人類のために宇宙空間に飛び出したい、という志を持ったユーリ・ガガーリンやバズ・オルドリンがいなければ人類は地表面でのみ暮らしていたでしょう。もっと遡れば中世のキリスト教宣教師などはみな道中での死亡事故や、たどり着いた先での迫害、殉教も恐れずに日本を含む世界中に渡航していたのです。

 

これだ!と思う使命や目標を達成するためなら死をも恐れないという方であれば客観的に危険な場所でも活動することになるでしょう。現代でも、先般アフガニスタンで殺害された中村哲先生のような高邁な志を持ち、たとえ危険な土地であっても人々のために活動される方もいらっしゃいます。凡人にはとても真似できないなぁと日々敬服以外の念をもちえません。安全対策が生業だからといって彼らに対して「危険だからやめなさい」とはとても言えないと思っています。

 

さすがにそこまでのリスクをとる方は少数でしょうが、海外に留学したり、事業に取り組まれる方は皆それぞれ挑戦に伴うリスクを見積もり、リスクを取っているはずです。ただし、取り組みを継続するためには渡航先のリスクを適正に見積もり、取り組みが「強制終了」されないような対策が必要なのです。リスクを恐れるあまり、過剰に身構えることは安全性は高まっても挑戦ができなくなってしまいます。

 

我々セキュリティコンサルタントがお手伝いできるのは、リスクの客観的な見積もりと、クライアントが許容できる範囲までリスクを低減する対策のアドバイス。あまりに無謀な挑戦や、過剰な身構えを修正するのは我々というよりも取り組みを行われる皆さんです。

無意味にリスクをとることは決して推奨しませんが、皆様それぞれの挑戦に応じた適正なリスクに対応するという考え方をぜひ実践していただきたいと考えています。

 

この項終わり